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ミニマム


 侍女たちは極限まで気持ちを張り詰めていたせいか、それぞれがベッドに横になって休んでいる。


 さて、私はステータスの確認と。


『ステータス』


「美亜  30歳

 呪い パペット化

 善行レベル 5

 スキル 1日2時間だけ動ける

     ミニマム

 持ち物 善行カバン レベル5 容量 見た目の8倍

 毎日カバンからリンゴ2個とパン2個と牛乳、ベーコ     

 ンがでてきます」


 よし!2時間動けるようになったのはありがたい!


 あとは……ミニマム?


 見慣れない表記がある。

 こういうのってその言葉を考えたら、内容が分かるとかよね。


 ミニマム、ミニマム、ミニマム。


 呪文のように頭の中で唱えるが、何も見えないし起こらない。


 じゃあ、この透明な板に触れると解説が出るとか……。


 私はミニマムと書かれている部分を手で押した。


 ミニマム


 ミニマム化と叫ぶと。身体が小さくなる。元に戻れと

 叫ぶと元の大きさに戻る。


 ふふん。ビンゴ!!


 なるほど、文字を押せば解説がでてくるのね。


 ミニマム化!!何だか便利そう。小さくなれるなら隠れていろいろなところが調べられそうである。


 時間制限も無さそうだし、誰もいなくなったら使ってみよう。


 侍女たちは結局そのままぐっすり寝ている。


 今ならいろいろ試しても良さそうである。


 どのくらい小さくなるか比べる物がある方が良いわね。


 よいしょとチェストから下りると、ベッドで横になっている侍女Aの横に寝転ぶ。侍女Aと比較すればどれくらい小さくなったかが分かりやすいだろう。


『ミニマム化!!』


 ちょっとカッコつけて叫んでみる。前世と合わせて初めてのファンタジーっぽい魔法?スキルである。


 みるみる間に身体が小さくなる。


 おおっ!!

 かなり小さくなった。

 侍女Aが巨人に見える。


 大きさは…… 

 侍女Aの親指くらいの大きさになっている。


 これならこっそりポケットに入っていろいろ見て回ることもできそうだ。


 そういえばと右手を見ると、巾着も同じく私が持てる大きさに小さくなっていた。同じく中の金貨や銀貨も小さくなっている。


 ということは私が持っている物は小さくなれるということね。


 物は分かったけれど、生き物はどうだろう。


 それが可能ならユアンとともに一気にここから出ていく手段が見つかる。


 昨日の雰囲気からさして、獣人のユアンは長くいても良いことにはならなそうだから、早めにここから抜け出す方法を考えないと。


『元に戻れ』


 一度元の大きさになる。


 ミニマム化と叫ぶときに持っている物が小さくなるなら、とりあえず侍女さんに触れて侍女さんが小さくなるか試してみましょう。


 ピトッと侍女さんに触れる。


『ミニマム化』


 侍女さんが小さく……


 ならなかった。


 ……残念。


 となると、生き物はだめっぽいわね。

 ま、そんなにうまくいかないか。


 ただ、使えそうなスキルなことに変わりはない。


 とりあえずこのまま侍女Aの服のポケットに潜入しましょう。


 私はこっそり侍女Aのポケットに潜り込んだ。


「……う—ん」


 ビクッ


 そっと侍女Aを見上げる。

 

 気づかれたかとビクッとしてしまったが、どうやら寝返りをうっただけのようである。


 侍女Aはそのまままた寝息を立てて眠りにつく。


 よしよし。後はまた明日。


 私も瞼を閉じた。


 


 次の日の朝、侍女Aが身体を起こすと同時に私も覚醒する。

 

「……寝た気にならない」


 皆あまり顔色は冴えない。


「よく寝たはずたけど……」

「お腹すいた」


 会話は昨日と同じように続いている。


「昨日チェストの上のぬいぐるみが動いた気がする…」


 ギクッ


 寝ていたように見えたけど、意識はあったのね。

 これは絶対絶命のピンチ!?

 でも今はポケットの中にいるから大丈夫なはず。

 冷や汗をかきながら侍女の様子を伺う。


「ぬいぐるみ、そんなのあった?」

「見たことないわよ」

「いや、確かに猫のぬいぐるみが…無いわね」


 侍女Aがチェストの上を見るが何もない。


「疲れてるのよ…いや、これは私たちみんなね」

「ええ、昨日…」


 言いかけて言葉を止める。


 よし。話が変わった。


「昨日夕食も食べそこねたしね」


 昨日の話を避けたいのか、わざと明るい声を出しているのが分かる。


「うーん、服どうしよう?今日は天気悪そうだし…」


「クリーンかけてあげようか?」


「できるの?」


「生活魔法だけ少しね」


 私がポケットにいる侍女Aは魔法が使えるようである。


「……もしかして貴族?」


 少し怯えたように1人の侍女が尋ねる。

 昨日の今日だからね……。


「まさか、曾祖父ちゃんがそうだったらしいから、その血がでたんじゃないかって。ただ、大したこともできないから黙ってるんだ」


「平民でも魔法が使えたら玉の輿に乗れるかもよ」


「……いやよ、良いように使われてポイよ。……昨日の件忘れたわけじゃないでしょう?」


「……それもそうね」


 皆が納得したように頷く。


 魔法は貴族しか使えないのか……。


「普通が一番よ。じゃあかけたげるわね。クリーン」


 侍女Aがクリーンと唱えると、見た目にも皺になっていた侍女服がパリッと変化している。


「うわ——あリがとう。本当にスッキリした!!」

「ほんと!ほんと!こんな裏技隠してたなんて……またお願いね」


 便利そうな魔法である。ぜひ使えるなら私も使えるようになりたい。


「たまにならね。下手に魔法が使えることがバレて厄介な目に合うのは勘弁したいから」


「それもそうね」


「普通が一番」


「「普通が一番」」


 皆で集まり小声で確認する。


「……昨日私たちは体調不良で早退した」

「ええ」

「誰に何を聞かれてもそう答えましょう」

「分かったわ」


 お互いに頷くと、そのまま姿勢を正して部屋をでた。


 私はもちろんポケットの中にちゃんと入っている。

 さ、とにかく行ってみましょう!!

 


 


 


 

 

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