第七十九話 真実
職人に話を聞き、カルドはすぐに自室へと戻っていた。
「どう開けるかな…………。」
シンは魔法が使えなかった。
つまり魔法が使えないと開けれないこれは自身が使うことを想定したものではない。
「ということは誰かのため……?」
閉めるだけなら魔法は使わないそうなのでそれならば辻褄は合う。
そしてシンが誰かのために物を残すような相手など一人を除いて存在しない。
そしてその人間が使える魔法は一つだけだ。
カルドの手から黒い光が放たれた次の瞬間、カチャリとささやかな音が響いた。
恐る恐る開けると中には紙が入っていた。
何かが書いてあった。
『戦友であり一番の親友のカルドへ
君がこれを読んでいる時自分は間違いなく死んでいるだろう。なぜならこれを書いている時、君はリチーチ草を探しに行っているのだけれどもカルドが帰る前に自分が死ぬだらうから。
恐らく今かかっているこの病気は病気ではない。遅効性の毒だと思うというのも書いておこう。
自分は見てしまったんだ。知ってはならないことを。カルドが教官として働いている頃の話なのだけど偶然、騎士団長と第一師団の団長、それ以外にも何人かの高官が会議しているのを見ちゃったんだ。ただ部屋の前を通り過ぎただけだから詳しい内容は聞いていないのだけれどその時に見てしまったんだ。
どこかの大きな街の地図とそれに書き込まれた大量の矢印と文字。そして壁に大量に張り付けられた人相書き。
その時は何なのか分からなかったけど多分、あの地図は帝都で、人相書きは貴族とかあたりだったんだろう。
つまり、あれはきっと反乱の計画なんだ。
そして何故だか僕がそれを見てしまったことを気づかれていたんだろう。その結果、僕は毒を盛られたのだというならいろいろと辻褄は合う。
きっと毒が盛られたのは訓練兵たちが去る前日の夜に飲んだお酒だろうね。あれ自体は教官全員に用意されたみたいだけど毒殺のためにわざわざ用意したんだと思う。それで僕のにだけ毒を仕込んだ。
多分、暗殺に使うくらいだしかなり珍しい毒なのだと思う。ああ、あと軍医は多分今回の件とは関係無いと思う。ちゃんといろいろ手を尽くしてくれたし軍医自身も僕を調べては症状とかにたまに首を傾げてたから。きっと実際にある病気ととても似ている症状が出る毒なんだろね。それこそ軍医にも分からないくらい似ている毒。
話を戻すけど騎士団長たちが何を企んでいるかは分からない。反乱といっても一瞬見ただけじゃ複雑な計画なんて覚えられなかったしもしかすると僕と一緒にいて、しかも僕のために命を賭けるような人間を彼らは警戒するだろう。親友の死因を調査した結果、真相に辿り着いたなんてことが起きないように何かするかもしれない。さすがに暗殺対象の親友の中隊長一人にそこまでわざわざするかは分からないけどね。
それと――』
そこまで読んだところでカルドは部屋を飛び出していた。




