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哀しいどこにでもある物語  作者: サン
第七章 動乱時代

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第八十五話 理由


数日後、帝都で動きがあった。


「大隊長! 動きました!」

「どこでだ。」

「南です! 南門から敵の大部隊が出撃したとのことです!」

「偵察部隊は全員撤退しとけよ。場所が露見されるのだけは避けろ。」


何せ相手が相手だ。

カルドたちの部隊は決して無能ではないが精鋭と言えるわけでもない。

うってかわって相手は自他共に認める精鋭だ。

しかも偵察部隊だけでは数も敵より少ない。

もしこちらの居場所がバレたら逃げる間もなく全滅するだろう。


「本隊への連絡は?」

「すぐに行かせました。」

「よろしい。敵部隊の編成は分かるか?」

「報告によると敵は大半が歩兵ですが、一部騎兵隊が混ざっています。」

「…………騎兵隊?」


騎兵隊といえば赤竜騎士団であり、黒曜騎士団は大半が歩兵だ。

少人数ならばいるがそれを出してきたのだろうか。


「騎兵隊の数は?」

「二百です。」

「………………面倒な。」


最近は苛立ってばかりだということを自覚しつつ舌打ちをしたい衝動を部下の前なので抑えた。

騎兵とはそれくらいには厄介な存在だ。

特にこのような帝都周辺に広がっている広大な平原のような場所だと攻撃力と突破力、機動力、その全てにおいて歩兵を大きく上回る。

二百という数ですらかなりの脅威になり得るだろう。


一応は弱点もある。

騎兵隊は険しい地形や森や谷のような道を狭められている場所や雪や沼のような足を取られる場所だと機動力が大幅に低くなる。

落とし穴などの罠にも気付けにくい。

さらには己の足で進み、梯子などを使えば城壁だろうがなんだろうが進める歩兵と違い、騎兵は馬を捨てるわけにはいかないため馬が越えられない柵や城壁は乗り越えることができない。


あとは兵糧が余分にいるという弱点もあるが帝都には大規模な食糧庫があるため兵糧切れには時間がかかる。

そもそも反乱軍相手に兵糧切れするほど時間をかけていては国としての面目が丸潰れだ。


現在、味方の本隊が野営しているのは帝都から東に少し離れた位置に広がる森林なのでそこなら騎兵隊相手でも戦えるだろう。


「森林で迎撃……いや、それだと拉致があかないな。どうせ帝都の外周あたりは平原だしな……。」


にしてもあの騎兵隊は何故でてきたのだろうか。

わざわざ今帝都から出す理由は無いはずだ。

まさか本隊の野営地への襲撃をかけるつもりだろうか。

彼らが森の中に攻める愚行をするとは思えない。


「ひとまず騎兵隊の行き先を調べるぞ。どっちに行ってる?」

「南門から出た後すぐに東に行ってます。」

「ということは本隊狙いか……仕方ない。ここにいるメンバーだけで敵騎兵隊を追っていくぞ。」

「ここのメンバーだけ……ですか?」

「あれが囮の可能性があるからな。偵察任務は続行だ。」


何せ反乱軍に属している騎馬隊はもっと多いはずなのだ。

あれに気を取られている間に別働隊が来る可能性はあるのだ。


「どうやって追いかけるんですか?」

「追跡系のスキル持ちを集めろ。それで追う。」

「スキル持ちといっても低レベルの者しかいませんが……。」

「仕方ないだろう。……まあ平原であの数の騎兵隊なら遠くからでもよく見える。だから最悪スキルが使い物にならなくてもいいだろう。どうせこの際、ついでにスキルも鍛えとけ。」


その後、装備を着けてから一行は追跡へと向かった。


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