初めての冒険者ギルド
朝。
宿屋の部屋。
レイは黒いフードを被りながら鏡を見ていた。
白い耳がぴょこんと飛び出している。
アリサ・リリーが笑う。
「気に入ってるな!」
レイ。
「うん!」
「かっこいいでしょ!」
アイリス・ノエル。
「かっこいい」
レミナ・サリ。
「とても似合っていますよ」
セリナ・フィア。
「よし、今日は冒険者ギルドへ行くぞ」
レイ。
「ぎるど!」
耳がぴこん!
街の中心。
大きな建物が見えてきた。
レイ。
「でっかい!」
アリサ。
「ここが冒険者ギルドだ!」
レイ。
「冒険者いっぱい?」
レミナ。
「いっぱいいますよ」
アイリス。
「人だらけ」
レイはわくわくしていた。
扉を開く。
ガチャ。
中は大賑わいだった。
冒険者達。
受付嬢。
酒場。
クエスト掲示板。
レイ。
「8歳!」
冒険者達。
「可愛いなぁ」
レイ。
「あと僕、男の子だよ?」
・・・・・・。
冒険者達。
「え?」
冒険者A
「男!?」
冒険者B。
「嘘だろ!?」
冒険者C。
「絶対女の子だと思った!」
レイ。
「なんでみんなそう言うの!?」
ギルド中が笑いに包まれた。
受付へ向かう。
受付嬢が顔を上げる。
「いらっしゃいま――」
固まる。
レイを見る。
「か、かわいい!!」
ぎゅうううう!!
レイ。
「ふぎゃあ!?」
いきなり抱きしめられた。
レミナ。
「あはは……」
アリサ。
「やっぱりな」
アイリス。
「予想通り」
セリナ。
「すまない」
受付嬢。
「耳ふわふわ!」
「尻尾もふわふわ!」
レイ。
「たすけてぇ!」
しばらくして解放。
受付嬢。
「私はミリアです」
レイ。
「レイ!」
ミリア。
「よろしくね、レイちゃん」
レイ。
「僕男の子だよ!」
ミリア。
「え?」
数秒後。
「えええええ!?」
ギルド中に再び叫び声が響いた。
その後。
セリナ達はクエストを見始めた。
しかし。
アリサが気付く。
「ん?」
レミナ。
「どうしました?」
アリサ。
「レイは?」
全員。
「・・・・・・」
消えた。
セリナ。
「また迷子か」
アイリス。
「早い」
アリサ。
「レイぃぃぃぃ!」
レミナ。
「探しますよ!」
ギルド中を探し回る。
そして。
酒場スペース。
レイ発見。
冒険者達に囲まれていた。
冒険者。
「それで巨大猪がな!」
レイ。
「おおー!」
耳がぴこぴこ動く。
しかし。
アイリスが目を細めた。
「レイ」
レイ。
「?」
アイリス。
「ポケット」
レイ。
「?」
セリナも見る。
黒フードのポケットが異常に膨らんでいた。
アリサ。
「なんだそれ?」
レイ。
「え?」
ごそごそ。
あんぱん。
ごそごそ。
クリームパン。
ごそごそ。
あんぱん。
ごそごそ。
クリームパン。
ごそごそ。
あんぱん。
ごそごそ。
クリームパン。
全員。
「!?」
ミリア。
「どこから出したの!?」
冒険者達。
「多すぎるだろ!?」
アリサ。
「ポケットどうなってるんだ!?」
アイリス。
「謎」
レミナ。
「いつ集めたんですか!?」
レイ。
「非常食!」
全員。
「そんなに!?」
レミナ。
「レイくん……」
「またパンですか?」
レイ。
「好き!」
アリサ。
「そんなにか?」
レイ。
「好き!」
「特にあんぱん!」
「あとクリームパン!」
ミリア。
「可愛い……」
レイは嬉しそうにパンを抱える。
「だって」
少し笑う。
「洞窟では魚しか食べられなかったから」
その言葉に。
四人は少し黙った。
セリナが優しく頭を撫でる。
「これからはたくさん食べられる」
レイ。
「ほんと!?」
レミナ。
「もちろんです」
アリサ。
「今度もっと美味しい店に連れて行ってやる!」
アイリス。
「おすすめある」
レイ。
「やったー!」
尻尾がぶんぶん揺れた。
帰り道。
夕日が街を照らしている。
セリナ。
「明日は初クエストだよ」
レイ。
「クエスト!」
耳がぴこん。
アリサ。
「初めての冒険だぞ!」
レミナ。
「楽しみですね」
アイリス。
「わくわく」
レイは満面の笑みになった。
そして。
ポケットからあんぱんを取り出す。
もぐもぐ。
アイリス。
「予想通り」
セリナ。
「まだ食べるのか?」
レイ。
「別腹!」
全員。
「どこにそんなに入るんだ!?」
ギルドの前に笑い声が響いた。




