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哀しいどこにでもある物語  作者: サン
第七章 動乱時代

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第八十七話 征矢


深夜、カルド率いる二個中隊はすぐさま行動を開始した。


どうせ隠密行動しても暗視などのスキルですぐにバレるので軽装ではなく鎧などをちゃんと着込んで重装である。

最初から陣形を組んでの突撃だ。


そして予想通り、まだ暗い森の中に潜んだままだというのに敵に存在を悟られたらしい。

建設途中の砦のほうで松明が慌ただしく動きだした矢先、松明が突然人間にしてはおかしい速度で動き出した。


馬に乗ったのだ。

それはそうだろう。

何せ彼らは重装弓騎兵、弓兵などではない

騎兵である以上、馬に乗っても機動力をあまり活かせない籠城戦を建設途中で防御力の低い砦でするよりも打って出たほうが断然戦いやすい。


予想通りの行動だったとはいえもし籠もってくれれば楽だったのにと落胆しながら盾を構えた。

敵の弓が馬上で比較的使われることの多い軽くて連射しやすい短弓ではなく高威力長射程の長弓なのは確認済みだ。


大型の全金属製の盾があれば余裕綽々なのだろうがそんな代物はコスト面でも重量等の実用面でも酷い代物でもあるため、大部分が木でできたありふれた盾しかない。

木でもかなり防げるから幅広く普及しているわけだがそれでも今回ばかりは防げるかが心配だ。


すぐさま一斉射が飛んできた。

ガスガスという音とハンマーで思いっきり殴られたかのような衝撃がしたがさすがに最初の一回では貫通しなかった。

だが部隊の何箇所で悲鳴がしたため、何人かは防ぎ損なって怪我したようだ。

当たりどころが悪ければ死んだ者もいるだろう。


だが少しくらいの犠牲で止まることなどできない。


闇魔法を撃ち込んでもみるのの、一人くらいは当たったみたいだが暗いので詳細が分かりづらい。

松明の微かな光を頼りに撃ち込みまくることにしたものの、大した打撃になっている雰囲気は無い。


今回、カルドたちの部隊の作戦は盾でひたすら耐えながら砦に近づき火を放つということだ。

砦はほとんどが木製なので火を放てばうまく燃え移っていくだろうし運が良ければ物資も燃えるだろう。

土で作られた部分はさすがにどうしようもないので放置だがこれだけやれば砦の完成が多少なりとも遅れるだろう。


ちなみに知っての通り敵は機動力の高い騎兵なので歩兵の足では近づくこともできない。

なのでカルドの闇魔法で牽制、できるならば打撃を与えることにしている。


詠唱を唱えながら狙いを定め、さらに闇魔法の槍を一気に十本ほど放つ。

威力や破壊力、貫通力は高いが炎魔法の爆発と違って面制圧ができないので数で補っているのだがそれでも効果は薄そうだ。


何せこの闇魔法の槍は弾速が遅い。

1本に絞ればそれなりに速くもなるのだがそれでも大した速さではないし、馬の速さ相手では分が悪い。


こうしている間にも悲鳴や痛みを堪えるようなうめき声が後ろからたびたび響き渡る。

一部の人間はカルドが小隊長だった頃からの仲間だ。

死んでほしくはない。


だが今は祈ること敵を少しでも攻撃して人数を減らすことしかできないのだ。


少しすると砦から土魔法も飛んできた。

砦を作っていた土魔法使いの仕業だろう。

闇魔法で何とか抑え込もうとするが何分数が足りない。


その後、部隊が撤退したときには少なくない被害が味方には出ていた。


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