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悲劇の英雄が死ぬまでのありふれた物語  作者: サン
第二章 新兵時代

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第五話 同期

次の日、突然叩き起こされた。


「起きろーーー!!」

「んぁっ!?」


耳元で馬鹿みたいに大声を出せれて死ぬほど驚いた。

ついでに驚きすぎてベッドから転げ落ちて頭をしたたかに打ち付けてしまった。


「痛……!」


頭を抱えて床に転がりながら痛みに堪えていると叩き起こしてきた男がカルドを見下ろしながら声をかける。


「どした?」

「……朝っぱらから叩き起こされた。」

「大変だったな。」


彼は同じ部屋の同期の仲間だ。

名前はシンというらしい。

なぜかまったくの他人のカルド相手に初日からとても馴れ馴れしく接触してきたのだ。

最初は戸惑ったが一ヶ月で慣れてしまっていた。


(慣れって恐ろしいなぁ…………。)


カルドは心の中でそんなことを考えながらシンと朝食をとり、そのまま訓練場へ向かった。

すぐさま到着する。

教官はすでに到着しており他の新兵たちもほとんど到着している。


少しして全員が集合した。


「よし、全員集まったので少し早いが始めるとしよう。今日は私と一対一で戦ってもらう。全員木刀をとれ。」


教官が時計をチラ見してからそう言った。


教官の指示に従い全員が木刀を手に持つ。


「まずは端からだ。」


そしてそこから教官がしばらくの間、新兵たちを吹き飛ばし続けた。

比喩でも何でも無く本当に吹き飛んでいるのだ。


「…………どう思う?」

「…………あの人元だけど騎士団の部隊隊長らしいよ。」

「それで全て納得したわ……。」


カルドとシンがこっそりと小声で話しているとカルドの番になった。


「頑張れよ〜〜。」


シンの呑気な声を背中に受けながらカルドは教官と対峙した。


合図もなく、試合は唐突に始まった。

他の新兵には合図をしていたのにカルドにだけ合図は無しらしい。

なぜ自分だけなのかと思うところだがそんなことを考えている暇は無い。

すぐさま剣を振り始める。


相手は騎士団の元部隊隊長だ。

教官になっているということは何かしら後遺症ができるような怪我を負ったのだろうがそれでも強いことには変わりは無い。


そもそもレベルが違いすぎる。

相手はバリバリのパワー特化。

普通に受けたらそこら辺でぐったりなっている他の新兵たちの仲間入りだ。


咄嗟に剣を傾けた。

面白いように相手の剣が滑っていった。

とはいえ相手は高いレベルのおかげで速度も自分よりも高いので反撃の機会は来なかった。


相手は受け流されたと見るやいなや剣を握る手の角度を素早く変え、逆袈裟斬りの要領で木刀を振り抜いた。


速度がかなり出ているので当たればかなり痛いだろう。

受けてやる義理もないし、痛いのも嫌だし、負けたくもないので当然避ける。

前髪が少し掠ったが体に当たってはいない。

すぐさま胴へ突きを入れる。


が、なんと体を捻って回避。

見た目にそぐわずずいぶん柔軟性があるらしい。


そして隙だらけになったカルドは脳天に木刀の一撃を受けて気絶するのだった。

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