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悲劇の英雄が死ぬまでのありふれた物語  作者: サン
第一章 雑用時代

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第三話 雑用

数週間後。

彼は騎士団の雑用として働いていた。


さすがに若すぎて騎士にはなれないのでひとまず雑用として雇ってもらい、騎士の訓練を覗かせてもらったり、片手間に鍛えてもらうことになったのだ。


いつ次の戦争が起きてもおかしくなく、なおかつ前回の辛い戦争で戦力不足を痛感したからなどの理由で人材を多く雇い、それでもなお人不足なのですぐに向かい入れられた。


ちなみに今いる騎士団は灰鼠騎士団という騎士団だ。

帝国で最も規模が大きく、主な仕事は治安維持や指名手配犯などの普通の衛兵には荷が重い危険人物の捕縛、後は同じく普通の衛兵には荷が重いような危険な魔物退治だ。


他にも帝国の攻撃の要の花形でもある赤竜騎士団。

皇帝を守る直属の親衛隊である白薔薇騎士団などがある。




「う〜〜〜ん。」


こう呟いたのは剣術を教えてくれていた中年の騎士だ。


「何か問題がありましたか?」


やや不安になりながら聞いてみると予想外の答えが帰ってきた。


「いや、剣術自体は問題ない。」

「そうなんですか。」

「ああ、ちゃんと鍛えられてるみたいな剣筋だ。」


それに若干申し訳なく感じた。

実は元貴族だということは隠しているのだ。

なので名字も名乗らずただのカルドとして過ごしている。


「それでな、それにしたって優秀なんだ。」

「はあ……。」

「疑ってるだろお前。」

「す、すいません。」

「まあいいさ。それでな、お前の剣筋は何というか……普通だ。」

「……? 矛盾してません?」

「何て言うかな……努力の最終形態?」

「なんですかそれ。」

「単純な身体能力は正直良くて中の上くらいだ。だが動きが鋭いんだ。速いじゃなくて鋭い。」

「ふむふ……む?」

「何というか相手の動きを予測するのも上手いし何かまるで経験豊富な剣士みたいな動きすんだよな。」

「なるほど。」

「それはお前の長所だ。伸ばしていけよ。」

「分かりました。」

「にしても……お前は灰鼠騎士団には入れんだろうな。」

「えっ!?」

「ああ、勘違いするなよ? 騎士団には入れる。うちでは厳しそうってだけだ。なんせうちは魔物退治がメインだからな……巨大な魔物とかが相手だとスキルや技術よりも単純なステータスや連携が必要になるからステータスが平均くらいのお前はちょっと厳しそうだな。あと、巨大な魔物が相手だと槍とか遠距離武器のほうがいいしな。お前は剣以外はちんぷんかんぷんみたいだし。才能の欠片も感じられない。」

「うっ…………。」

「まあ、頑張れよ。」


しばらくしてカルドが汗を垂らしながら素振りをしているのを教官役が見ていると上司が現れた。


「やあ。新兵たちの様子はどうだね?」

「あっ! 隊長! それで……新兵ですか? まあまあですね。優秀なやつも無能もいない……って感じです。」

「う〜〜む。無能がいないならまあ十分か。」

「ただ…………。」

「ただ?」

「1人優秀な人間がいます。」

「ほう。だが先程はいないと言っていたが。」

「はい。新兵じゃありません。ただの雑用です。」

「雑用が?」

「ただの子供なんですがどうしても騎士以外に行き先がないんだそうです。だから雑用でもなんでもするから置いておいてほしいそうで仕方なくたまに鍛えたりしてあげているんです。なんですがとても優秀なんですよ。将来有望です。」

「というと?」

「恐らく将来は騎士団の幹部クラス以上にはなるでしょう。間違いなく。」

「そこまでか。」

「まだ幼いですがね。これから強くなるでしょう。」

「…………将来、化けるかもな。」


2人の騎士は訓練場の端で素振りをしている少年を期待を込めて見つめるのだった。

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