↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
哀しいどこにでもある物語  作者: サン
第七章 動乱時代

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
83/117

第八十二話 静寂


1週間後、カルドたちの部隊は帝都へと進軍していた。

カルドたちの部隊以外にもケルグ要塞にいた第四師団の大半がいる。

カルドの昇級から次の日にはケルグ要塞を出発していたのだ。


ちなみにカルドたちの部隊は列の後ろのほうだ。


「大隊長、そろそろ先頭の部隊では帝都が見えてくる頃だと思われます。」

「ああ、そうだな。」


部下に適当に相づちを打ちつつ何となく周囲を見渡した。

現在、街道を行軍中なのだがここらは周囲を森で囲まれている。

なので警戒は必須だ。

こんな些細な警戒でも近づく敵に運良く気付けることはある。


そして少し前に反乱軍は帝都に集結したという情報がカルドたちに届いていた。

なので帝都に向かっている以上、いつ反乱軍が来てもおかしくはない。

だからこそ余計に周りを見渡すことを心がけている。


尚、敵部隊以外にも魔物の可能性も考えての行動なので帝都周辺以外でもよくしている。

さすがの魔物でも人間の軍隊に突っ込んでくることは極一部を除いてほとんどないが念のためだ。


事実、夜中に隊列を遠巻きに見る魔物がいたりする。

手出しはしてこないが。

ケルグ山脈のような危険地帯の魔物ならともかくそこらの雑魚では人間が弱るまで待つ執念も人間を襲う強さや勇気も人間を罠にはめる知恵もないのだから仕方ない。

それでも人間が少人数で動いていてしかも油断してたら襲うが。


「いつ敵が奇襲してくるかな……。」


黒曜騎士団の騎士は基本的に重装だがアンデレヴェルト共和国がまだロッド王国だった頃の戦争でカルドが偵察任務に向かった時のように軽装での任務行動をすることはある。

奇襲などとなれば隠密性のために軽装で動くだろう。


ちなみにカルドたちも現在は重装ではない。

さすがに遠距離行軍中に重装を着てれば疲労がたまるだけだ。

奇襲に備えて頭や胸当てなどの重要な部位を守るための装備だけは付けているがそれだけだ。


「大隊長、いい加減休んではいかがですか?」

「ん? どういう意味だ? ちゃんと休憩は取ってるが。」

「……最近、大隊長はあまり寝ていないそうですね。大隊長が中隊長だった頃の部下に聞いたところ元はそうでもなかったそうですが。」

「確かにあまり睡眠はとっていないかもしれないな。だが…………それで? 何か問題が? ……話は終わりだ。警戒に意識を向けてろ。」

「っ!」


カルドの冷たい感情のこもった声に部下が一瞬怯んだような表情になった。

だがすぐに話し始めた。

それほどに心配しているのだろうか。


「ですがこのままでは倒れてしまいます! 死ぬ気ですか!?」


普段は丁寧な口調で話すのに珍しく声を荒げている。


「気にするな。戦闘中に倒れたりはしないから問題ないし支障もない。」

「……大隊長、死ぬ気なのは否定しないんですか?」

「……最近、よく似たようなことを言われるな。」

「…………。」

「大丈夫さ。死にはしない……当分はな。」

「……分かりました。ですがそれはそれとして一度休憩を取るそうなのでひとまず休んでください。」

「分かってるよ。」


部下が小さくため息をついたのは見なかったことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。