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哀しいどこにでもある物語  作者: サン
第五章 教官時代

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第五十四話 役職

エコム騎士団長に二階級昇進を命じられて、それに合わせて役職も上がった。

小隊長から4つの小隊を率いる中隊長への格上げだ。

それに合わせてシンも格上げされて中隊の副隊長に任命された。


ちなみに理由は単独で敵の騎竜隊をほとんど壊滅させたからだ。

昇進も当然の結果だろう。


「……なんで僕もなのさ。」

「そうは言われても……。」


シンは自分は大して何もしてないのに昇進した事に困惑しているらしい。


「副隊長どのも頑張ってましたって!」

「そうそう! 隊長になってもおかしくないくらい頑張ってましたよ!」


先程から部下たちが励まそうと声をかけているが少々、というよりもかなり露骨なので効果は少ないだろう。

ちなみに元々率いていた小隊の兵士たちは全員が相変わらずついてきている。

中隊長の直属部隊、という形なのだそうだ。

とはいえ残念ながら部隊で行動することは当分ない。


「なんで隊長だけ違う仕事なんですか。来てそうそうに。」

「仕方がないだろう。上にそう指示されたんだから。」

「にしても普通、隊長だけ部隊から離れることなんてないと思うんですが……。」

「シンがいるだろうが。あいつの指示聞いとけ。」


こんな話になっているのには理由がある。

新しい任務が原因だ。

それは育成だ。

教官となるのだ。

しかもカルドだけが。


なので他の部隊のメンバーとシンは哨戒などの普通の任務だ。

ちなみに実のところ、人手が余っているのだそうだ。

そのせいで仕事がほとんどない。

そして単純作業に優秀な人間はいらないので一時的に引き抜かれて教官などにさせられているらしい。


「まあ隊長って最近、騎士になったばかりのわりに強いですもんね。なんというか……天才って本当にいるんだなって思います。」

「そうそう。」

「あの魔法とかすごかったもんな。」

「褒めても何も出てこんぞ……ったく……。」

「まあ頑張ってくださいね〜。」

「上官に対してその口調はどうなんだ……? まあ別に気にしないんだが……。」

「そりゃあ隊長以外には言わないですよ。隊長は敬語でガチガチで話すと困惑するタイプってのは分かってるんで。」

「そ、そうか…………。」

「というか最初、そうだったし。バレバレでしたよ?」


完璧に心情を言い当てられていることに複雑な心境になりながら部屋を出て自室へと戻っていった。

小隊長時代の部屋と比べると断然豪華であるとだけ言っておこう。

まあ100から101に上がった程度の差しか感じられないのだが。


ちなみに教官になったものの教える教え子が一人もいない。

現在、帝都からこちらに来ているらしいがしばらくはつかないだろう。

なにせ遠いのだから。


そこでふと、自分たちの教官も似たようなことを思ったのかと考えた。

もちろん、状況などは違う部分のほうが多いが教え子になるだろう人間を待っているという点では同じだ。


補足だが今年は騎士に志願した人間が多い。

でなければケルグ要塞にまで訓練兵は来ない。

麓近くの集落などだけでは人員が足りないというのもある。

麓近くの場所は最近、きな臭いことになっているので比較的開拓が進んでいるここらのほうがまだ安全だと判断されたというのもある。


「にしても……どんな人間が来るのかなぁ。」


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