2月25日 一泊二日(部屋)
僕たちがきた不動産は、全国展開のところではなかった。僕も、よくあるところに行くのかなと思ったけど那由多はそれを選択しなかった。那由多は、全然僕が知らないここにしかなさそうな不動産に入ったのだった。不動産で紹介してくれたのは、50代のおじさんだ。僕の中では、若くてスーツを決めた人が来る想定だったので、既に大きく異なる。那由多は、僕が求めている条件を次々に伝えていく。それを聞いていたおじさんは、パソコンでタイピングをしている。
ー2月13日ー
僕 「えっ、ホテルってここ?」
アイツ「うん、そうだよ」
僕たちが歩いてきたホテルは、とても高校生が行くようなところではなかった。
僕 「これ、お金足りるの?」
アイツ「お金は大丈夫だよ」
僕 「えっ、なんで?」
アイツ「だって、私のお父さんが払ってくれたから」
僕 「そうなの?」
そんなの全然聞いてない。なんだよ、それは。
アイツ「うん、だから気にしないで」
僕 「いや、気にするだろ」
アイツ「大丈夫だよ」
アイツは、すぐさまホテルの中に入って行こうとしていた。
僕 「ちょっと、待てよ」
アイツ「えー、早く上がろよ。寒いし」
アイツは、ホテルの支配人みたいな人とずっと話をしていた。僕は、何をしたらいいか辺りを見渡しながら、ホテルの様子を見ていた。廊下は長く、天井までの鏡張りが奥行きを引き伸ばす。
アイツ「あっちのエレベーター行くよ」
僕 「うん」
エレベーターの扉が閉まる瞬間、金属の冷たさが肩を撫で、数字の列が灯りを走らせる。上階へと揺れる感覚は、船の甲板を歩くように静かで、床の衝撃音だけが時を刻む。
アイツ「なんか、凄いね」
僕 「僕、こんなとこ来たことないんだけど」
アイツ「そんなの、私もないよ」
僕 「ほんとかよ?」
エレベーターの表示は、12階を指していた。12階って、結構高くないか?
アイツ「ホントだよ」
僕 「めっちゃ、高くないか?」
アイツ「えー、ビビってんの?」
僕 「いや、高所恐怖症とかじゃないけど」
エレベーターの扉が開くと、そこには再び廊下が待っていた。僕たちは出て左側を歩いていく。どうやら、一番奥らしい。窓から、見える景色も十分凄い。この年でこんなところに来ていいのだろうか?僕はわけがわから部屋の扉を開けたのだった。




