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あちーぶ!  作者: キル
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『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』247

 暗闇の中、紫帆先輩についていく。正確には、紫帆先輩が見ている闇の精霊を追いかけてるんだよ~。紫帆先輩が案内するのは、ちょっと不安だからね~。


「チャコさん、何かおっしゃいました?」


「なにも~。闇の精霊が見えたらいいな~とは思うけど~」


「だよね。精霊が沢山いるのは楽しそうだよ」


「普段は隠れているから見えないのよね。呼び出しても精霊ひとりしか現れませんから、沢山見ることはできません」


 精霊を見るエルフ固有の能力【精霊視】があっても、普段はあたしたちと同じような光景しか見えないのだとか。意識的に沢山の精霊を見られるように注視して、ようやく周辺に精霊が沢山いることを認識できるみたい~。そのほうが日常は便利かもね~。


 暗闇の中を進んでるうちに、進行方向に違和感を感じた。なんか、妙なのが見える~。


「何か見えるよね~?」


「いいえ、ずっと暗いままです。探索とかのスキルでしょうか?」


「【妖精眼】かもね」


「あ、そっちかも~」


 意識して【妖精眼】を使ってみると、ぼんやりとした光だったのが、よりはっきりとしたものに見えるようになった~。そうはいっても、まだ遠いから詳細はわからないけどね~。

 これで確実になったのは、空間に何か影響がある場所がこの先にあるということ。【妖精眼】は、そういった場所を見ることができる能力だからね~。

 急いで確かめたいけれど、周囲が真っ暗で危ないから進む速度は速くできない。いきなり落とし穴があるかもしれないんだよ~。


 だんだん近寄ることで、どんなものかわかってきた。ダンジョンのゲートっぽい物体が7枚浮かび上がっている。距離が近くなったことで先輩たちにも見えるようになったから少しだけ早足になって、すぐ目の前までついた~。


「形はダンジョンと同じだね~。外に出られるのかな~?」


 ダンジョンの入り口と同じように、長方形の板が地面からわずかに浮いて並んでいるね~。それぞれ7枚の板が、円を描くように浮かんでいる。板と板の隙間から内側に入ってみたけれど、特に変わったものがあるようには感じなかったよ~。


「これも先ほどと同じように、稼働してないのでしょうか? チャコさんの魔力が足りるかどうかですけど」


「魔力なら、[レンドマナ]で貸し出せるからね。使いたいとき言ってよ」


 萌黄先輩の魔力貸し出しは助かるんだけど、【魔力感知】でこの石板を確認したら、魔力があるっぽいんだよね~。普通に入れるかも~。

 ゲートが複数あるから、どれを選べばいいか基準もわからないので、適当な石の板に手を当てる。表裏もわからないため、とりあえず外側の面から試してみるよ~。


「じゃあ、試してみるね~。【妖精の隠れ家】」


 能力を使った瞬間、妖精の国に入るためのゲートを開く感覚がして、目の前の石の板が扉に変化した。外と妖精の国への出入りに使う扉と一緒だ~。


「使えたけど~、どこに行くかはわからないよ~」


「入ってみるしかないよね。いつもの順かな?」


 いつも通り、前衛の紫帆先輩が先に入り、萌黄先輩、あたしと続いてゲートを潜り抜ける。

 そして見えたのは、今までの妖精の国と全く同じような、真っ暗な光景だった~。


「これは、別の妖精の国に入ったと考えていいのかしら?」


 紫帆先輩は、振り返って入ってきたゲートを眺める。7枚あったゲートが、ここには1枚しか見当たらないよ~。


「そうじゃないかな。外の世界の地下の可能性もあるけど、さっきの場所と似すぎてるよ」


「萌黄先輩の魔法の光も見えなくなったから~、別の国っぽいね~」


 遠くに光っていた魔法の光も消えちゃってるよ~。何もしなければ12時間の持続だから、効果切れで切れたとは思えないよね~。


「残り6つの入り口はどうなるのかしら?」


「試してみよう~」


「あ、一応目印つけるね[コンティニュアルライト]」


 落ちている石に魔法をかける萌黄先輩。これを地面に置いてから、ゲートをくぐって前の妖精の国へ戻る。戻った先は、入った時と同じように遠くに光が3つ見えていた。萌黄先輩が目印のためにつけた光だ~。

 次は、さっき出入りしたゲートの隣に妖精の隠れ家を使う。同じように入り口ができたので同じように順番に入ったら、やっぱり景色がおんなじ真っ暗な場所に出た~。


「かなり遠くですけど、光が見えますね」


 紫帆先輩の指が示す方を見ると、確かに光がひとつだけ見えるね~。念のため今いる場所を光らせてから、光っている場所を目指すよ~。

 暗くて長い道のりで、さらに乾燥した岩肌の地面しか見えないのが寂しいよね~。元は妖精が沢山いたんだろうな~。そんなことを考えながら進んでいるうちに、目的地の光る場所までたどり着いた。地面には、光っている石が落ちている。


「さっき魔法をかけた石じゃないかな~?」


「入り口は違っても、同じ妖精の国にたどり着いたってことだよね」


「それぞれのゲートを駅のように使ってたのかしら? 地上を移動しなくてもゲートを出入りするだけで遠くの場所に移動出来ますし」


「そうかも~。妖精の国って木とか川が移動してたから~、移動先がわからなくなるんだよね~」


「移動先の場所が固定化されるだけでも、かなり便利そうだよね」


 クォックちゃんみたいに場所がわかるような魔法が使えない限り、妖精の国って迷子になりそうだからね~。


 それから次にどこに行けばいいのか相談したところ、萌黄先輩が「また戻って、7か所全部光を灯そう」っていうので、何度も往復して地面の小石に光をつけて回った。


「光の見え方からすると、ここって妖精の国の外周かな?」


「ですわね。光点を見る限り円形に繋がっていそうですし、外に出られるゲートよりも、直径は広く感じるわね」


「また中央を目指してみる~?」


「それがいいかも。7つの光が均等な位置にあるなら、正面のふたつの光の間を目指せば真ん中に行けるんじゃないかな? 近寄れば茶子ちゃんが見えたり、精霊も反応するから微調整すればいいからね」


 おおよその方向を決めて、暗闇の中を進むことにした。途中で精霊の反応から外に出られそうなゲートの石板があったから、外に出るかどうか3人で話し合ったんだけど、とりあえず真ん中を目指すことにしたよ~。

 外のゲートがある場所を通過したから、かなり中央に近づいたんだろうな~って思って、【妖精眼】を発動して注意深く周りを見ることにしてみた。しばらく進むと視界に反応があったから、そちらに進路を調整して反応へ近づいてくことにしたよ~。


 その反応があった場所にどんどん近寄ると、今度も石板が7枚並んで円を描いている場所にたどり着いた。見た目が、さっきと全く一緒だね~。


「構造が同じですわね。ここは別の妖精の国で間違いないわよね?」


「光の有無で考えるなら、別の妖精の国なんだよね。でも、これがどれだけ続くのかな? 最大7つだとは思うけど、知ってる妖精の国とは様子も違ってるからはっきり断言はできないよね」


「無限ループとかあるのかしら?」


「7回越えたら引き返すのが良いかも~」


「そうね。そこまでは予想していることですし、試してみてもいいと思うわ」


 7つの石板のうちひとつに移動してみたけれど、やっぱり出てきた場所は真っ暗な世界だった。どこにも光が見えないから、これまでの場所と違うはずなんだけど、違いがどこにあるのかよくわからないな~。

 とりあえず、今回も7か所すべてに光の目印をつけるところからスタートだよ~。

 妖精の国に住む住人が異なる妖精の国へ移動するにはゲートを利用するしかありません。また、妖精は自分の国から出ることはあまりないので、利用者もほとんどいません。

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