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悲劇の英雄が死ぬまでの長い長い物語  作者: サン
第四章 隊長時代

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第四十六話 休戦

しばらくして帝国も、例の勢力も、お互いが決定打を得られなくなったことで戦争は終わった。

あくまでも休戦という形でだが。


そのすぐ後で、例の勢力は()ロッド王国領に蔓延る数々の勢力を一掃・統一して新国家の建国を宣言した。

国名はアンデレヴェルト共和国。

勢力のトップだった貴族を頂点とするのは当然としてその部下や大臣は国民は選挙によって選ばれるという過去に無かった制度を取り入れたのだ。


この国の存在は周辺国家からすれば新たな大国の誕生という看過できない状況だ。

今までは無かった独自の考え方も、その膨大な軍事力や経済力も、全てが警戒される存在である。


各国はこの国との関わり方を否応にも考えざるをえなかった。




それはそれとして、ヘクタ帝国とアンデレヴェルト共和国の間の国境は講和条約によって決定されたのだが最終的な戦況はアンデレヴェルト共和国のほうが優勢だったこともあり土地を取られることは無かったものの戦争で占領した地域は返却することになったのだった。


「それで俺たちは撤収か。」


カルドが愚痴を言いながら書類などを纏める。

この街も元はロッド王国領だったので返却されるのだ。

なので帝国軍は撤収しなければならない。

仕方ないとはいえそこそこ長い時間を過ごした街を離れるのは少し寂しいものがある。


「まあ仕方ないよ。このままじゃお互いがジリ貧だったのをなんとか講和条約を結べたんだから我慢するしかないんだよ。」

「まあな……とはいえロッ……じゃなくてアンデレヴェルト共和国が不意打ちしてくる心配は無いんだろうな?」

「それは無いでしょ。なにせ西方諸王国連合もこの講和条約に一枚噛んでるから。」


作業しながらこちらに振り向くこともなく話を続ける。


「だからどっちかが条約を破れば西方諸王国連合も参戦してくる。2体1で戦う無謀さは誰でも知ってるさ。」

「なんで西方諸王国連合が絡んでんだか……。」

「それはここ数十年でできた暗黙の了解らしいぞ。三つの大国の中のうち二つが戦争して、その戦争が終わった時に参加しなかった国が仲介をするっていう。」

「へえ〜。」


そのように話しながらもしばらくの間、書類を馬車へ運び出していった。

急いで退却しなければならないような状況ならば書類などはさっさと燃やすに限るのだが今回はそういうわけではないのである程度の書類は持ち帰ることになっている。

全てやるのは手間なので一部燃やすのは変わらないのだが。

そしてついに全ての作業が終わった。


「これでここともお別れか……。」

「まあもしかしたらまたここに来れるかもしれないよ? だからいつかまたここに来ればいいさ。」

「そうだな。まあ、すぐ戦争にはならないだろうし当分先だな。」


その後、部隊は馬車を引き連れて街を出ていった。

特に住民に何か言われるようなことは無かった。

敵国の軍相手なので石や罵倒くらいは飛んできそうなものだが何も無かった。

興味が何だけなのかこちらになんだかんだで感謝しているからなのかは分からなかった。




「さて、それで目的地は?」


馬車にのんびり揺られながらシンが聞いてくる。

目的地はカルドしか聞いていないのだ。


「目的地?」

「そうそう、次の配属先。」

「ええっとだな……。」


少しの間、思い出そうと考え続け、唐突に声を上げた。




「思い出した! 次の配属先はケルグ要塞だ。」


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