11月26日 電車
今日も、勉強終わりに、図書館で勉強をしていた。後、1ヶ月ほどに迫った試験の過去問を解いていた。採点してみると、71点となんとも言えない点数だった。
間違えたところを見直しながら、理解できなかった英単語をノートに書き記していた。英単語を書き記していると、「tunnel」という文字が目に入った。すると、あの日のことを思い出してしまっていた。
ー11月20日ー
僕たちは、電車に乗り始めて約30分が過ぎた。少し静まりかえったところで、アイツに話しかけた。
僕 「明日から学校だね」
アイツ「うん」
僕 「戻ってからは、学校楽しい?」
アイツ「うん。ボチボチかな」
僕 「戻った時とか、違和感なかったの?」
アイツ「いやー、あったかな。周りの視線とか」
アイツは、電車の窓を見ながら答えた。
僕 「そうなんだぁ」
アイツ「本当は、やめようかなってずっと思ってて」
僕 「そうなの?」
僕は、少し驚いた。
アイツ「そりゃあ、5ヶ月も学校行ってなかったら、そう思うよ」
僕 「そっかぁ」
アイツ「戻った時は、楓とかホナと上手く話せるかなって思うくらいのレベルだったしね」
僕 「みんなとは、ほとんど連絡とってなかったの?」
アイツ「そうだね。いつもいるメンバーとも、とってなかったね」
僕 「なんでとらなかったの?」
アイツ「だって、とったらみんな心配するじゃん」
僕 「それは、そうだね」
そういえば、那奈の周りには、心配してくれる友だちがたくさんいた。アイツの親友である山川楓なんかは、いつも那奈のことを気にかけていた。入院が分かった際は、学校を休むくらい心配していたのを覚えている。
アイツ「しかも、あの時はそんな余裕なかったし」
僕 「那奈でも、そんな時あるんだ」
アイツ「あるよー」
笑顔で怒っていた。
僕 「俺、思うんだよね。みんなさ、何かに寄りすがりたいだよなって」
僕は、電車の吊り革を見ながら語り始めた。僕が急に話始めたこともあり、ビックリしていた。
アイツ「‥‥」
僕 「みんな苦しくて、つらくてさ‥‥」
アイツ「‥‥」
僕 「出口のないトンネルを歩いてるんだって」
アイツ「‥‥」
僕 「でも、止まらないんだよね。止まると、もう前に進めないって思うから。だから、もがいてあがいて。必死になるんだろうね」
アイツ「‥‥」
僕 「でも、僕の人生は、そういうのとは、ちょっと違うんだろうね」
アイツ「そうかな?」
僕 「うん。そうだよ」
アイツ「違うよ。優斗は、今も、もがいて、あがいてるんだよ」
アイツは、優しく声をかけてくれた。
僕 「‥‥」
アイツ「優斗がさ、もがいてあがいてる姿勢はみんなみてるよ。前と違うなって思ってるよ」
僕 「どうだろうね」
アイツ「きっと見てるよ。変わらないものなんてないんだからさ」
僕 「‥‥」
アイツ「私もね、何かによりすがりたいよ。苦しい時に、自分の支える何かがあれば変われるんだよね」
今のアイツを見ていると、周りの人が何かをしてあげたくなるのもわかる気がした。
僕 「那奈はさ、もっと周りに頼った方がいいんじゃない?」
アイツ「そう?」
僕 「だって、あんだけ周りに友だちいるんでしょ。使わなきゃ損でしょ」
アイツ「まぁ、優斗よりはいるけど」
僕 「ハッハッは。なんだよそれ」
アイツ「あっ、もうすぐ着くね」
僕 「うん。また、明日だね」
アイツ「そうだね。一緒に頑張ろうよ」
僕 「うん」
そういって、私たちは、電車を降りた。




