11月21日 絶対絶命ゲーム
今日は、朝起きてから、昨日のことで頭がいっぱいになっていた。いつものように、ご飯を食べて、歯磨きをし、自分の部屋に戻っていた。
昨日のことを忘れようと、本を取り出した。しかし、なかなか本の世界に入れず、昨日のことをずっと考えてしまっていた。
ー11月20日ー
アイツと海に行くことになった僕は、二人で電車に乗っていた。
僕 「あそこの海って、ここから1時間くらいかかるんじゃないの?」
アイツ「かかるでしょ」
当たり前のようにアイツは、答えた。
僕 「なんでもっと近場にしないの?」
アイツ「近いならすぐいってるよ、バカだなぁ」
僕 「‥‥」
いつものように、バカにされていた。
アイツ「それよりさ、なんかして暇つぶそうよ」
僕 「なんかしてって?」
アイツ「絶対絶命ゲームかチヒロゲーム」
僕 「両方ともわからないよ」
どちらのゲームも、僕にはわからなかった。
アイツ「絶対絶命ゲームは、先攻か後攻か決めて、先攻の人はお題を出して、相手の答えと被らせる。被ったらお題を出した人が勝ちっていうゲーム」
まるで、何度も説明しているかのように、流暢に話してくれた。
僕 「どこが絶対絶命なの?」
アイツ「それは、やってみたらわかるよ」
アイツは、意地悪そうな顔をしながら、答えた。
僕 「なんだよ、それ。じゃあ、チヒロゲームは?」
アイツ「チヒロゲームは、チヒロに他の人になりきるゲーム?」
僕 「えっ?どういう意味?」
アイツ「お互いが知っている人をチヒロに見立ててお話していくゲーム」
僕 「全然わからない」
アイツ「うーん。例えば、私が優斗を選んで、優斗が私を選んだら、私は優斗になりきってやりとりしないといけないの」
チヒロゲームは、ルールを聞いてもよくわからなかった。
僕 「難しいな。じゃあ、絶対絶命ゲームがいい」
アイツ「いいよ。じゃあ、やろっか」
僕 「うん」
アイツ「まずは、先攻か後攻を決めよ」
ジャンケンの結果、僕が勝った。
僕 「先攻か後攻、どっちの方がいいの?」
アイツ「先攻かな」
僕 「じゃあ、先攻で」
アイツ「わかった」
僕 「次にお題を決めたらいいんだよね?」
アイツ「うん。答えが二択の問題にしてね」
僕 「わかった」
アイツ「じゃあ、この問題の答えをノートに書いといて」
僕 「うん」
アイツは、カバンから小さなノートとボールペンを僕に渡した。
アイツ「じゃあ、お題は?」
僕 「うーん。この絶対絶命ゲームは、那奈が決めた?」
アイツ「なるほど」
そう言って、僕とアイツは、答えをノートに答えを記した。
アイツ「じゃあ、いくよ」
僕 「うん」
アイツ「せーの」
アイツのノートには、「決めていない」と記されていた。
僕は、「決めた」と書いていたので、二人の回答は違った。
アイツ「残念だね」
僕 「誰が決めたの?」
アイツ「誰だと思う?」
僕 「知らないよ。僕は、那奈だと思ってたんだもん」
那奈と名前を呼ぶことに少し違和感があった。ただ、昔からそう読んでいたから、今さら変更できなかった。
アイツ「そうだよね。絶対絶命ゲームを作ったのは、楓だよ」
アイツは、何も気にしないかのように返答した。
僕 「山川さん?」
アイツ「うん。よかったら、聞いてみたら」
僕 「嫌だよ」
アイツ「じゃあ、次は、私ね」
僕 「‥‥。うん」
完全にアイツのペースで進んでいた。
アイツ「優斗が3年4組で一番好きな人は、佐々木さん?」
僕 「‥‥」
アイツは、完全にゲームに勝ちにきていた。おそらく、アイツは、僕がNOと書くのをわかっているように感じた。ここで、YESと書けば、俺の勝ちになる。そんなことを考えながらノートに答えを記した。
アイツ「せーの」
アイツのノートには、NO。僕の答えにもNOが。結局、嘘をつくことができなかった。
僕 「もぅ」
アイツ「残念でした。優斗は、わかりやすいんだよ」
僕 「そんなんせこいよ」
アイツ「せこくないよ。先攻なのに、当てられない優斗が悪いね」
僕 「やり方知らないもん」
アイツ「言い訳、言い訳」
僕 「もぉ」
アイツ「じゃあ、誰なの?」
僕 「なんで、答えなきゃいけないの」
アイツ「さぁ、どうぞ」
僕 「西野さん」
アイツ「佳奈かぁ。可愛いし、優しいからいいよね」
僕は、少し機嫌が悪くなっていた。




