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哀しいどこにでもある物語  作者: サン
第七章 動乱時代

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第八十話 蜂起


カルドが部屋を飛び出した直後、すぐに部下に呼び止められていた。


「中隊長!! 緊急事態です!」

「こっちも急ぎなんだ!」

「いいから聞いてください。深刻な問題なんです!」

「…………何があった。」


あまりの剣幕に気圧されて思わず立ち止まった。

そして部下は深呼吸してから言った。


「帝都で反乱が起きました。」

「……………………は?」

「首謀者はエコム騎士団長です。」

「はぁ!?」

「現在、帝都には黒曜騎士団の騎士団長直属の親衛隊、他の場所ですが第一師団も蜂起したようです。さらに、黒曜騎士団の上層部はほとんどがそちらにつきました。」


黒曜騎士団は総勢18万人が所属しており、一個師団につき1万人がいるので18個の師団が存在する。

つまりは騎士団長直属の親衛隊と第一師団の兵員を合わせると2万の大軍勢となるのだ。


まさかこれから詰め寄りにいこうとした矢先の出来事に驚きを隠せなかった。

だがあの紙の内容でも書いてあったではないか。

反乱の計画のことが。

つまりはそれがタイミングよくちょうど実行されたのだろう。


「……現状は!?」

「白薔薇騎士団によって帝城は無事。帝都自体も戦闘の余波で壊れた以外は特に被害は何もありません。ですが蜂起直後の襲撃で貴族や大商会の商会長、大臣などが多数殺害されました。」


帝都からここまでは遠く報告が到着するのもタイムラグができるため、数日前には既に反乱が発生したとみるべきだろう。


「と、なると急いだほうがいいか……。」


騎士はもちろん強い。

そこらの衛兵や民間人では相手にならない。

だがこの反乱の問題は反乱に賛同したのが本来は国(・)に(・)絶(・)対(・)の(・)忠(・)誠(・)を(・)誓(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)は(・)ず(・)の(・)騎士だということだ。

もし反乱が鎮圧されたとしても騎士団と国のイメージが地の底に落ちかねない。


特に黒曜騎士団は誰にも信頼されなくなるだろう。

何せ反乱軍の古巣なのだから。

なればこそ、黒曜騎士団が反乱軍を倒さなければ挽回はできない。


だがそうする必要がなかったとしてもカルドは間違いなく行っただろう。

今は亡き戦友の仇をとるために。


「上はなんて?」

「それが何せ反乱に賛同してどこかに行ってしまった人間ばっかなので……。」


指揮する人間がいないということでかなりの大混乱なのは想像できた。


「ケルグ要塞では残っていたメンバーで部隊をまとめてます。」

「ならうちの部隊もすぐに出発できるように準備しとくんだ。」


先程言った通り18個の師団がいる内の2つの師団が反乱を起こしたので残る16個の師団は反乱軍と敵対なわけだがカルドたちがいるケルグ要塞に駐屯する部隊を含め、ほとんどの師団は動けない。


第十八から第九までは共和国との国境線に、第八から第六ははるか西方の国境線に、第五から第一は戦争の際に重要となる要塞や城、補給基地、金鉱山や大規模な商業都市のような国の財政面で重要な場所などにいる。

ちなみにカルドたちの部隊は第四師団所属だ。

本来は絶対に防衛しなければならない国境線にいる師団ですら行く必要性のあるかもしれない緊急事態だ。

重要度の低い任務をしている第五から第二師団はこの際持ち場を離れてでも行くのは当然だ。


にしても何故、騎士団長は反乱を起こしたのか。

シンがかなり前に計画を立てているのを目撃したというなら何かしらの緊急事態で致し方なくというわけでもあるまい。

つまりは何かしらの反乱する以外の方法では絶対に消すことができない不満が前々からあったわけだ。


「まあ……それが何かも直接本人に聞けば分かることか。」


そして部下には聞こえないくらいの声量で呟いた。


「………………シン、仇は……必ず……。」


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