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哀しいどこにでもある物語  作者: サン
第七章 動乱時代

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第九十八話 「」


そこから、カルドは黒曜騎士団を一新した。


多くの人間がいなくなったため騎士団の部隊の再編でしばらくは忙しかった。


騎士団に自分が新しい団長だと示した。

だがそこまで信頼はされてないようだ。

噂話も多かった。


しばらくして皇帝から話のあった宝物庫にある剣を下賜された。

黒い刃鉄に紺色の芯材の長剣だ。

重く、鋭く、頑丈な剣だ。

特殊な効果が付いたものではないがカルドはこれを選んだ。

銘は『落日』。

割と気に入っている。


鎧や盾なども騎士団長という立場に合った高品質なものに一新した。


そこから、新しくなった師団長たちとの顔合わせをした。


全員と話したが特に気になったのは師団長ではなく自分の近衛師団の連隊長たちだった。

何せ一番よく話す相手となるが、それだけが理由ではない。


敵の隊長との戦闘時にいた斧使いと弓使い、他には初対面となるが槍使いとカトラス使いがいた。


全員が手練れだ。

それと同時に曲者揃いでもある。


カトラス使いは舐めた口をきいてきたため一撃で叩き潰した。


それが噂になったのか騎士団の間でカルドを舐める風潮は消えた。

綺麗さっぱり。


気にしてはなかったが乱れていた風紀が元に戻ったならよいことだ。


そこからはまた忙しくなった。


新生黒曜騎士団は前よりも経験豊富な人間が減ったことで練度が下がっている。

そのためしばらくの間、それに関する取り組みを行った。

計画を考え、提案し、承認され、実行するまでに時間と労力が必要だった。


実行してからもしばらくはトラブルがよく起きていた。

面倒この上ないが仕方のないことだ。


何度か他の騎士団長と話して相談する機会があったのでそのおかげで多少は何とかなった。

白薔薇騎士団の団長、エデルは内戦の後処理で忙しいので主には赤竜騎士団の団長のアロガッツとだ。


アロガッツは基本的に無愛想だが、本質はちゃんとしているようなので気にはならなかった。

単に、そんなことを気にしてはいられなかったというのもあるかもしれない。


部下たちにもいろいろな人間がいた。


「仕事のしすぎでは?」と、大量の書類を見ながら言った者は多かった。


「たまには休んだら?」と、軽い口調で、だがその実心の中では割と本気で心配している様子で言った者もいた。

上官相手にそんな口をきけるものは少なかったが少しはいた。


「いくらなんでも働きすぎでは。」と、自身も仕事をして、顔色が悪くなりながら言った者もまた、多かった。


特に何も言わなかったがこちらの書類の山を見てドン引きしていた者はさらに多くいた。


そんなことを言われたのに、多少なりとも心が削られるような感覚があったのに、カルドは仕事を止めなかった。

カルドからしたら仕事はつらくない。




その方が、余計なことを考えないですむ。


その方が、嫌なことを思い出さないですむ。


その方が、何も考えないですむ。


その方が、逃げることができる。


その方が、胸の奥が苦しくない。


その方が、戦友の死に顔を思い出さないですむ。


その方が、部下の死に顔を思い出さないですむ。


その方が、燃え盛る帝都を思い出さないですむ。


その方が、内戦に巻き込まれて断末魔を上げる国民を思い出さないですむ。


その方が、未来のためという、復讐に囚われる自分よりも余程崇高な目的のあった反逆者たちを思い出さないですむ。


その方が、そんな者たちを自分の手で殺す光景を忘れられる。


その方が、その時、血だまりに反射して見えた自分の目に光る復讐の炎を忘れられるから。


だが、痛みが忘れさせてくれない。

目の傷は結局、時間が経ってたせいか回復魔法でも治らなかった。

目は見える。

ただ、たまに疼くのと、見た目が変わっただけだ。






ある日の夜、久しぶりに夢を見た。


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