隠し場所
宝石の中って、そんなのあるはずがない。
本当にどこが良いかしら?
深夜になれば私も動けるから、持って廊下に出てその辺のどこかに入れたら良いけれど……果たして深夜まで持つかどうかが問題よね。
うーん。
手っ取り早いのは窓から捨てる?
ここの部屋の窓ははめ殺しに……なってない!!
窓が開く……というかベランダになってる?
洗濯物が干してある。
隣までも近い……頑張れば飛び移れそう。
よし!!
私は巾着に指輪を入れた。
隣と繋がってるし、これね!!
誰かに見られても猫とごまかせるでしょう(多分)
私はベランダに身を乗り出すと、思いきって飛んだ。
いや、思いきりすぎ!!
猫のぬいぐるみだからか跳躍力はあるようである。
一つ向こうのベランダに無事に着地した。
念には念をいれてあと2回くらい飛ぼう。
そのまま6つ向こうの窓に無事に着地した。
よし後はこれを遠くに飛ばすだけ。
確か裏は墓地と言ってたわね……。
大丈夫と信じて。
え——い!!!!
私は思いっきり指輪を放り投げた。
ぽてっ
近くの茂みに落ちる。
……大丈夫……多分。
さて、戻ろう。
任務は果たした。
後は結果を待つのみ。
私はもとの部屋に戻るとチェストの上に飛び乗った。
いや、ベッドの下にあるのって怪しくない?
隣の部屋に入るのも考えたけれど、やはり結果が気になる。
こういうのは堂々としてたらなんとなく誤魔化されるはず。多分!!
ちょうど活動限界のリミットのようだ。
後はどうなるかね……。
私はそのまま、ゆっくりと目を閉じた。
バタバタバタ
しばらくすると、複数の足音が聞こえてきた。まだ日は高い。思っていた以上に早く室内の捜索が行われるようである。
ガチャ
扉が開きおそらく朝しゃべっていた侍女と、先ほど部屋にやって来た騎士が入ってきた。
「これより抜き打ち調査を行う」
若い騎士が侍女に告げる。
「……あの、そもそもなぜ私たちの部屋が調査の対象に……?」
侍女たちは困惑した表情で互いを見つめている。
「……この部屋に第3王女様の指輪があると秘密裏に訴えがあった」
いや、ないないない。
絶対にない。
「……それでしたらその方が犯人でこの部屋に隠したのでは……」
侍女A鋭い!!
隠したのは目の前にいる騎士だけど。
「いや、それはない。訴えたのはここには来ることが無い高貴な方だからな」
「……」
侍女たちは不安そうにお互いの顔を見つめる。
それはそうだろう。
この流れはマズイと気がついている。
それにしてもこの騎士馬鹿なの?
そもそも高貴な方がなぜこの部屋に指輪があると予言できるのよ。
設定が無理すぎて笑えてくる。
「あの…ではなぜこの部屋に指輪があると分かったのですか?」
侍女Aも同じことに気がついたようだ。
「それは……おそらくだがその方に仕えている侍女から訴えがあったのでは」
「でしたら、その侍女の方が怪しいのではありませんか?」
その言葉に他の2人の侍女もコクコクと頷く。
「いや、かの方かそんなことをするはずがない。側仕えの侍女もな」
うわ——。
無理やり話を終わらせた。
侍女たちの顔がどんどん青ざめていく。
「それでは犯人は私たちに決まっているということでしょうか……」
「ああ、お前たちのうちの誰かだろう。調査を行うと話してからこの部屋は見張りをつけてあり誰の出入りもなかったことは確認済みだ。とりあえず部屋を確かめる。確認しろ!!」
それまで待機していた残りの騎士がチェストを確かめに行く。
侍女たちはついに泣き出してしまった。
騎士は迷うことなくあの引き出しを開けた。
「……あれ?」
チェストの中を探るが指輪が見つからない。他の引き出しも全て開けて確認するがもちろんあるはずがない。
騎士は震える声で告げた。
「指輪がありません!!」
「なに?そんなはずは……見せろ!!」
おそらく指輪を隠したであろう本人がチェストを確かめる。中から全て物を取り出すが見つからない。
「部屋中探せ!!」
声を荒げると部屋中の捜索にかかる。
ベッドの中も下も確認し、他のチェストも全て荷物を外へと放り出しとにかく必死に探している。
私も巾着を確認され上下に振られ床へと放り投げられた。
騎士たちは部屋中全て見て回ったが、もちろん指輪は見つからない。
「お前たち、指輪をどこに隠した!!」
騎士は必死の形相で問い詰める。
「知りません!本当に知らないんです!!」
「騎士様もおっしゃったように調査を行うと聞いてからこの部屋には入っておりません!」
「お願いします!!助けてください」
侍女たちは泣きながら訴える。
「そんなはずはない!!お前たちがどこかに隠したんだ!!もういい!!別室で取り調べを行う!!」
うわ。
予想以上のクズ。
騎士が1人ずつ侍女さんを拘束する。
侍女たちは泣き崩れており、立つのもやっとの様子である。
これが平民の現実か……。
可哀想だが、これ以上私ができることはない。
「そんなはずはないとはどういうことだ?」
半ば諦めかけたとき、別の人物が部屋に入ってきた。




