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20/27

ピンチ1

 すみません。投稿順を間違えていました。ここから再度投稿します。申し訳ありませんでした。


 お昼時になり、侍女長がやって来た。

 

 部屋を確認し、頷く。


「今から第2王女がいらっしゃいます。全員壁側に控えなさい」


 指示に従い、部屋を掃除していた全員が壁側に立ち頭を下げる。


 ドアが開く音とともに、まずは護衛昨日が部屋へと入ってくる。続いて、現れた真っ赤な髪に紅色の瞳、ナイスプロポーションのゴージャスな女性、間違いなく彼女が第2王女だろう。 


「構わん。面をあげよ」


 全員が下げていた頭を上げた。


 王女は部屋を確認した後、壁側に立つ使用人全員を一瞥すると、ソファーに腰を下ろした。


「ふむ。まぁまぁね。とりあえず隣に下がりなさい」


 その言葉に従い、全員が王女の部屋とドアで繋がっている別室へと移動した。部屋はかなり広く、簡易ベッドも置かれている。おそらく使用人の待機部屋であろう。


 王女というより、女王タイプね。

 前世の私にどことなく似ている。

 つまり、私とは馬が合わない可能性が高い。

 似たもの同士は相容れないってやつね。信用はできないタイプである。


 隣で待機していると侍女長がやって来た。その後ろに騎士たちが続く。


「騎士様が交代で休憩されるわ。食堂から食事を持って来なさい」


 皆がその言葉で一斉に動く。

 いや、使用人も昼食食べてないんですけど。

 私の当たり前が当たり前ではないことにびっくりする。前世は罪人も3食食べられていたのに。


 リリは食堂で昼食を受け取り、そのまま踵を返して部屋へと戻りかけた時、使用人の一人に声をかけられた。


「なぁ、ちょっと構わないか?」


 先ほど一緒に掃除をしていた男性使用人である。手には同じく昼食を持っている。


「何?」


「そのポケットのぬいぐるみ、どこで手に入れたんだ?」


 ヤバい。

 私のことだ。


「ぬいぐるみなんて……ひっ」


 リリは私を見つけるとトレーをテーブルに置き、私を床に投げ捨てた。


「何で私のポケットに……おまけに何で大きさが違うの」


 青ざめた表情でガタガタ震えている。


 いや。

 ここまで怯えられると、申し訳なく感じる。


「いや、それは知らないけど、妹が猫好きなんだ。猫のマスコットは珍しいからどこで買ったか教えてもらおうと思って」


「私のじゃないから!好きにして」


 リリはそう言うと、トレーを掴み私を床に残して走り去った。


 男性は私を拾うでもなく、そのままその場に留まっていた。そして、いつの間にか隣にいた女性に尋ねる。


「……入れたか?」


 先ほどの穏やかな表情とは全く違う、感情を排除したかのような無表情である。

 

「……はい、スープに」

「……余計なことをするから罰があたるんだ」


 そう言うと、私を置き去りにして女性とともに歩き去った。


 ……これはリリ、ヤバいやつね。

 何がどうヤバいかは分からないけれど。


 っていうか、現状は私の方がヤバい?

 このまま朝までここにいるのは考えにくい。誰かに拾われて運が良ければ持って帰ってもらえるし、悪ければゴミ箱行き……。


 イヤ——ゴミ箱は嫌!!

 

 ぬいぐるみといえど、変な匂いがつきそうだし、万が一焼却されてしまたらジエンドである。


 どうする?とりあえず端まで動く?

 幸い今は人がいない。目立たない場所まで移動するなら早い方が良い。


 覚悟を決めるか……そう思っていると足音が聞こえた。


 ……運が悪い。

 

 とりあえず、素通りしてくれますように……。

 うつ伏せの状態だから周りの状況も耳でしか把握できないし……。


「……これは」


 この声!聞いたことがある。


 そっと私の身体が持ち上がった。


「やはり。同じ人形の形……でもサイズが違う……」


 セリン!!


 セリンは少し悩むように私を眺めていたが、そのまま私をポケットに入れるとトレーを持ち直して歩き出した。


 良かった。ひとまず私の安全は保証された。


 セリンが部屋に入ると何人かの騎士がテーブルに座り食事をしていた。


 リリは……まだトレーを持って立っている。


 騎士は食べ終わると隣室に戻り、代わりの騎士が部屋に入ってきた。


 さっきの話から何かしかけてあるとしたら、おそらくスープ。銀食器も使ってないし、どうすればリリに気づいてもらえるだろう。


 順番に食べ終え、このままいけば、次の騎士にリリの食事があたる。


「リリごめん。順番変わってもらっても良い?お腹が痛くて……」


 この声。さっき、男とスープに何か入れたって話していた女!!


「良いわよ」


「セリン、手伝ってほしいことがあるから、先に食事を渡してくれるか?」


「ええ」


 男もセリンを呼び、これでリリの順番は一番最後になった。


「リリごめんな」


「大して変わらないから大丈夫。そのかわり、さっきの人形の話は二度としないで」


 私の姿がよほどトラウマになっているのか、男に念押しする。


 いや、リリそれどころじゃないわよ!!

 

 このままいけば、昨日の二の舞、もしくは最悪の結果に……何とかしてあげたいけど……。


 


 

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