第三十八話 木枯
「そろそろ冬だな。」
カルドがボソリと呟く。
「冬超えの準備しないとなぁ……。」
シンが憂鬱そうに言う。
「とはいえ本国から物資は十分送られてきているし大丈夫だろ。ここらへんは帝都よりは寒くないらしいし。」
「そうなの? なんでだろう。」
「シン……お前大抵のことは知ってんのにたまにこんなことをっての知らねぇよな。」
「教えてカルド先生!」
「あとたまにチャラつくのは何なんだ……前に野営地で食事した時もだったような……。ゴホン。では説明しよう。」
カルドは呆れ顔になりつつも咳払いをすると真面目な顔を作って説明しはじめた。
「中央大陸では西と中央と東で寒さがまったく違う。東は極寒だ。東端なんて一年中吹雪が降る。だが西は雪すら降らないことすらある。その理由は……魔物だ!」
なんだかんだ言いながら乗り気になっているカルドに内心で呆れつつ大人しく授業をシンは受けた。
「ふむふむ。」
「この世界にはSSSランクと言われるほどの魔物が七匹いる。中央大陸にはその内四匹がいる。ちなみにこの七匹の魔物はそれぞれ色が違うので七色の魔物と言われたりもする。……ちなみに中央大陸にいるのは黄色と黒色と白色だ。そして赤色は南大陸のどっか。」
「他の3色は?」
「青色と緑色と紫色だな。青色は海、緑色は西の大陸、紫色は南東の大陸だと言われてるけど情報が少ないからな……。ちなみにこの七匹はちょこちょこ代替わりしてる。」
「そうなのか。」
「強いとは言っても生き物だからな。寿命はあるしほとんど無いけど大国に攻めてきて大国もろとも相討ちになることはある。」
「大国と相討ちが前提なのにツッコミを入れるべき?」
実際、過去には事例がある。
しかもかなり多い。
ちなみに内訳としては黒色が大半を占めており紫色が少々、黄色が一度、残りはゼロである。
ちなみにゼロというのは攻められた回数ではなく大国と相討ちになった回数である。
つまり大国を単独で滅ぼして尚且つ生き残った個体がいるのだ。
「本当に強いからな……。ちなみに、赤色と青色と白色は今まで一度も代替わりしたことが無いらしい。少なくとも代替わりを確認されてはいない。黄色は3回、緑色は1回、紫色はしょっちゅう、黒色は数十年にいちど。ちなみに緑色は先代が行方不明になったからってだけで死んだのは確認されていない。結果的に代替わりしただけで実力で新しいのになったわけじゃない可能性が高い。あと言っておくと七色の魔物は千年前には既に確認されている。」
「赤色と青色と白色は千年間一度も変わってないのか。」
「その通り。黒色や紫色も人と争うことが多いからってだけで弱くはないけどな。……っと話がそれたな。それでだな。中央大陸の東西で気候に大きな差がある原因は赤色と黒色だ。赤色は南大陸にいるんだが中央大陸の西のほうとは地続きになっている箇所があるから中央大陸にも影響がきているんだ。」
「赤色が暑くして黒色が寒くしてるのか? 赤色はそうだろうとは思ったけど寒くするのは青色とか白色だと思った。名前的に。」
「青色は水、白色は……回復魔法が専門らしいから関係ないぞ。黄色も強化魔法だから関係ない。そして問題は黒色は……アンデッド系なんだよな。今代のやつは今までよりも長生きしててより強いし氷魔法を得意にしてる。」
「なるほどね……アンデッドかぁ。確か呪詛とかみたいな特殊な魔法使うもんね。……不死性もあるし面倒なやつだよねぇ……聖魔法がもっと強力なら良いんだけど教会が独占しているから研究が進まないんだよね。」
「独占されたらどうしようもなくなるしな。まあひとまずそんなこんなで中央大陸は東西で気候が違うわけですよ。」
そうカルドは締めくくった。




