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宝石泥棒


 複数の足音が聞こえてくると、部屋のドアがバンと開かれた。


 それと同時に複数の帯剣した騎士が乗り込んでくる。


「どこかにあるはずだ探せ!!」


「はっ!!」


 皆で手分けして部屋の隅々まで探している。


 もちろん捜査の手は私にも及んだが抜かりはない。


 上に下に振られ、ついでに巾着も確かめられたが無いことが無事に確認され、元に戻された。


 っていうか、揺られても気持ち悪くならないし、もしや痛覚とかの感覚も無いのかも……ま、今だけはラッキーである。


「ありました!!」


 ベッドが動かされると、例の女のベッドの下、床下の隙間から高価そうな指輪がでてきた。


「やはり当たりだな……この部屋の侍女を全員呼べ」

 

「はっ」


 何人かが部屋から飛び出していく。


 数分の後に騎士たちが4人の侍女とともに部屋へ戻ってきた。


「連れて来ました」


 そこにはさっきの嫌な女と、ユアンを調理場まで連れて行った女、それと優しい侍女、あと1人見知らぬ女性がいた。


「この部屋から第2王女様の部屋にあった指輪が見つかった!!犯人は名乗り出ろ」


 騎士は恫喝するような声を張り上げる。


 もちろん誰も名乗りでない。


 誰もが顔色悪く無言でうつむく中、あの嫌な女が声を発した。


「あの……指輪はどこから見つかったのですか?」


 表情が明らかにニヤついている。自分の偽装工作に自信があるのだろう。


「その前にそれぞれのベッドを確認する。自分のベッドの前に立て!!」


 それを聞いて嫌な女はますます笑みを深めた。


 指輪は私に隠したから、うたがわれるのは 優しい侍女と確信しているのだろう。


「……ベッドの位置に間違いはないか?」


 全員がベッドの前に立ち、頷く。


「よし!捕らえろ!!」


 一斉に騎士が捕縛にかかる。


 捕まったのはもちろん……嫌な女である。


「どうして……どうして私が捕まるの!!あの女よ!!私じゃないわ!!……そうよ、きっと何かの誤解よ!!」


 髪を振り乱して、なりふり構わす叫びまくる。そして優しい侍女さんにくってかかる。


「セリン!!あんた私をはめたわね!!」


 セリンと呼ばれた優しい侍女は困惑した表情を浮かべた。


「……あの……何のことか分かりません」


 そりゃセリンは関係ないもの。


 はめたのはもちろん私である。


 皆が来ないのを見計らって、嫌な侍女のベッドの下の床下の隙間に指輪を隠したのだ。

 

 ナイスプレー!!私!!


「あの女、セリンが私をはめたのよ!!確かに私はあのぬいぐるみの巾着にセリンが指輪を入れているのを見たもの!!私じゃないわ!!」


 自分が入れたくせに、往生際が悪い。


「失礼します」


 部屋にあらたな騎士がやってきて、取り調べを行っている騎士に耳打ちした。


「……そうか。裏も取れたな。おい、いい加減に堪忍しろ。お前が一斉に点検を行うと通達した後、一人だけ部屋に戻ったことも確認が取れている。これ以上白を切るようなら自白剤の投与も検討するぞ!!」


 自白剤と聞き、堪忍したのか嫌な女は抵抗をやめた。


「……そうよ、わたしが盗んだのよ。でも床下になんか隠してないわ!!私はあのぬいぐるみの巾着の中に入れたのに……」


 皆の視線が私に集まる。


「こいつ以外に部屋の出入りは?」


「ありませんでした」


 騎士は哀れむような視線を向けた。


「盗癖だけじゃなくて妄想癖も患っているのか……ま、何にしろすぐに楽になれるさ。平民の窃盗は斬首と決まっているからな」


「あ……あ、ああああああ」


 女はそれを聞いて狂ったように叫ぶと、キャパオーバーしたのか白目をむいて失神した。


「連れて行け」


 騎士たちは引きずるように女を連れて部屋から出て行った。


「今回は単独犯と言われているが、念の為お前たちも取り調べを受けてもらう。ついて来い」


 そう言うと残った3人とともに全員部屋から出て行った。


 やったー!!1人無事に成敗!!


 私は1人ガッツポーズをした。


 優しい侍女、セリンが取り調べを受けるのはかわいそうだけど、こればかりはどうしょうもない。おそらく私が入れ替えなかったら疑われて斬首だったかもしれないからそれに比べたらかなりマシだろう。


 連座で捕まるとかは避けてもらいたいが、こればっかりは天に運を祈るしかないわね。

 

 とりあえず、ユアンの元にやって来ていたのが身分の低い平民の侍女ということ、後は平民の命は貴族と比べて軽そうだということが分かった。


 ピロン


 聞き慣れた音が耳に響く。


 よし!!とりあえずセリンを助けたことでレベルアップしたらしい。嫌な女は自業自得で死んじゃうけど。


 さてとりあえず何ができるようになったか確認しよう。


『ステータス』


「美亜  30歳

 呪い パペット化

 善行レベル 4

 スキル 1日1時間だけ動ける

 持ち物 善行カバン レベル4 容量 見た目の4倍

 毎日カバンからリンゴとパン2個と牛乳、ベーコン 

 がでてきます」 


 よし、活動時間が伸びた。後はカバンの容量が増えたのとパンが2個になってる。


 順調!順調!


 後はセリンが無事に帰ってくるだけね。


 私はのんびり待とうと目を閉じた。

 


 


 


 

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