アンデッド 3
とは言ってものの最初の難関はどうやって部屋に戻るかである。
「だっこする?」
ユアンが私に聞いてくる。
抱っこか……大きさが3倍近く違うけれどできるのだろうか……。
ユアンが言うのでとりあえず試してみる。
『ユアン、アンデッドを持ち上げられる?』
ユアンは私の言葉に従いアンデッドをお姫様抱っこする。持ち上げるのはいけてる。でも前はアンデッドで隠れて全く見えないようである。
これだとベランダに着地が難しそうね。
『ユアン背中にぶら下がらせて』
今度は背中におぶらせる。こっちは少し引きずるけれど何とかなりそう。
『アンデッドに落ちないようにできるか聞いて』
「おちない?」
「あ……あ……」
アンデッドは頷いた。骨だけだけど、歩けるのと同じように腕や指を使うこともできるようである。
『じゃあユアン、私を抱っこしてアンデッドを背負ってベランダまで行ける?』
「うん!」
ユアンは大きく頷くと、地面を蹴った。
落ちる時と比べて上がるのはまだ気持ちが楽である。
ドン
無事にベランダに着地するが、アンデッドの身体がベランダの外に垂れ下がっているので早くベランダに上げないと。
『ユアンアンデッドの身体を引き上げて』
ユアンはこくりと頷くとアンデッドの身体をベランダの中に引き上げた。
しかし、骨だけなのにバラバラにならないのは見ていて不思議である。ま、ぬいぐるみが歩くのも一緒か。
『さ、部屋に戻りましょう』
とりあえず見つかる前に部屋に戻らないと。
私たちは部屋へと急いだ。
が、ここで大きな問題に直面した。
アンデッドが大きすぎて、倉庫から部屋へ入る穴が通れない。
うーん、どうしよう。
穴を広げるのは簡単だけど、これ以上大きくなると隠しきれないかもしれない。
バラバラにしてみる?
なんか前世の世界では、骨とか取外し自由だったわよね。
『ユアン、アンデッドに骨を外せるか聞いて』
「ホネ、はずせる?」
「あ……あ……」
アンデッドは試しに指を引っ張ってみているが、外れる雰囲気はない。
アンデッドは首を横に振った。
骨をバラバラにして運ぶのは無理か。
うーん。
私が考え込んでいると、アンデッドが何か見つけたのか棚に手を伸ばす。そこには黒板とチョークのような物が置かれてあった。
上の段は正直あまり調べられていないのよね。
大きさが小さいため上の段は正直見づらい。大きな物くらいしか把握していなかった。
黒板とチョークなんかあったのね。
アンデッドはいそいそと黒板に何かを書いていく。
『私はこちらにいるのは難しいでしょうか?』
美しく読みやすい字が黒板には書かれていた。
字が書けるの!?
これは大きな発見である。
これなら意思疎通が私ともできる。
私はユアンの腕から下りると、アンデッドからチョークを受け取った。
よし。
返事を書いて……。
私は黒板に字を書きかけて、手が止まる。
字が……書けない!?
読めるから書けるものと思ってたけど、読むのはチートで読めても書くのは無理なのか……。
『ユアン、アンデッドに構わないと伝えて。ただ、人が来る時はユアンが教えてあげないと……確か奥にカーテンがあったから、それで隠れるようにしたら良いわ』
「だいじょうぶ。ひとがきたら、ユアンがつたえる。おくのカーテンかぶる」
それを聞いて、アンデッドがまた書き込む。
『分かりました。とりあえずはここで過ごそうと思います』
よし。とりあえずアンデッドの居場所はできた。
『ユアン、部屋に帰りましょう』
あまり遅くなると侍女が来てしまうかもしれない。
「……でも」
ユアンは名残惜しそうにしているが、アンデッドがそっとユアンの背中を押してくれる。
『いつでもお待ちしております』
アンデッドが穴のところで見送ってくれる。
「またくるね」
ユアンは私を抱えると穴から部屋へ戻った。
そして疲れていたのかベッドに直行する。
「ミケ、おやすみ。アンデッド……またあした」
『そうね、また明日。ユアン、おやすみなさい』
そのまますぐに寝息が聞こえてきた。
今日はいろいろあった1日だった。
アンデッドを拾って持って帰るという大仕事も達成したし。
それにしてもあのアンデッド見た目によらず、礼儀正しそうである。
やっぱり第一王子なのかしら。
確か第一王子なら魔法が使えるのよね。
何か私やユアンの役に立つかも……。
下手にアンデッドの呪いに首を突っ込むと藪蛇になりそうだけど。
ま、時間だけはたっぷりあるから、またアンデッドにいろいろ聞いてみよう。
とりあえずは私も疲れた。
ユアンの腕の中で私も目を閉じた。




