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悲劇の英雄が死ぬまでのありふれた物語  作者: サン
第二章 新兵時代

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第六話 知らない天井……?

目を覚ますと知らない天井があった。


「ここは……?」


横を見ると見慣れた顔、つまりシンがいた。

半分寝かけてウトウトしている。


「…………。」


ジト目で見つめているとカルドが起きていることに気づいたのか慌てた様子になる。


「お、起きてたのか!」

「ああ、たった今な。ここは……救護室か。」

「そゆこと。にしてもお前頑丈だな。教官の一撃を脳天に喰らってよくピンピンしてるよ。」

「ピンピンはしてなくないか……?」

「普通は骨折するんだよ。」

「…………。」

「さて……じゃあ訓練に戻ろう!!」

「病み上がりに何させんだ!?」

「大丈夫だよ。だってピンピンしてるし!」

「……仕方ないか……。」


頭を左右に振って異常が無いかだけ確認して訓練場へ歩いていった。

訓練場に辿り着くとカルドに気づいた教官がすぐさま謝ってきた。


「すまん! つい全力でやっちまった! 大丈夫か?」

「大丈夫です。」


目に見えて教官がホッとする。

今まで嫌われていると思っていたがそうでは無かったらしい。


「良かった良かった。誤って全力で攻撃して怪我とかしたら上司に苦言を言われかねんからな。そういえば……お前、かなりいい動きだったぞ。」

「えっ? 負けたのに?」

「そりゃあレベルやらスキルの差が大きいからな。勝つわけが無いんだよな……。それで勝てたら御伽話の主人公だよ。……それでお前の動きがかなり良かったという話だが反射神経と動体視力が中々良かった。その二つのおかげでフェイントをされてからでも反応できていたから新兵のわりには戦えている。まあもちろんフェイントなんてかからないのが一番だがな。だからお前は単純な身体能力を上げるのに専念しろ。レベルが低くても鍛えれば筋肉はつくし、それはレベルとはまた違う強さだ。」

「分かりました!」


教官がそこでようやく話を終わらせて他の新兵たちの様子を見に行くとすぐさま怒声が飛び出していた。

それを遠目に見つめながらふとカルドが呟く。


「物語とかだとああいう教官とかって嫌な役だけど現実はまったく違うんだよな。今まであった教官の中にそういう人いなかったし……。」


すると目ざとくそれを聞いていたシンが答える。


「そりゃあ地方の道場とかならともかく騎士団の教官はちゃんと審査受けてるからな……。うちの国は実力主義だから物語によく出そうな貴族の嫌な奴みたいなのも中々入れねえしなぁ……。人格面も審査受けるって噂だし……。」

「へえー。」

「そういやお前、そんな本読んでんのかよ。お前ってそんな良いとこの出身じゃなかったよな。」

「まあね。騎士団で雑用してたっていう話はしたろ? その時にちょこっと……。」


もちろん嘘である。

まだ親が生きていて貴族だった頃に読んだのだ。

騎士が本なんて読んでいることは少ない。

そのことにシンも勘づいているのか怪訝そうだが絶対無いとも言い切れないので開きかけた口を閉じた。


「さて、じゃあ訓練再開するか。」

「そうだな。」


そして2人はまた訓練場で木刀を振り始めた。

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