『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』282
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「入っていいか?」
「入ってから言うな」
調査に必要な資料が研究室にあるので内容確認のために来たが、どうやらマケマケが研究中だったらしい。魔石が机の上にゴロゴロと転がっている。
魔石は仕切りのある金属トレーへ、名前付きで分けられている。マケマケのすぐそばにあるトレーには植物しか入っていないが、隣にある棚にはトレーがいくつも並べられていて、そこには様々な種類の魔石が保管されてる。ヒトやエルフの魔石から、動物、植物、魔物の魔石まで揃っている。
マケマケの方はというと、魔石ではなく何かの植物をテーブルに乗せて種類ごとにより分けている。
その様子を見ながら棚に整理されていた書類を取り出し、目についた椅子に座って資料を読み込む。しばらくしてから「これも成功」という声が聞こえてきた。
「何かわかったことでも?」
「まぁ、植物に関してはな。それ以外はここで実験するには危ないから、外でやるしかない」
マケマケは分けられた植物のひとつを手に取ると、俺が見える位置となるテーブルへ運ぶ。何という名前の植物かはわからないが、白い小さな花がついている。
その植物へマケマケはナイフを入れて、ピンセットで根元から小さな魔石を取り出した。その瞬間、植物は消えて白い花の花弁だけが残った。
「こうして魔石を取り出せば、植物本体は消えてドロップ品に変わる。この植物の場合残されたのは魔石と花びらが4枚だ」
既知のことだが、ヒトやエルフのような知性ある生物以外は何らかのドロップ品を出す。物によっては元となる生物がそのまま残ることもあるが、それも間違いなくドロップ品となっている。
「植物にしては珍しいな。残る素材の量が少ない。それが理由で研究してるのか?」
「いや、この植物の方がドロップ品も限定的だしわかりやすいと思ってね。それで植物全般についてなんだけど、魔石になったあと蘇生したって話は聞いたことあるか?」
「蘇生? いや、聞いたことない。蘇生対象は、普通ヒトやエルフなどだよな。ドロップするかどうかが蘇生の分岐ってよく言われてるが、それの研究か?」
「いや、分岐点の研究とは少し違う。植物の蘇生に関して、何らかの条件があったことがわかったのが今回の研究成果だ。ここ数日は百種類近くの植物を蘇生し続けたから、信頼性は高い」
ピンセットでシャーレに移された魔石は、小さすぎて見た目には魔石に見えないが、これまでの調べで魔玉が含まれる立派な魔石だと判明している報告は聞いている。
その魔石に向かって、マケマケは魔法を使う。この魔法は難易度が高く、雑草のような植物に使う魔法ではない。
「[リザレクション]」
シャーレを強い光が包み込む。相変わらず、高等な魔法を使いこなす男だ。普段は斥候として活動しているが、基本なんでもできるからな。
そう思って見ていると光が収まり、残されたのは魔法を使う前と全く変わらない、シャーレに魔石が乗っているだけの状態だった。失敗したのか?
「で、蘇生しないようだが?」
「この状態じゃ蘇生の条件にならないからね。今のは条件が適正じゃなければ蘇生しないことを見てもらった。次は蘇生だ」
マケマケは魔石の入ったシャーレに、先ほどの花弁2枚を入れる。それから、魔法を再度詠唱してリザレクションを使う。
すると、シャーレからはみ出るように、先ほど消えた白い花が咲いた植物が現れた。根もあるため、このまま植えれば普通に根付きそうだ。
「ドロップ品と合成することで、元の生物に戻ることができる。このドロップ品は、同じ生物間であれば交換することも可能だけど、素材の数が不足していると蘇生には繋がらない。この蘇生に必要な数も固体差があって、今の植物なら、4枚で蘇生する個体もあれば2枚、あるいは6枚の個体もある。恐らく、ドロップ数に関係すると検討をつけている。1つも落とさない個体もあったが、その場合は蘇生にかかる素材の必要個数が少ない傾向にある」
シャーレからはみ出るように乗った植物を手に取る。間違いなく先ほど消えた植物だ。花だけでなく茎の長さも葉の数も同じように思える。違うと言えるのは根の長さだろう。花びらのドロップ数が4枚なのに蘇生に必要なのが2枚なのは興味深い。
「消える前のと形が同じってことは、人と同じように個体差も記憶してるってことか」
「固体差は魔石に依存だな。別の素材を組み合わせても、魔石の元となる植物が消える前の状態で蘇生される」
人が蘇生されたときに、元の体と人格で戻るようなものか。根の部分が増えてるのは、ダメージを負った箇所が治癒されたのだろう。
「動物や魔物も同じなのか?」
「魔物を試す機会はなかったが、小型の動物なら植物と同じだ。大型の動物を試していない上に、まだ調査数が少ないから正式に報告はできないが、同じ結果だと推測している」
植物も動物も同じ。とすると、魔物も同じ可能性はある。それなら、当然違和感にも気が付いているはず。
「どう考えても、ヒトやエルフなどは異質じゃないか? 蘇生にアイテムが不要なこと、種族共通のドロップアイテムを落とさないこと」
「それについてだが、アイテムドロップに関してはその場に落とすだろ? 持ち物から服まで、死亡したら肉体が消えてその場に全て必ず落とす。武器を持っている魔物が武器を落としたり落とさなかったりするため、持ち物を必ず落とすのはヒトの特徴だ。ヒトは他の動植物と比べて道具を持っていることが多いから、アイテムドロップはそれに取って代わったのではないかとみてる」
道具なのだから、死亡したらその場に残るのは当たり前だと思ったが、言われてみれば武器を持っている魔物が死んでも、アイテムが必ず残ることはない。魔物の死体と同様に消えていく。
「次に蘇生にアイテムが不要な件だが、これは明確な答えが出ていない。目に見えない何かを消費しているかもしれないが、いまだ観測はできていない。それでも理由をつけるのであれば、ヒトやエルフ、ドワーフなどは、入力データが別枠だからだ」
前の世界でコンピューターに入力したデータが、ヒトなど複雑な知能を持った生物は別の項目に入力したと。そういえば、ケレスがメインとなる種族を入力してから、プルトの要望で動植物を入れることになったな。もちろん、魔物はそのあとで入力した。
「動物にドロップアイテムの情報って入れたか? 少なくとも犬や猫について入力した覚えはないはずだ」
「項目だけなら作ってあるはず。元々は魔物を入力するために作った入力欄に入れたからね。後から見た人が牛や豚の入力欄が空白になってるのに気が付いて何かを入れていてもおかしくない」
自分たちが入力した後も、新しく入ってきた人がそのデータを見ていたのは知っている。彼らが情報を書き換えたのかもしれない。
「この後は、魔物素材を取りに向かう予定だ。そっちの要件が終わったら手伝ってくれるか?」
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最後まで誰の記憶かわからなかった~。けど、忍者の仲間ってのは間違いなさそう~。
ござるを失った忍者は普通の人、研究者だった~。それに、魔法のレベルがすごく高そうで、難易度が高い蘇生魔法を簡単に使っていた。こっちが本当の顔で、忍者が外に向けた顔かな?
研究内容は、あんまり興味が持てなかった。蒼奈なら好きそうだけどね~。
猫の蘇生にはドロップアイテムが必要ってなっても、その素材を手に入れるためには猫の犠牲が必要なんでしょ~? 茜に限らず、実行はできなさそうだよ~。
あとは、コンピューターとかよくわからないこと言ってるけど、ホツナルさんと一緒に見たパソコンが関係してそうだから、これは覚えておかないとね~。
ここでの蘇生は、魔石の保有が前提です。茜を切ったケレスの場面では、魔石を消失させたと考えていたため、猫の蘇生に素材が必要とは考えていません。




