『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』273
土魔法で地面を掘ると土そのものが消失するから、装備を掘り出した後が穴だらけになっている。土魔法には土を生み出す魔法もあるから、それで埋めようとしたんだけど、このままで良いらしい。他の場所にある土を、後から持ってくるみたい!
ギンガたちの目的も果たしたので、今日はここで1泊するだけ!
転送装置に近い家に戻って、エルさんと一緒にお部屋でくつろぐことにした。
『反対側にある家も使えるようにしてあるから、10名以上は宿泊できますよ』
「それなら、私たちの仲間が集まっても大丈夫ですね」
エルさんはギンガの姿になって黄金音ちゃんと話をしている。エルさんが話すのは、これまでの発掘作業や復元作業の過程の話だった。
『さすがに村の規模が大きくないので、皆さんに役立つような効果のある装備は発掘できませんでした』
「いえ、お気持ちだけで充分です」
その間に未黒先輩とギンガは、装備の調整をしている。未黒先輩は、古い刀の柄や鞘を、発掘した刀に付け替えている。装備関係はゲームだからか、同じ種類の装備ならそれぞれ互換性があるため、現実のように専用の鞘が必要にはならない。刀の鞘というアイテムであれば、全ての刀を収めることができる。もちろん、鞘にも性能差はあるみたいだから、互換性があるだけで全て同じではない。
その点でギンガは少し面倒で、斧は何とかなるけれど、鎧は金属鎧を購入したのが今回初めてなので、手持ちの鎧パーツと互換性が無い。とりあえずは装備するにしてもロープを使って巻くくらいかなぁ? ベルトが欲しいけど、留め金は細工スキルで作れても肝心のベルト部分で必要な革細工のスキルはもってないんだよね。早めにマアズで修理してもらいたい!
斧の修理だけ終えて、片づけをしてから黄金音ちゃんの隣の椅子に座る。……なんか、ガタガタするな。しばらくは気にしないようにしていたけど、やっぱりなんだか気になる。
「エルさん、この椅子とか机って昔の状態を再現したの?」
このガタガタ具合も、思い出の椅子と同じなのかな?
『このあたりの家については、客人を招くために再現とは少し違いますね。奥のベッドも4つはありませんでした』
「それじゃあ、ギンガが少し手を加えてもいいかな? がたつきを修正するよ!」
『いいのですか? 助かります。細かいところがどういった点がよくないのかわからなかったんですよ』
普段は机や椅子を利用しないから、ガタついていても気にしなかったらしい。実際に使う人の感想も得られなかったから、修正するべき点もよくわからなかったとか。
ギンガは細工だけじゃなくて木工スキルも持っているから、木製の家具の調整なら難なくできる。高レベルではないから芸術作品は作れないけど、実用品を作るなら十分なレベルがある!
椅子や机、家具やベッドの確認をする。机以外には、ベッドもなんだかガタガタしていた。
がたつきの原因が床にあるかもしれないから、床がゆがんでいないかを最初に確認したけど、綺麗な状態だった。床を修正するのは大変だから、ほっとした!
あとは椅子とベッドの調整。家具の修理や調整は、スキルの自動修理に任せてしまえばいいから、木工用の道具を片手にスキルを発動させればいい。椅子の場合はあまり時間がかからずに終わったけど、サイズが大きなベッドはスキルが終了するまでに時間がかかった。
エルさんは、ギンガがスキルを使って直してく様子をのぞき込んで見ていた。木工スキルに興味があるみたい。
『家具以外も作れるのですか?』
「うん! お皿やコップだったり、扉とかも作れるよ!」
扉や窓枠は、木工スキルか建築スキルかの境目がわかりにくいけど、実用品であればどちらのスキルでも作れる。扉を芸術的に作るのなら木工だし、扉を設置する周辺の整備も兼ねると建築になる。それぞれに得意分野が異なるだけなんだ!
そういった話をすると、エルさんは『木工と建築ですね』と色々納得してくれたみたい!
この家にあるお皿などは、発掘して出てきたものから比較的綺麗なものを並べているんだって。そのため、角がかけているものがあったり、スプーンなども汚れがついて落ちないものもある。お皿は陶器でできているみたいだから陶芸スキルが必要だけど、スプーンは金属だから、細工スキルの領分だ。ギンガならなんとか出来るかも。
金属系のカトラリーは細工スキルで修理できるから綺麗にしていいか聞いてみたら、大丈夫って話だったので修理させてもらった! 修理だけでも細工スキルの経験になるから、レベル上げに助かる!
この家にあるもの以外にもカトラリーがないか聞いてみたら、たくさんあるそうなのでそちらも修理させてもらうことになった。
エルさんは発掘品が修理できるし、ギンガもレベル上げにちょうどいいし、お互い良いことだらけ!
机の上でお話しながら修理してたら、黄金音ちゃんが晩御飯の準備をしたいとのことで、全部片づけて食事ができるようにした。さっそく綺麗にしたスプーンの出番だ!
エルさんも交えて晩御飯を食べて、その後にもう少しだけ修理をしたら就寝時間になった。さすがに1日では全部修理しきれない! 修理していない細工品は、また今度来たときに修理をするって約束をした。
寝るために奥の部屋のベッドに移動したら、空いている1つにエルさんが入って一緒に寝ることになった!
「エルさんは普段ここで寝てるの?」
『いいえ。そもそも寝ていません』
村があった当時も、誰かの家で寝ることはなかったんだって。こうして家を復元して、誰かと一緒に食事をしたり部屋で眠ったりしたかったみたい!
それならってことで、少しだけ隙間が空いてたベッドをくっつけて、全員でゴロゴロしながら過ごすことにした!
ベッドでおしゃべりしながら過ごしてたら、いつの間にか眠ってた! ログアウトすることなくそのまま意識が眠った状態で時間経過したみたい。ログアウトするときはゲーム内の体を残すかどうか選択できるけど、今回のようにゲーム内で寝てしまったら、体が残った状態で時間が経過する。
「ギンガちゃん、おはよう」
「おはよう。普通にねちゃったよ」
地下にある家だから、朝なのかどうか時間がわからない。ログアウトして戻ってきた黄金音ちゃんによれば、時間帯は早朝なんだって!
ベッドには未黒先輩もエルさんも居ないから、ギンガが最後だ。起き上がって黄金音ちゃんに髪を軽くすいてもらってから隣の部屋に行くと、未黒先輩が食事の準備をしていた。そのままギンガもお手伝いをして、テーブルにご飯をならべたら朝食!
『料理スキルも覚えたいですね』
「わたしらは料理スキル持ってないんよ。単純に知ってるってだけなんよな」
『そうなのですね。でも、料理スキルを覚えておくのもいいかもしれません。みなさんをおもてなしできますし』
料理も出てきたら、完全に宿屋かホテルだよね! エルさんが作る料理ってどんなのだろう!
食後は黄金音ちゃんが水魔法でお皿を綺麗に洗って、その間に未黒先輩とギンガが過ごした部屋を元の状態に整える。掃除道具があれば良いんだけど、無かったので手持ちの布で水ぶきするくらいで終わらせた。掃除道具を持ちこむのもいいかも!
「また来るね!」
掃除も終わって、荷物も全部ストレージに入れたら出発だ!
『はい、お待ちしています』
黄金音ちゃんと未黒先輩も、エルさんとお別れの挨拶を交わす。その後でストレージからマアズの帰還石を取り出し、移動の準備!
帰還石も使い慣れたもので、エルさんに手を振ったままマアズへ転送された。
箒のような掃除道具を木工で作れますが、素材が足りないので作れませんでした。見よう見まねで住環境を整えているため、実際に生活するのに何が必要か天龍はわかっていません。




