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お部屋探検


 目を覚ますと金色の瞳がこちらをじっと見つめていた。


『ユアン起きてたの?』


 ユアンはこくりと頷いた。


「ミケみてた」


 いや、そんなに見られても何も出ませんが。前世のような絶世の美女でもないし。


 何ならそのままニコニコ笑顔でこちらを見るユアンの方が何倍も可愛い。


「ミケおきる?」


 頭もスッキリしたし、そろそろ起きよう。

 しかし今は何時なんだろう。

 窓からはオレンジ色の光が差し込んでいる。

 おそらく夕方?

 

 時間の概念も前世と同じなのかしら。


『ユアン、いまの時間分かる?』


「もうすぐよる」


 ユアンにも朝、昼、夜の区別はつくようである。いなくなった侍女が基本的なことをいろいろ教えてくれたのかもしれない。


『晩御飯はいつくるの?』


「へやがくらくなってランプがついたら」


 ランプ!!

 まだ見てないけどランプがあるのね。

 この部屋も見えているようで見えてないのかも。何か役に立つものがあるかもしれない。


『ユアン私を抱いて部屋を案内してくれる?』


「うん!」


 ユアンは私を抱いて飛び起きた。


 その拍子に胸元の輝きが目に入る。


『そう言えばユアン、胸元の宝石は何なの?』


 ユアンは慌てて胸元の宝石が見えないように服を整えた。


「……わからない。でもみせちゃだめって」


『それは前にいた侍女さんが?』


 ユアンはこくりと頷いた。

 どうやら何かあるらしい。……全然分からないけど。また、情報が入るのを待つしかない。


『よし!ユアン部屋を案内して!』


「うん!」


 ユアンは私を抱いて歩き出した。

 

 おっと……。


『ユアン!私の向き逆にして!』


 このままではユアンの服しか見れない。


 ユアンは私の言葉に従い、向きを逆にしてくれる。


「まど」


 カーテンも何もない殺風景な窓から外を覗いてみる。

 どうやらここは2階らしい。外には花壇が見える。

 いざとなったらここから逃げられるかも……。

 でも窓を開けるレバーが見当たらない。これはもしかしてはめ殺し窓?


『ユアン、ここは開く?』


 ユアンは首を横に振った。


 やっぱり。ここから逃亡は難しそうである。


『次に行こう』


 ユアンはまた動き出した。


「トイレ」


 ……良かった。トイレは普通にドアがついてある個室になっている。プライバシーは守られそうである。


「チェスト」


 次は部屋の隅にある古ぼけた3段の小さなチェストに案内してくれた。


『ユアン開けてくれる?』


 ユアンは言葉に従い一段目からチェストを開ける。


 一段目には数枚の下着類が入っていた。めぼしいものはなさそうである。


 二段目、ユアンが今着ているのと似た服が数着入っていた。こちらも使えそうな物はない。


 三段目、中には小さな肩掛けカバンと帽子が入っていた。こちらはほとんど使われていないからか、比較的綺麗である。それに小さな巾着が一つ。ロケットペンダントが一つ。


『ユアン、カバンと巾着を開けてくれる?』


 ユアンはこくりと頷くと中を開けて見せてくれた。


 カバンや巾着には何も入っておらず空である。


『ペンダントも開ける?』


 ユアンは素直にペンダントの蓋を開ける。

 中には銀髪、金眼の美女が描かれていた。


「これ、たからもの。かあさま」


 銀髪、金眼。今は薄汚れて灰色に見えるけど、ユアンは銀髪なのかもしれない。顔立ちはそっくりだから可能性は高そうである。


 これは大切にしまっておこう。


『ユアン、巾着を借りてもいい?』


 カバンは大きすぎるから、使えそうなのは巾着ね。


 ユアンはこくりと頷く。


『ユアンには私のカバンを貸してあげる』


「あリがとう」


 ユアンが私に巾着を持たせてくれ、逆に私のカバンを手に持った。


 これで何か必要な物があればゲットできるわね。


『ユアン、次案内して』


 そのままへやを探索する。


「つくえ」


 古ぼけた何の変哲もない机が一つ。先ほどユアンが飲んだスープが置かれていた机である。今は水の入ったコップが一つだけ置かれている。


『他には?ランプはどこにあるの?』


 最初に見つけられなかったランプはどこだろう。


「ベッドのかべ」


 そう言うと、ユアンは私にベッドの後ろの壁を見せてくれた。確かに小さいがランプのようなものがついている。


『どうやって明かりをつけるの?』


 見た所スイッチはない。原始的なものなら中にろうそくが入っていて取り換えも考えられるが見たところろうそくは見当たらない。


「くらくなったらつく」


 自動で付くなら魔法か電気か。時間がきたら確認しておこう。


 あら。ベッドの壁、下の方が脆くなって穴が開いてる?部屋の中もボロボロだけど、建物も古いのかもしれない。

 

「おわり」


 どうやら一通り部屋は確認できたらしい。しかし、子どもの部屋に似つかわしくない本当に何もない部屋である。おもちゃも絵本も何もないし、朝侍女がご飯を持ってきた以外人の出入りもなさそうでユアンは本当に不遇な生活を送っている。


 ただ、ユアンはあまり発語も上手くないことを考えると生まれてから待遇はあまり変わっていない可能性が高い。


 幼児教育は大切と聞くけど、ユアンの成長はどこまで伸びるんだろう……ま、私がついているからにはよい男に育ててみせる。


 ユアンは大きな欠伸をした。

 やはりエネルギー不足で体力もなさそうである。すでに目がとろんとしてきている。


『ユアン、あリがとう。とりあえず寝ようか』


 ユアンはこくりと頷くとそのままベッドに丸まった。よし、この位置ならランプが見れる。私はそっちの確認ね!


『おやすみなさい、ユアン』


 いい夢が見られますように……。








 


 


 

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