『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』260
~~~ギンガ~~~
初期時代に設置した転送装置から、西へ向けて移動を始めて数十分。街道らしき場所をはっけん!
あとは、ここがどこの街道なのかを確認すれば、どの時代でも場所が特定できるはず。
「位置関係を考えれば、左手にいけばコディアリなんよな」
「そうだね。とはいっても、コディアリを起点に活動することもないから、反対側に向かった方がいいんじゃない?」
「コディアリは、距離で言えばジュピトリスに近いのは確かなんよ。オロベとコディアリ、どっちが近いかが問題なんよな」
今は、到着した街道から左右のどちらに進むべきか話し合ってる! 今後、転送装置を利用するため移動する場合、どっちのルートを使った方がたどり着きやすいかってことだね!
ギンガたちはインゴットを掘り出すため、次に転送装置へくるのは戦争時代。戦争時代は帰還石が使えるから、移動の出発点はそれぞれの国の王都になる。今は、どっちの王都から来た方がいいかって話し合いだ!
王都ジュピトリス経由の場合、王都がある場所はジュピィタ王国とウラーヌス王国の国境線沿いに近くて、王都付近を流れる川の下流は、ウラーヌス王国のコディアリって街に近い。転送装置を設置した場所も、国境線沿いに近い山がすぐ近くに見える平原だから、こっちのが距離的には近い。
問題は、ジュピトリスからコディアリまでの移動方法が少ないこと! 街道はないし川を行き来する船も利用者が少ないため下流まで伸びる定期便はないんだって。船を利用するなら、途中で船を降りてから、徒歩で道なき道を進むことになりそう!
王都ウラース経由の場合、ここから右手に進んで到着する街オロベとは船で行き来できる。オロベは大きな港がある街で、街道も整備されているから交通の便がすごくいい。
問題らしい問題は少ないけど、ジュピトリスのルートと比べるなら、距離が遠いことくらいかな。オロベからウラースまでの距離は、この丸い世界の半径くらいの距離がある。
「この場所は、エルさんの要望通りコディアリ方面に来てるから、近いのはコディアリじゃないかな?」
過去にエルさんが一緒に暮らしていた人たちが作った街、コディアリ方面に転送装置を設置してほしいって希望があったから、ここはどちらかと言えばコディアリ寄りなのは間違いないよね!
「それなら、今回はコディアリ方面にするんよ。[ウォーターボート]を使えば、船がなくても遡上は可能なんよ」
「それじゃあ、時代の移動はネルイ経由かな」
今は初期時代だから、帰還石で各王都へ飛べない。戦争時代へ移動するには、マアズかネプチュンのダンジョンか、ギンガたちの拠点へ行く必要がある。オロベ経由なら、王都ウラースに移動して船でいくつか街を経由して拠点へ戻ることができる!
コディアリからジュピトリスに移動した場合、今の時代ウラーヌス王国とジュピィタ王国は通行を制限しているから拠点へ向かうのは難しい。そのかわりネプチュン王国のネルイの街まで向かったほうが移動方法も充実しているから手っ取り早い!
「コディアリ! 猫が沢山いるって聞いてるから楽しみ!」
マーキュラスでお茶会をしたときに、茶子からコディアリの話があった。その時に、猫が沢山いる街だって言ってたから、茜がすごく行きたそうにしていたのが印象的だった!
ギンガも茜ほどじゃないにしても猫は好きだから、コディアリの猫がどんな様子か見てみたい!
コディアリに向けて街道を進んですぐに、未黒先輩が「見覚えある風景なんよ」と周りを見渡すようにしている。前にコディアリに向かったときに使った道と同じなんだって!
しばらく歩いていると、前から馬車がゆっくりと走ってきてすれ違った。進行方向は逆だけど、未黒先輩は前にあの馬車に乗って移動したんだって!
「あの速度の馬車で30分程度だったから、ここから多分すぐなんよ」
すれ違った感じだと、徒歩の2倍かもうちょっと早い程度かな? 街道の途中でコディアリに向かっているし、もう何分も歩いたからきっとすぐ到着しそう!
のんびりおしゃべりしながら進むと、街が見えてきた。未黒先輩が「あれがコディアリで間違いないんよ」と断言した。
「これだけ近いと、転送装置はコディアリ経由のがいいかもしれないね」
「川の移動手段は、水魔法を覚えてる人が全員覚えたら選択肢が増えるんよ。使えるのはあたしとあおりんかな?」
「コガネちゃんも使えるよ!」
「前にイオに寄ったときに教えてもらったからね。シホちゃんは教えてもらわなかったの?」
「そういえば、何か魔法についても色々話してた気がするんよ。エルフが覚えるべき魔法があるって言ってたから、習ってるかもしれないんよ」
話をしていると、すぐにコディアリに到着した。街の入り口にはすでに猫が壁に寄りかかって座っている。茜に聞いていた、猫の親父座りだ!
「本当に人慣れしている猫が多いんだね」
猫に近寄っても、逃げることなく好きなように過ごしている。猫の目の前でしゃがんで頭や背中を撫でても、撫でられるままだ! かわいい!
「ギンガちゃん、進むよ?」
何匹か撫でながら楽しんでいるいると、黄金音ちゃんに呼ばれる。この街が目的地じゃないからね!
猫たちに手をふってバイバイし、街を縦断する道路を通過して、街に入った門とは反対側の門まで進む。そこから外に出てさらに続く道を進んでいくと、大きな川に到着した。
「この川をさかのぼれば、王都に到着するんよ」
未黒先輩が[ウォーターボート]を発動させた。発動する人はひとりでいいので、黄金音ちゃんは魔法を使わずに未黒先輩の魔法に乗り込んだ。
途中で船の乗り場を見かけたけど、そこに立ち寄らず魔法だけでさかのぼることにした。船だと魔法を使わないから疲れなくていいけど、時間が夕方近くになってきたので、船の待ち時間を考えると先に進んだ方がいいって判断した。
川を進むうちに、大きそうな街が見えてきた。この角度から見たことはないけど、多分あれが王都ジュピトリスだ! そのまま王都の中に入る。時間的には、ここで1泊かな?
街の中央に移動して、宿屋を探す。この街は背の高い建物が少ない上に、木々を取り囲むように建築されているから、目印になるものが少ない気がする。
「この街って、天然の迷路って感じの街だね!」
「どの街も王都は王城や王宮が大きいから目印になるんだけど、この街はそういったのがないよね。木々にさえぎられて見えないだけってわけじゃなさそう」
王様に用があるわけじゃないけど、王様がどこの誰なのかさっぱりわからない国だよね! 他だとサアターンの王様がよくわからないかな? ラッグラさんが妖精の王とか話は聞いたことあるけど、実際の王様とは違うんだって!
「エルフが多い国だし、王様がエルフだとしたら代替わりはゆっくりかもね」
「サリアスさんに聞いたら、王家について教えてくれるかもしれないんよ」
未黒先輩に鬼について教えてくれるサリアスさんなら、長く生きていそうだし知っているかも!
とはいっても、今のギンガたちには関係ないから、宿屋探しに集中する。明日商業ギルドで依頼を受けて移動する予定だから、商業ギルドに近い宿屋を選んでチェックイン!
選んだ宿屋は小物が沢山売っているお店も兼業しているようで、アクセサリーや手芸製品が店先に色々と並んでいる。細工師のはしくれとしては、どんな商品があるのか気になる! 部屋を確認した後は、アクセサリーを見て過ごす。金属細工のアクセサリーだけじゃなくて、木を削って作られた彫刻の小物もたくさんあって、見ていて楽しい!
ギンガは木工スキルは持っているけれど、木工はアクセサリの小物も作れなくはないけど、メインは小型の棚やテーブルを作るスキル。こういった細かな木の製品を作るのは、木工細工スキル。木工スキル3と細工スキル4を持っているから、ギンガなら作れなくはないけど、製品の質としては木工細工スキル1に該当する品質程度になると思う。
木工スキルを4まで上げれば木工細工スキル2に該当する製品が作れそうだけど、今は細工一本に絞って訓練したほうが良いかな? 手を広げすぎてどっちつかずになるのも嫌だからね!
「ギンガちゃん。このお店は委託販売があるらしいけど、預ける?」
「ううん。販売するなら細工スキル6になってからにするよ!」
仲間にプレゼントは幾つもしているんだけど、お店に売り出すのはもっと練習してからって決めてる。どのスキルもそうだけど、レベル5はひとつの節目のようで、ここまでは割と上がりやすい。けど、レベル6からは上昇しにくいから、一般的にレベル6以上の人がプロのように扱われる。だから、目標はレベル6!
それまでは、練習で作ったアクセサリは溶かして再利用してスキル上げを続けるんだ!
ギンガの想いが伝わったのか、黄金音ちゃんが頭を撫でてくれる。やる気が上がった!
こうして書いてみると、銀華のスキルを【金属細工】に限定しておけばよかったとは思うが、あまり支障もなさそうだしこのままにしておきます。生産系スキルも色々細分化できそうですが、それをやると管理も面倒になりそうなので、大雑把なほうが良い気がします。それでも、金属細工しか習っていない銀華が木工細工が作れるとは思えないので、今回は分けられています。




