『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』249
~~~ギンガ~~~
オリハルコンは、ネプチュン王家への実績作りのために作る。その制作方法は、2か所の封印地に鉄のインゴットを埋めて、魔力を均一に浸透させれば完成! 1か所だけだとミスリルになるんだけど、既にミスリルインゴットは完成して手元にある状態。
そのため、次はミスリルをつくったマアズの封印地以外の場所にミスリルインゴットを埋めて、オリハルコンを完成させなきゃいけない!
初期時代の封印地はどこも問題なく行けるんだけど、戦争時代は魔物が封印地に沢山いるから、安全に掘り起こせる場所が一番いい。どこに埋めるか検討した結果、ウラーヌス王国で作ることになった!
「エルさんがテレポート用の転送装置を設置するらしいんよ。そのために戦争時代へ行く必要があるから、ついでに終わらせるんよ。」
他の用事も同時にこなせるから、効率がいいってことだね!
先にどっちの時代に行くかなんだけど、最初は戦争時代にするんだって! 戦争時代に転送装置を受け取って、初期時代に設置するから、再度戦争時代に戻ったときに動いているかのテストをするみたい!
帰還石を使って、王都ウラースに移動。そこから船を使って封印地に近い街オーアリフィまで移動して、そこから徒歩で封印地へ向かう。オーアリフィには初期時代に来たことがあるんだけど、その時は塾の先生がいた。その弟子か子孫あたりが龍の研究をしているらしいけど、今はジュピィタに居ることが多いんだって!
それにしても、相変わらずこのルートは倒木や落ち葉が沢山あって歩くのが大変! でも、所々に咲いている花や聞こえてくる鳥のさえずりが癒しになるから、ハイキング気分で移動できるのが楽しい!
アクアの感知によって正確な位置を特定。近寄るとエルさんの声も聞こえるようになった。
『まだ話しかけられる距離は限られますが、魔力もかなり整ってきました』
王笏の欠片が壊されていた時と比べると、状態がかなり安定してきたんだって! 今は森の中の奥深くまで進まないと会話ができないけど、そのうち遠くにいてもお話が出来るようになるかも!
「今回も、木の根っこの空洞を移動すればいいのかな?」
『そうですね。最近では魔力を誘導できるようになったので、一時的に魔物を遠くに追いやることもできますよ』
「それは助かるんよ。根元を掘ればいいだけなのはありがたいんよ」
天龍の封印地にいる魔物は、濃密な魔力が集まっていたから集合していたそうで、その魔力をエルさんが操作することで、魔物を別の場所に誘導出来るみたい! 戦闘を避けるために遠くから土魔法を使い続けてトンネル掘るのは大変だからね!
ガサガサと鳴る落ち葉を踏みぬきながら進んで、封印地の真上にある木が見える場所まで移動した。遠目だけど、魔物が居るのがわかる。すぐ近くまで到着したと、エルさんに連絡を送ってから離れた場所の木陰に隠れた。
「お願いします!」
『はい。少しまっててください』
木陰から見える魔物は、封印地の木の周りで寝そべっていたけど、10分もしたら全員が起き上がって別のところへと飛び去って行ってしまった。
すかさず封印地の木へと向かう。長い間は誘導させられないようなので、一気に作業を進めないといけない。
根元付近にたどり着き、土魔法を地面にかける。すると根を残して土が掘れたので、そのまま出来た穴に入り地中へと穴を掘る。途中で根の隙間から中に入れる場所を見つけたので、土魔法を使って入ってきた穴を埋める。
入ってきた入り口は外から場所がわからないように、落ち葉が土の上に乗るように調節しながら戻した! 今は不自然かもしれないけど、そのうち風が吹いたり魔物が移動したりで自然な見た目に戻るんだって!
木の根の中央には下に降りることができる空洞があるから、縄梯子を吊るせば降りられる。今回は下に降りた後で帰還石を使って戻るから、縄梯子は下で回収する。縄梯子をロープでつないで梯子と一緒に下に降ろす。ロープを梯子を引っ張っても結び目はほどけないけど、ロープを引っ張ればほどけるように枝に結び付けたから、3人が下に降りてからロープを引っ張ったら無事に回収できた!
封印地にたどり着くと、ギンガっぽい姿のエルさんがいた。髪色が明るい白だから、ほとんどギンガと同じ見た目だ!
「エルさん、ギンガちゃんとそっくりなんですね」
『私の色が白ですから、銀髪のギンガさんとは近くなってしまいますね』
龍ごとに色が決まっているから、それに合わせた髪色をしているだけらしい。水龍のアクアは水色で、火龍のイニスちゃんは赤色だったよね!
「今日は転送装置を受け取りに来たんよ。無事に完成したんよ?」
『はい、完成しました。サイズが大きいので別の場所に置いてあります。ミクさんから見て左の奥にある穴が見えますか? そこから先へ進むと、2段重ねて置いてある石板があるので、それを受け取ってください』
少しだけ離れた場所に転送装置が置いてあるみたい!
3人で一緒に見に行くと、高さ30センチほどで、盤面が1メートルから2メートルの間くらいの石板が2枚重ねて置いてあった! 角が丸く削られていて、表面にはよくわからない文様が彫りこんである。動物とか花みたいな、具体的なものを彫ったわけじゃなさそう!
一通り眺めた後、転送装置を未黒先輩がストレージに収納したので、エルさんの所に戻る。
『設置は過去の私が指示するので、それに従ってください。伝達事項があるので、設置前に過去の私にその石板を触らせるようにしてくださいね。触れば伝わるように出来ていますから』
ギンガたちが口頭で伝えなくていいのは助かる! 難しそうな説明が沢山あるだろうからね!
設置し終わったら、後でオリハルコンを取るために戻ってくるとエルさんに伝えて、帰還石を使って王都マーキュラスに移動。フローベール、ベリクを経由して拠点まで戻る。
初期時代に移動して、ベリクから下流のバイロンへ移動し、別の川を遡上中に国境を越え、ウラーヌス王国のエルブリンで船を降り、馬車でオーアリフィへ進む。
オーアリフィからは、徒歩で封印地へ向かう。この時代も変わらずに枯れ葉が多いけれど、こっちの方がすごく柔らかい気がする!
ふかふかの地面は足が沈んで歩きにくいけれど、方向はこの時代のエルさんが教えてくれるから迷うことはない。戦争時代みたいに、アクアの感知である程度探りながら進むわけじゃないから、一直線に封印地の真上の木まで移動できた!
木の根元付近の地面を戦争時代と同じように穴をあける。今回は帰還石が使える時代じゃないからこの穴を利用して上へ戻るので、開けた穴は多少カモフラージュする程度に隠すだけにして、縄梯子も外すことなく下へ降りていく。
『ありがとう、持ってきてくれて』
光の球で浮いているエルさんの前に転送装置を並べて取り出した未黒先輩は、戦争時代のエルさんに言われたことを伝える。エルさんは、球体のまま転送装置に触れ、数秒したら浮き上がった。
『理解しました、少しお待ちください――』
浮きあがったエルさんは、一瞬だけ強く光ると白髪のギンガの姿に変わっていた。何度見ても鏡みたいにそっくり!
『設置場所に条件があるみたいですね。ここからだと少し離れた位置になります。行きましょうか』
エルさんは右手の人差し指を軽く回すと、転送装置のひとつが浮き上がった。あれだけ大きな石を、詠唱なしに浮かび上がらせるのってすごいね!
『もうひとつは外に設置するものなので、ストレージに入れてください』
未黒先輩がストレージに収納するのを待って、エルさんは地下空洞の先に進む。洞窟の壁だと思っていた場所にエルさんが手を触れると、土が左右に分かれて奥へ進む穴が出てきた!
10メートルほどのトンネルを越えると、地下の割には広い空間に出る。そこには、土砂が入り込んで崩れてしまっている家が何軒もあった。ここは、エルさんと一緒に暮らしていた人が住んでいた場所だ!
「まだ残ってるのですね」
『私が土砂を食い止めた名残ですね。街としての機能は保てていません。当時を懐かしむだけに私が保存しているのです』
「そんな場所に設置してよかったんよ? もしかしたら転送で見知らぬ人が来るかもしれないんよ」
『渡したアクセサリの所有者が私に連絡をした後に、こちらで転送の起動をしますから問題ありません。それに、300年先の私がここを選んだ気持ちもなんとなくわかりますから』
前を進むエルさんは、なんとなく寂しそうな感じ。そんなエルさんの頭を黄金音ちゃんが撫でている。
『どうしました?』
「あ、すみません。見た目がギンガちゃんっぽいので」
『そうでしたか。嫌じゃないですよ、ありがとう』
ギンガが落ち込んだ時は黄金音ちゃんによく撫でてもらってたから、同じ感じで撫でたんだろうね! エルさんも笑ってて良かった。
そう思いながら、エルさんの隣にいる黄金音ちゃんを見ると目があった。それから、黄金音ちゃんがこっちに移動してギンガの頭を撫でてきた。ギンガは落ち込んでなかったけど、なんかうれしい。
転送装置をつくるのは龍だけの特権ではありません。他の生物も作ることができますが、制作に時間がかかるので作らない人が多いです。転送する対象の制限も、製作者によっていろいろ違うため、第三者が見つけても使えない場合がほとんどです。




