初めてのお買い物
朝。
宿屋の一室。
「レイー、起きてくださいー」
レミナが優しく揺する。
「んぅ……」
白い尻尾がふにゃりと揺れた。
アリサが笑う。
「まだ寝てるぞ!」
「昨日はしゃぎすぎたな」
セリナも苦笑した。
アイリスは小さく呟く。
「かわいい」
レイ。
「聞こえてるよ……」
全員笑った。
朝ご飯を食べ終えた後。
セリナが立ち上がる。
「今日は服を買いに行くぞ」
「服?」
レイは首を傾げる。
「新しい服です」
レミナが説明する。
「今の服、穴だらけだしな!」
アリサが言う。
レイは自分の服を見る。
確かにボロボロだった。
「新しい服!」
耳がぴこんと立った。
服屋に到着。
店主のおばあさんが出迎える。
「いらっしゃい」
「おやおや?」
「可愛い子だねぇ」
レイ。
「こんにちは!」
店員のお姉さんも出てくる。
「わぁ!」
「耳と尻尾本物!?」
「ふわふわ!」
レイ。
「触る?」
「いいの!?」
店員は大喜びだった。
しばらくして。
レミナが服を持ってくる。
真っ白なワンピース。
ふわふわ。
フリフリ。
リボン付き。
アリサも持ってくる。
「こっちも可愛いぞ!」
アイリスも別のワンピースを持ってきた。
「これ」
セリナまで頷く。
「どれも良いな」
レイ。
「?」
気付けば。
試着室の前。
店員。
「さぁ着替えましょう!」
レイ。
「え?」
「きっと似合いますよー!」
レイ。
「え?」
レミナ。
「楽しみです」
アリサ。
「絶対可愛い!」
アイリス。
「楽しみ」
セリナ。
「見てみたいな」
レイは困惑した。
そして。
ぽつりと言う。
「僕、男の子だよ?」
・・・・・・。
全員停止。
店員。
「え?」
店主。
「え?」
セリナ。
「え?」
レミナ。
「え?」
アリサ。
「え?」
アイリス。
「え?」
レイ。
「だから男の子だよ?」
数秒後。
「えぇぇぇぇぇぇ」
服屋に叫び声が響いた。
店員。
「女の子じゃなかったんですか!?」
店主。
「てっきりそうだと思ってたよ」
アリサ。
「私も!」
レミナ。
「私もです!」
アイリス。
「私も」
セリナ。
「私もだ」
レイ。
「なんで!?」
それでも。
ワンピース試着会は始まった。
レイ。
「なんで!?」
数分後。
カーテンが開く。
白いフリフリワンピース姿のれい。
白髪。
白い耳。
白い尻尾。
青い瞳。
全員。
「かわいいぃぃぃぃぃ!!」
店員。
「天使です!!」
店主。
「これは反則だねぇ」
レミナ。
「可愛すぎます!」
アリサ。
「やばい!」
アイリス。
「すごくかわいい」
セリナ。
「似合いすぎるな……」
レイ。
「僕男の子なんだけど!?」
その後。
れいは別の服も試した。
黒いフード。
黒い短パン。
子供らしい服。
カーテンが開く。
今度は全員。
「かっこいい!」
店員。
「小さな冒険者さんですね!」
店主。
「こっちも似合うねぇ」
アイリス。
「好き」
アリサ。
「めちゃくちゃ似合う!」
レミナ。
「素敵です」
セリナ。
「これにしよう」
レイ。
「うん!」
やっと笑顔になった。
会計。
れいは黒フードだけ買うと思っていた。
しかし。
レミナ。
「ワンピースもください」
アリサ。
「リボンも!」
アイリス。
「靴も」
セリナ。
「全部頼む」
レイ。
「え?」
宿へ帰る。
荷物を整理していると。
白いワンピース発見。
「これ何?」
全員。
「…………」
レイ。
「なんで買ったの?」
レミナ。
「記念です」
アリサ。
「記念だ!」
アイリス。
「記念」
セリナ。
「記念だな」
レイ。
「なんの!?」
「絶対違うよね!?」
夜。
四人が部屋で集まる。
アリサ。
「見たい」
レミナ。
「見たいですね」
アイリス。
「見たい」
セリナ。
「私も見たい」
全員一致だった。
レイが部屋に戻る。
「ただいまー」
四人が並んでいる。
レイ。
「?」
セリナ。
「頼みがある」
アリサ。
「一回だけ!」
レミナ。
「お願いです!」
アイリス。
「着て」
レイは嫌な予感がした。
そして。
セリナがワンピースを持ち上げる。
レイ。
「やだ」
即答。
全員。
「えぇぇぇぇ!」
レイ。
「だから!」
「僕男の子だよ!?」
レミナ。
「一回だけです!」
アリサ。
「お願い!」
アイリス。
「見たい」
セリナ。
「頼む」
レイ。
「なんでそんな見たいの!?」
結局。
根負けした。
「本当に一回だけだからね!」
全員。
「やったー!!」
数分後。
ワンピース姿のれいが出てくる。
全員。
「かわいいぃぃぃぃ!!」
レイ。
「もう着ないからね!!」
耳まで真っ赤だった。
その夜。
レイは布団に潜りながら呟く。
「なんでみんなあんなに喜んでたんだろ……」
レイは不思議に思った。
そしてレイはモヤモヤしながら。
寝た。




