『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』261
宿屋の小物売り場の奥にある食堂で食事をとった後は、部屋でログアウトして翌日までスキップ。
翌朝、商業ギルドに移動して依頼を受ける。行先は国内の都市ティスメス。ネプチュン王国のネルイの街にへ移動するのに一番近い国境沿いの街。ネルイは時代移動できる街だからか、最近は人の出入りが多くなり商店が増え人口が増加した都市のため、隣接しているティスメスも同じように栄えてるんだって!
「いつもの同じルートでいいかな?」
ジュピトリスからイオを経由してティスメスに向かうのがいつも使うルート。イオが大陸の中央に近い位置にある街だからちょっと遠回りになるけど、大きな川を利用できるこのルートは一番安定している。
「ティスメスなら、それが良いんよ。デニメガからのルートもいいけど、この国で街道って利用したことが無いんよな」
ジュピトリスからデニメガまで続く街道を馬車で移動して、そこからティスメスまで船で移動するのが直線距離では最短ルートになる。
「んー。どうせならデニメガルートにしようか? 極端に急いでるわけでもないでしょ?」
「まぁ、それはそうなんよな。商業ギルドも特に急ぎの仕事じゃないんよな……今回はそうするんよ」
行ったことが無い道を進もうってことで、デニメガに向かう街道ルートでティスメスに向かうことにした。乗合馬車の駅まで移動してデニメガ行きを探すと、思ってた以上に数が出ている。船が便利な国だけど、主要街道はよく使われてるんだね!
「デニメガはトリスカまで行く途中にある街なので、馬車の本数が多いのです」
乗合馬車にいる駅の職員さんに話を聞いたら、トリスカに行く人が多いから本数が多いみたい。トリスカは、ギンガたちの目的地ティスメスに繋がる川よりもさらに下流の、海に面する港町。元々、ネプチュン王国に行くにはトリスカからトリストに入るのが一般的な正規ルート。
トリストの街は川が流れているため船を利用でき、3つに分かれた街道もネプチュン王国の主要都市全てにつながっているため、交通の便がよく利用者が多いんだって!
とはいえ、今回の目的地はトリストではなくネルイ。トリストまで行くと大回りになるから、直接国境を越えられるティスメスが最初の目的地。
「順番が来たよ!」
馬車に乗り込む列に並んでいると、ギンガたちの順番が来た! 3人が馬車に乗り込んで、ほんの少ししてから馬車が出発した。馬車は周囲全体を覆う幌馬車なので、景色があんまり見えない。ジュピィタ王国は定期的に雨が降るみたいだから、馬車は雨を遮る馬車の構造をしている。
護衛は幌の外側を警戒しているため、御者の隣に座っていたり、馬車の後ろから顔を出して周囲を警戒している。
川が多い国だから馬車で橋を渡る場面が何回かあるんだけど、橋を渡るときは護衛の人が橋の安全確認を毎回している。橋の下に魔物が隠れていたら危ないから、慎重に渡るんだって!
馬車に揺られてしばらくすると、警備の兵士が立っている橋が見えてきた。あの橋を越えたらデニメガだ!
幅の広い橋を越える途中で進行方向を見ると、対岸には家がいくつも並んでいた。ギンガたちが渡っているいる川に合流する支流が見えるんだけど、その川を挟むように家が立ち並んでいる。あの支流をさかのぼると、ギンガたちが向かうティスメスのある街に到着だ!
「思っていたより早かったね!」
「船の移動の方が速度は早いけど、イオの街で別の川に移動する時間を考えたら同じくらいか少し早いかも?」
イオの街は、王都へ流れる川とティスメスへ流れる川は別々の川で、川と川を繋ぐ道はあるんだけどそこに馬車は走っていない。その距離を徒歩で移動することになるから、不便な所は少しあるんだよね!
馬車は川を渡り切って、デニメガの街に入る。乗合馬車の駅に到着したから馬車を降りると、そのまま船の乗り場を探す。
「デニメガも、かなり大きな街なんよな」
「中継点としては便利だからね。王都より便利な面はあるんじゃないかな」
街道を使えば、王都ジュピトリスと、港のトリスカに繋がり、川を使えばイオとティスメスにたどり着く。イオに向かえば、隣のウラーヌスに川を下って抜けられるし、ティスメスに向かえばネプチュン王国へ抜けられる。それぞれ重要な街をすべて繋いでいる街だから、かなり便利だよね!
そんなデニメガは、お店と宿屋が多い印象。乗合馬車から船着き場まで移動がしやすいように案内の看板があるから、その案内を見ながら移動しているんだけど、案内を見ると店の看板が見えて、その看板に釣られて店を見ると旅人が興味を引きそうな商品が並ぶ店や、おいしそうな食堂が軒を連ねている。
お店の商品を眺めながら歩いていると、「何か買おうか」と黄金音ちゃんが言ってくれたから、気になるお店に立ち寄った。
葉っぱに包まれた、米粉の蒸し団子! 良い匂いと見た目に派手な蒸気を立てていたから気になっていた。色んなお店で同じようなものが売ってたから、多分この街の名物だと思う!
一緒に温かいお茶を買って、店の軒先にある長椅子に座って食べる。
葉っぱをめくると、中の餡が薄く透き通るように見える白いお団子が現れた! 蒸した水分で団子の白い表面が濡れてキラキラしてるのが、蒸したてって感じに見える。 ふわりと葉っぱの香りが漂ってきて、おいしそうだ!
熱そうだから、ひと口目は軽く先っぽをかじる。もちもちとしたお餅がおいしい。口に入れると葉っぱの香りだけじゃなくてお団子の香りもして幸せな感じだ! かじった後を見ると、餡子が少しだけ見えるから、次は餡子まで食べられそうだ。この熱さならかぶりつけるかな?
「ギンガちゃん、中の餡子がかなり熱いから気を付けて」
「はーい」
既に餡子まで食べてる黄金音ちゃんからの忠告が! ふた口目も思い切り食べずに、餡を少しだけ口に入るような量に調節して食べる。――熱っ! 息をフーフーして、冷ましてから口の奥に入れる。あっついけど餡子が甘くておいしい!
3口目を食べてからお茶をいただく。こっちも熱いから啜るようにしか飲めないけど、お茶の香りが強く感じられるくらいによくお茶が出てる。
おやつを食べながら街の雰囲気を眺めていると、やっぱりこの国にはエルフが多いのを実感する。そのエルフも、容姿は他のゲームでもよく見るような若くて美形っぽいんだけど、服装とか見ると綺麗な服の人もいれば、服装に気を使ってないほどボロボロの服を着ている人もいる。普通の生活を送ってるんだって実感する!
「そろそろ出るんよ」
両手に持った湯飲みは、お茶の量が減って冷めてきてる。ぐいっと一気に飲んで、おぼんに戻す。ゆっくり休憩できた!
お店の人にお礼を言って、船着き場まで移動する。その間にも色々とお店の雰囲気を眺めながら街を堪能する。
船着き場では既に出発する予定の船が停泊していたから、お金を払って乗り込む。あと5分程度で出発だった!
その後も数人が乗り込んで、出航! 最初は緩やかに、だんだん速度が上がって船が進む。ティスメスよりデニメガのが下流だから川をさかのぼることになるんだけど、川の流れが緩やかだからなのか、ぐんぐんと先へ進んでいく。緩やかなカーブは多いけど、急カーブはないから船もあんまり揺られずに進んでいる。
「そろそろ到着です」
船頭さんの声で前を見たけど、まだティスメスの姿はなかった。そのかわり、まばらに小屋が見えるため、人が暮らすところに近くなってるんだと実感。声を掛けられてからふたつ目の橋の下をくぐると、今進んでいる川よりも大きい川と合流した。その川を進むと、さらに大きな川が先の方に見えてきた。
この大きな川はパラデ大河。ここの上流がイオの街で、下流がトリスカの街。イオの街はどこの川からも繋がってるね!
パラデ大河に合流したところで対岸を見ると、建物が川岸を埋めるように立ち並んでいる。あの街がティスメスだ!
船は迷うことなくティスメスの川岸にある船着き場まで移動すると、ほとんど揺れることなく接舷した。
船を降りて船着き場を離れる。堤防があるから、一度階段を上ってから街の中に入る。次はまた馬車移動。ネルイに到着したら戦争時代に移動だ!
ジュピィタ王国は殆どがエルフたちの住むイオの街を中心に描かれているので、他の街を紹介する機会が無いなと思い街道ルートに進路を取りました。




