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哀しいどこにでもある物語  作者: サン
第七章 動乱時代

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第八十四話 帝都


敵の奇襲部隊を撃退した次の日、カルドたちの部隊は帝都周辺で偵察任務をしていた。

カルドたちが行ったのには理由があり、一番被害が少なかった部隊だからだ。


さすがに偵察任務で部隊が固まって動くなどあり得ないので分散しながらである。

そもそもこの任務の内容は帝都の周りから帝都の様子を監視することなので一箇所から見るだけでは意味が無いのだ。

なので一応は全方向から帝都を見ていることになる。

どこかに抜け道がある可能性は十分あり得るがそこまで考えても無駄だ。


帝都、それはこのヘクタ帝国最大の都市であり政治と経済の中心であり、それと同時に世界的最大の城塞都市でもある。


挿絵(By みてみん)


帝城を中心として同心円状に城下町が広がっており周辺は城壁で囲まれている。

街の中にもさらに城壁があるため帝都の外から帝城の前まで行こうとすると何度も門をくぐることとなる。

当然、その全てが魔法で強化されているためそう簡単には壊せない。


近年は長らく戦火に巻き込まれなかったこととそもそもがあくまでも城塞都(・)市(・)であって戦闘のみに特化した要塞ではないため前線の砦や要塞などと違って見張り台、柵、落とし穴などの防衛用の設備は無い。

水堀はあるが横幅も深さもあまりない。

なのでそれだけが救いだ。


とは言っても頑丈なのには変わらない。

壁自体、十分高いので登るならそれ相応の準備もいるし攻めにくいのは間違いない事実だ。


ちなみに先日の奇襲部隊は既に帝都の中に帰投したのが確認済みだ。

一部だけ残ったとかでない限りは帝都の外にはいないだろう。


帝都を見張りだしてほとんど時間は経っていないが火災が起きたら絶対に出てくる黒煙などは見えなかった。

確定させるのにそれだけでは情報不足だが、大きな混乱は起きていないのかもしれない。

もし混乱があったら内部と協力できるのだが。


「どうやって攻めるのかねぇ……。」


反乱軍に位置がバレないようにテントにカモフラージュを施している部下たちを尻目にそう呟くと手元に視線を向けた。


カルドの手に握られているのは奇襲された時にも使っていた片手剣だ。

刃毀れしており、明らかにボロボロだ。


この剣の質が悪いのでも雑な扱いをしたわけでもなくあの大剣使いの騎士との攻防が原因だ。

ここまで損耗が酷いと刃を研ぐこともできないだろう。

つまりは交換だ。


思わず舌打ちしつつ剣を鞘に収めると予備に持ってきていた剣を取り出した。

まさかたった一回の攻防で使い物にならなくなるとは思っていなかったので予備があまりない。


大隊長格が貰えるような質の高い剣じゃなくていいならあるのだがそれでは心許ない。

またあの時と同じ騎士を相手にしたらあの大剣の前に一撃で剣が折られそうだ。


大きさはほとんど変わらないが微妙な違いがあるためそれを直接持って確かめていく。

重さが少し違ったり持ち手部分の感覚が違ったりするのでそれに慣れておくのだ。

あれほどの強さの敵との殺し合いの時に慣れてない武器を使うなどという舐めた状態ではやっていけない。


その後もカルドは自分の武器を手入れしていった。



端正に何度も、何度も、何度も――



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