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悲劇の英雄が死ぬまでの長い長い物語  作者: サン
第四章 隊長時代

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第四十一話 炎上

それはある日の夜に突然起きた。


「隊長! 隊長! 早く起きてください!」


ドアをノックする音と部下の焦った声に叩き起こされ、すぐに自室の入り口に行った。

外からは喧騒の音が聞こえる。


「どうした?」

「敵襲です!」


あまりに予想外すぎる報告に目を丸くしながら答える。


「どこからだ! 前線はまだ突破されていないだろう!」

「空からです! 噂になってた敵の騎竜隊です!」


それを聞くとすぐさま最低限の防具を着て武器を持つとすぐに外に出た。


「なっ……!」


そこには火の海が広がっていた。

敵の騎竜隊が街に火を放ったのだ。

空を見れば松明を持った敵軍の兵士が編隊になって小型のドラゴンに跨って飛び回っている。


「状況はどうなっている!」

「あちこちで火を放たれて一部の部隊は孤立しています! ここから魔法使いが迎撃していますが成果は芳しくありません!」

「そりゃあ空を飛んでいる小型のドラゴンをそう簡単に撃ち落とせるわけは無いか……!」

「ちょうどいた灰鼠騎士団が率先してドラゴンを撃ち落としているのでなんとかなっていますが……。」

「灰鼠騎士団か……運が良いな。なんとか頑張ってもらおう。俺たちは消火活動をするぞ! 街の住人も避難させとけ!」

「分かりました! 他のメンバーにも伝えておきます!」

「シンはどうしている!」

「副隊長は弓が使える人間とともにドラゴンを撃ち落としています。」


城下町を見ればあちこちから矢や魔法が空に向かって撃ち出されている。

火も街の住人が川や井戸から水を汲んで消火しているからか段々と落ち着いている。


「これならなんとかなるかもな……。」


だがその時、空に大きな影が現れた。

大型のドラゴンだ。


「なっ! なんでこんなことろに大型のドラゴンがいるんだ! あいつら大型のドラゴンまで手なづけたのか!?」


大型のドラゴンなんて普通は人里まで降りてこない。

山奥や大きな洞窟にいるくらいだ。

そして大型のドラゴンは知能が高いため利益があるなら人間に協力することも無くはないが例外なくプライドが高いため人間に協力することは滅多にない。


「ブレスが来たら焼け野原になるぞ!」


灰鼠騎士団が慌てて標的を小型のドラゴンから大型のドラゴンに切り替えて魔法などを放ち始めるが流石の対魔物戦のプロである灰鼠騎士団でも大型のドラゴンは荷が重いらしい。

少しはダメージを与えているがすぐには撃ち落とせそうにない。


するとその時、大型のドラゴンからロープが何本かスルスルと落ちてきた。

そしてそのロープを伝って敵軍の兵士が降りてきたのだ。

素早い動きで着地するとすぐに戦闘を始めた。

これでは街の周りにあったバリケードや魔法の罠が何の意味もない。


「ドラゴンを兵士を運ぶのに使うなんて……しかもロープを使った降下もかなり慣れている。かなり訓練されているのか……?」


よく見れば降りてきたのは見覚えのある武器を持っていた。


「クロスボウ……しかもあの装備、まさかレンジャー兵か! レンジャー兵の身軽さを使ったのか……よく考えたものだ……。」

「カルド! 感心している場合じゃないよ! さっさと手伝ってくれ!」

「うおっ! シン! なんでここに!?」

「ようやく街中の部隊の混乱が収まってそれぞれが戦闘を始められみたいで余裕ができたから来たんだよ!」

「なるほど。ちなみに部隊のメンバーはもう集めているな?」

「当然!」

「よし、ならあのレンジャー兵に奇襲をかける。行くぞ!」


そしてカルドたちは燃え盛る城下町を駆け抜けていったのだった。

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