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悲劇の英雄が死ぬまでのありふれた物語  作者: サン
第二章 新兵時代

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第七話 派遣

カルドがここに来て1年が経った。


その時、あちこちでとある情報が流れていた。


「西で緊急事態?」


カルドが朝ごはんのそこそこの味のシチューとこれまたそこそこの味のパンを食べながら首を傾げる。


「そういう噂が流れてるってだけだけどな。」

「信憑性は?」

「かなり高い。ほぼ間違いなく事実だ。」


それを聞いてカルドが真剣な表情になる。

シンはかなり頭の回る人間だ。

そんな彼が断言するだから本当なのだろう。


「具体的には?」

「ロッド王国だとさ。」

「…………戦争でも始まるのか? 出世のチャンスではあるけど戦争か……少なくとも今は戦争なんて関わりたくないぞ? もっと強くなってからのほうが嬉しいぜ……。」

「戦争では無いらしいんだが……大規模な魔法を発動させたようなんだとか。」

「大規模って……防御結界とかってわけでは?」

「無いらしい。」

「まあそりゃあそれだったら緊急事態とはならんか。」

「どうも秘密裏に使われたらしい。だから戦争に使えるような何かヤバい魔法でも開発したのかとんでもない魔法使いでも出たのか……。」


防御結界なら都市を守るためのものなのでかなり目立つし情報は漏れる。

だが秘密裏ということは全くの別物、それも敵には知られたくないことということだ。


「あるいは兵器の類かもな。物騒だなぁ。」

「だから上層部様はピリピリしてるらしいぜ。」

「まだ前の戦争から数年も経ってないんだぞ。さすがに戦争は無いだろ。」


そういうカルドの意見に首を縦に振りながらシンは続ける。


「それでも次はいつか分かんないなら警戒することに越したことはないだろうさ。そしてこれは俺たちにも大いに関係がある。」

「……と、言うと?」

「俺たちは西に派遣だ。名目は魔物対策。実際はまあロッド王国侵略からの防衛用の戦力だな。」

「マジか…………。」


カルドが憂鬱そうに言う。


「ちなみに本当に魔物の問題がある。大量発生してるとかでな。まあそれにしたって戦力過剰だけどな。そもそも魔物退治のために辺境へ派遣するわけないし。」

「魔物がいるなら来るはずもない敵国の軍隊を待つだけの仕事ってわけにもいかないか……しかも敵国も来る可能性有りと……。」

「ついでに言うと当分帰れない。」

「まあそれは良いや。俺は別に家とか家族とか無いし。」

「俺もそれは特に気にならないかなぁ。」


ちなみにシンの家や家族についてカルドは何も知らない。

何かしら事情があるのだろう。

自分も家族に関してあまり知られたくないことがあるわけなので聞いてはいない。

あっちもそれは分かっているのだろう。

なのでお互い詮索しようとも思わない。


「で、何処で駐屯させられるんだ?」

「寮によって違うらしい。」


新兵たちは全員一つの建物で居るわけではない。

幾つかの寮などで分かれていた。


「俺たちの寮は……。」


シンが少しの間、記憶を探る。


「ああ、思い出した。」


そしてシンははっきりとした声で言った。


「黒曜騎士団の守るケルグ要塞。そこが俺たちが守る場所だ。」



最近、1話1話の文量が少ないのがなやみどころ。


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