『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』270
~~~チャコ~~~
黄里先輩と蒼奈からの連絡を、残ったメンバーが商業ギルドで受け取る。茜が猫の状態で飛ばされた先は街の中央だったから~、蒼奈たちがリスポーンする可能性があるなら、同じ場所だとおもったんだよね~。
商業ギルドは中央に面した場所にあるから飛ばされてもすぐわかるし、何かあればギルドの地下に逃げ込んで妖精の国に行けるからね~。
[アカネ]ギリシャ神話のガイアが地上を作ったのなら、この世界のガイアも同じ役割ってこと?
[アオナ]順番的にどうだろう。茜が学校から持ってきた本からすると、1300年の事故の後に世界が誕生したんだよね。事故でガイアが生まれたのかな。
[ミカン]神話だとガイアはカオスから生まれたって話だし、元の世界がカオスって設定ならあり得るわな。
[シホ]前の世界もガイアって呼ばれていたなら、その前から存在していることになるわね。
[キリ]歴史の本にガイアって言葉はなかったから、前の時代にそう呼ばれていたとは思えないかな。
自分の世界に名称があるなら、それを呼ぶのは普通だよね~。それが出てこないってことは、ガイアって名前は歴史に出すような用語じゃないってことだよね~。
[ミカン]結局の所ゲームだからな。開発がつけたいと思えば何でもありにはなる。ただ、無意味にギリシャ神話を連想させる名前は付けないだろうから、どこかに意味はあるはずだ。
[アオナ]ここまでギリシャ神話の雰囲気が無かったですからね。名前よりはその役割に注目したほうがいいかもしれません。
[キリ]大地の神だよね。この世界の地中にいるのなら、名前と役割は一致してるね。
[チャコ]地中って、大地ってよりも冥界じゃないかな~? プルトさんたちの冥王星のイメージだよ~。
[シホ]そうね。アカネさんが戦争時代で見た下の世界には影はなかったのよね?
[アカネ]なかったと思います。星が遮られたって印象はありませんでした。
[シホ]それなら、戦争時代まで、ガイアさんは地表にいたのではないかしら? 何らかの理由があって地下に堕ちたのかもしれないわね。
[キリ]現状では明確な理由はわからないね。戦争時代から廃墟時代までの主な出来事は、戦争しかないんだけど、どう関わってるのかも不明。そもそも、神に関わるなんて普通じゃないよね。
神様に関わる、と話が出たところで、商業ギルドに集まっているメンバー全員が萌黄先輩を見ることに~。神様と連絡が取れる人が、ここにいるんだよね~。
「ん? なに?」
魔法の本を読むのに夢中だったのか、萌黄先輩はソウルリンクをみていなかったみたい。
「萌黄先輩ならガイアさんと連絡が取れるのではないかと思いまして。やはり難しいのでしょうか?」
[モエギ]こっちで話すね。えっと、普通の人でもそうだけど、理性がなくなった相手に連絡を取っても意味がないんじゃないかな? ガイアさん正常じゃなさそうだから、会話ができても正確な情報が得られるかわからないよ?
そう言われたら、龍との会話で理性がなくなった状態でまともに会話ができなかったのを思い出すよ~。ギンガが頑張って話を聞いたみたいだけど、それも断片的な情報しか聞けなかったみたいだし、初期時代のアクアちゃんが普通に連絡が取れたから何とかなっただけなんだよね~。
[ミカン]神聖魔法を使うのなら、この場所で使っても問題ないっすか?
[モエギ]理想なら神様が身近に感じられそうな場所かな。自然豊かな場所とか、魔力が多い場所とか。今回の場合そっちの空間が一番いいんだけど、魔法が使えないでしょ?
[アオナ]はい。魔法は使えません。
[モエギ]それなら、ここで使うしかないよね。一番真ん中でいいかな?
[アカネ]この街に教会があるから、そこが良いかも。
[キリ]そういえば、教会の屋根に特殊な塔がありましたよね。あの建物の中は祈りの部屋に見えませんでした?
[モエギ]祭壇とかあったよね。場所も特殊だし、神聖魔法を使うのに都合がいいかも。使うならそこにしようか。
萌黄先輩は読んでいた本を閉じると、床の上に居た茜を抱え込んだ。
[モエギ]魔法の本も読んだし、おそらくアカネちゃんを送り込めると思うんだけど、どっちを優先? 神聖魔法もMPが必要だから、今すぐだと片方しか掛けられないけど。
[アオナ]アカネを送り込むのを優先してください。何度もこの空間に来れるなら、僕が戻ってみんなに魔法をかける手段をとります。
[モエギ]MPは持つの?
[アオナ]魔法で送り込む人のMPをマナドレインしてから送るので、多少の時間がかかる程度で終わります。
あ~、マナドレインされる側が抵抗しなければMPを蒼奈に渡せるんだ~。時間がかかるから戦闘中とかは難しいけど、今なら問題なく全員送り込めそう~。
[モエギ]それじゃあ、アカネちゃん送り込むね。
モエギ先輩はアカネを商業ギルドのカウンターのようなテーブルに乗せてすわらせると、本を開いて茜へ手をかざす。
本を読み上げつつ、魔力を練り上げてる様子を見守る。使い慣れない魔法だから、時間がかかりそう~。
1分近く経過した頃に、モエギ先輩の全身に魔力が巡るのを感じた。
「……[マスイサー]」
魔法名を唱えて、アカネに触れる。最近は魔力感知を鍛えているから、魔力がモエギ先輩の手に集まる様子が見えた~。
「アカネちゃん、体調はどう?」
「大丈夫です。変化は感じないですね」
萌黄先輩の方は、魔法が無事に発動した感じがしたようだけど、茜の方は魔法がかけられた感じがしないんだって~。でも、それがこの魔法だと普通の状態だから、あとは茜が向こうへ移動できるかどうかだけだね~。
「それじゃあ、ちょっと行ってきます」
カウンターテーブルから降りた茜は、ストレージから薬を取り出してカリカリと食べる。見た目は猫が餌を食べてる感じだよ~。
薬を食べた茜はその場で座っているが、しばらくすると姿が消えた。商業ギルドの入り口から街の中央広場を見てみたけれど、リスポーンしている様子はない。
[アカネ]移動できたよ!
[アオナ]よかった。モエギ先輩もありがとうございます。
[モエギ]いやいや、成功してよかったよー。
[チャコ]ステータスとか何か変化はあったの~?
[アカネ]今回は特にないよ。
[シホ]一度だけなのかしら。
[ミカン]能力が上昇する条件がそろってないだけじゃないか?
無事に移動できたんだね~。もし気軽に使えるのなら、これから移動が短縮できるのかもしれないな~。
[キリ]それじゃあ、アオナちゃんは戻るの?
[アオナ]はい。能力が上がるだけでもここに来る価値があるので、全員を送り込みたいです。では、行ってきます。
蒼奈が言葉を送ってから、すぐに中央広場に蒼奈が現れた~。こちらを見た蒼奈と目が合うと、手を振って居場所を教えるよ~。
軽く走って商業ギルドの中に入る蒼奈。見た目には変化が全くないから、謎の空間に入っても大した影響はなさそうだ~。
「戻りました」
「おかえり、戻ってからのステータスはどうなってるの?」
「えっと……向かった時と変わらないですね。MPは消費したままです」
これでMPが回復するなら、往復すればMP問題は解決するかもって期待はあったけど、そんなに上手くはいかないか~。
「アオナ、うちらからマナドレインする量はある程度余分に持って行けよ。神聖魔法を使うモエギ先輩から吸収するわけにもいかないし、アオナ自身に使うMPもあるからな」
「わかりました。ミカン先輩から行きますか?」
「ああ、頼む」
蒼奈がマナドレインを開始する。自然にMPが回復する速度よりは格段に速いけど、ある程度時間がかかるのは仕方ないよね~。あたしの番まで時間かかりそうだし、お菓子でも食べて待つかな~。
萌黄が使ったことある神聖魔法は、神から情報を受け取る、あるいは対話のような効果です。優秀な魔法ではありますが、条件を大きく変えるなど柔軟な運用はできません。




