第一話:はじまり
2026/06/07、ステッパーを買った。たぶん世の中には、「だから何?」と思う人が大勢いる。
実際、私も他人がステッパーを買ったと聞いても、「そうなんだ」で終わる。運動器具だ。ホームセンターにもあるし、ネットでも買える。お金さえ出せば誰でも手に入る。
でも、私にとっては違った。
私は、このステッパーを買えなかった。正確に言うなら、買おうと思えば何度でも買えた。お金がなかったわけではない。
看護師時代に貯めた私名義の貯金があるし、夫も「好きに使っていいよ」と言ってくれている。
子どもの服も学校用品も買える、娘が「これ食べてみたい」「あれが欲しい」と言われれば夫と娘と三人で検討するし、休みの日には隣の市まで買い物にも行く。
夫の誕生日ケーキも買える。家族のためのお金なら使える。
では、なぜ私はステッパーを買えなかったのだろう。
理由が分からなかった。
必要だとは思っていた。
猛烈に運動不足を自覚していた、体重も気になっていた、ダイエットしたい気持ちもあった。
なのに買えなかった。
ネットで調べては閉じ、ホームセンターで見かけても通り過ぎる。そんなことを何年も繰り返していた。
不思議な話だ。
子どものためなら迷わず使えるお金が、自分のためになると急に重たくなる。
夫のケーキは買えるのに、自分の健康のための道具は買えない。
私はずっと、それを「意志が弱いから」だと思っていた。
怠けているからだと思っていた。
甘えているからだと思っていた。
でも最近、違うかもしれないと思い始めた。
この数か月、私はエッセイを書きながら自分の人生を振り返っていた。
子どもの頃のこと。
看護師時代のこと。
結婚してからのこと。
育児のこと。
そして、自分自身のこと。
すると一つの仮説が見えてきた。
私は、自分のために何かをすることが苦手なのではないか。
家族のためなら頑張れる。
患者さんのためなら頑張れる。
好きな人のためなら頑張れる。
でも、自分のためになると急にブレーキがかかる。
だからダイエットも続かなかった。
だから運動も続かなかった。
だからステッパーも買えなかった。
そう考えると、いろいろなことに説明がつく。
そして昨日。
私はついにステッパーを買った。
たぶん、これは運動器具を買った話ではない。
体重を減らす話ですらない。
これは、自分のために何かをする許可を出すまでの話だ。
だからこの連載は、ダイエットの記録でありながら、たぶんダイエットの話だけにはならない。
すでに第一話の時点でそうなっている。
先行きが不安である。
■2026/06/07■ 160㎝/60㎏
・ステッパー 10分
ステッパーを購入し、ウキウキしながら試してみたが歩数や使用時間がカウントされていないことに気づく。説明書を読んで操作するが改善されず。AIに助けを求めると操作ミスと故障の可能性を指摘される。
初日からコレって逆にネタになるんじゃないか?と認知が作用しそのまま10分行う。なお、カウンター装置以外の不具合は認められない。家族にはなんだか恥ずかしくて言えなかったため、バレないよう堂々とステッパーを使用した。娘と息子の前で使っていたら、娘に何度も交代をせがまれ息子はカウンター装置のスイッチを何度も連打していた。このまま装置は使えない方がいいと確信した。
■2026/06/08■
・ステッパー 5分 +α
起きてすぐに5分踏めた。その後は部屋を横切るたびにステッパーを踏んだ、回数と分数は不明だが小説投稿のように習慣化を目的としているためこれで問題ない。
本日は、娘が振替休日のため二人でファミリーレストランに行って食事をした。明太子カルボナーラが大変美味であった、「ダイエットする気あるんかい」という内なる被害妄想の声が聞こえるが無視する。
真面目に書いているんですが、Geminiさんに「コメディダイエットドキュメンタリーですね」と言われました。ChatGPTとCopilotさんにチクって反論を依頼しやり返しました。これ一つの生成AIだけだと怒ったり悩んだり傷つきますが、複数並列使用するとメタ認知みたいなのが働いて偏桃体が「あ、今攻撃された!!」から「……さて、どうやってやり込めようか」にシフトします。面白いです。




