ピンチ2
絶対絶命のピンチ!!
私ではなく侍女のリリが。
なぜかリリと順番を入れ替えた怪しい男女。
いったいなぜなのか!?
なんて悠長に考えてる暇はない。
順番が一番後ろになったからある意味時間稼ぎができるけれど、リリの番はもうすぐ次である。
なんかないの!!なんか!!
気持ちだけ焦るが、何も思いつかない。
でもこのままあの男女にリリがしてやられるのも気にくわない。だってリリは無実だからね。
そうだ!!一か八か……。
1人が食べ終わり、いよいよ次が最後の騎士になる。
入って来たのは……レアル!!
まさか、男女が陥れたい相手ってレアルなの!?
でもそれならリリが狙われたのも納得できる。
つまり、あの男女はこの間の件で何らかの不利益を被った、もしくは第3王女の手先の可能性が高い。
なんて考えている間にリリが前へと進む。
ちょうどセリンの前を通る!!
今!!
私はセリンのポケットからジャンプした。
ポトリ。
リリと目が合う。
私はニヤリと笑った。
「キャー!!!」
リリは大声を上げて叫ぶと、トレーを床へと落とした。
「……あっ……」
リリはすぐに正気に戻ると、レアル様を見て別の意味で青ざめた。
「申し訳ありません!!すぐに新しい物をご用意いたします」
言うやいなやすぐに部屋を飛び出していった。
よし!!
作戦成功!!
ある意味捨て身作戦だけど上手くいって良かった。
男女を見ると悔しそうな表情を隠しきれていない。
よしよし!!
存分に悔しがりなさい。
ピロン
レベルアップの音が耳に響く。
よし!!捨て身作戦を決行した甲斐があったわ。
床の上でニヤニヤしていると、ガチャと隣室との続きドアが開いた。
「何ごと?」
悲鳴を聞きつけた第2王女が部屋に入ってくる。
レアルを除いた全員が壁際により、頭を下げる。
「侍女が誤って食事のトレーを落としただけです。ご心配をおかけして申し訳ありません」
レアルが立ち上がり丁寧に説明する。
「……そう」
第2王女は落ちた食事を見つめ何やら思案しているようである。
「食事を落とした侍女は?」
「新しい食事をとりに行っております」
「そう。……全員面を上げなさい」
そう言うと、第2王女は侍女たちを1人1人ゆっくり見定めていく。
……もしや何か気づいてるのかしら?
第2王女はレアルの側に行くと、何やら耳打ちしてその場を立ち去った。
第2王女と入れ替わりで先ほど食事をしていた騎士が数名部屋へと入る。
「右から3番目の女だ」
レアルの指示で、食事に何か入れたであろう侍女が取り押さえられた。
「急に何をなさるのですか!!」
侍女はわけがわからないというように、騎士に向かって叫ぶ。
「理由はお前が一番よくわかっているはずだが」
「何のことか分かりません!!」
「右のポケットだ」
レアルは取り押さえている騎士に指示を出し、右のポケットから何かを取り出させる。
「ありました!!」
白い粉の入った包。間違いなく食事に入れた何かだろう。
「知らない……こんなの知らないわ。そうよ、今食事を取りに行っている侍女が入れたのよ!!」
リリに罪をなすりつける作戦だけど……
「それなら食事を落としたことがおかしいだろう。俺に食べさすつもりならなおさらな」
「たまたま落としただけかもしれないじゃない!!」
「落としたのは偶然だろう……だが、お前のポケットに薬を入れる意図は?」
「……それは、最初は私に罪をなすりつけようと考えていたとか……」
「失敗した段階でお前を呼んで食事を一緒に取りに行くなどするだろう。あの侍女が犯人なら計画が杜撰すぎる」
「そんなの私が入れたかどうかも分からないじゃない」
「……そうだな。だが触ったことは分かる。右手を出してみろ」
「右手?」
取り押さえられながら、侍女は右手を前にだす。
「……何よこれ!!」
侍女の親指と、人差し指、中指の先が黒ずんでいた。
「毒について聞かされていなかったんだな。これは皮膚につくと炎症を起こす毒だ。だから知ってるやつは手袋をかかさない」
「……そんなの……」
一瞬隣の男性をちらりと見る。
「聞いてなかったのか?おそらくお前も捨て駒だな」
「違う、違うわ……私は……私は……」
目に涙を浮かべ首を大きく横に振る。
「詳しい話は別室で聞こう」
侍女は項垂れたまま、騎士に連れられて部屋を出た。
「後は2番目にいる男も一緒に連れて行け」
一瞬で騎士が男を取り押さえる。
「何を……」
「可哀想に。あの女裏切らても、最後までお前のことは言わなかったぞ。お前は手袋をしているにも関わらずな。ただ、目線だけは誤魔化せなかったがな……連れて行け」
侍女の一瞬の目配せを見逃さなかったか。
やはりこの男デキる。
「お前が、お前が兄の人生を奪ったんだ!平民初の騎士だったのに……あの女とお前さえいなければ!!」
男は叫びながら騎士に連行され部屋を出て行った。




