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悲劇の英雄が死ぬまでの長い長い物語  作者: サン
第四章 隊長時代

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第三十四話 混沌

その後の戦闘はあっとう間だった。

防壁も防衛部隊も最初の攻撃で失った街に大軍を押しとどめる術など無かったのだ。

カルドたちの出番すらなく、先頭の部隊だけで


つい先程まで戦闘があった街ではまだ残党との戦いが散発しているのか時々、怒声が響き渡る。

中央にある城に立て籠もっているようだが長くはあるまい。

そんな中、カルドたちの部隊は街を巡回していた。


「……酷いものだな。」


カルドが所々で火災が起き、今もなお火が広がっている街の様子を見ながら呟いた。

シンも同情の目で街を見渡しながら呟く。


「防衛部隊を一箇所に固めてたせいで最初の投石や魔法でほとんどが戦死したらしい……そして流れ弾が一部街に直撃……だそうだ。」


シンが街の惨状を見ながら声を漏らす。


「それで民間人にも被害が出てるのか。なぜ魔法結界を張っていないのか……まあ街を囲むことなんて無理だろうが。…………中央は?」

「一階は制圧。中に侵入したからもう城壁も堀も魔法結界も意味をなしてない。」

「そうか…………。」


魔法結界はこの世界の防衛線において最重要と言ってもいい。

これが無ければ要塞でもない限り強力な魔法一つで簡単に陥落しかねないからだ。

ちなみに魔法結界にも弱点はある。

物理に弱い。

もちろんそう簡単には壊れないが投石機などには弱い。


「まあ魔法結界を張ってても投石機をこっちは揃えていたからどうしようもなかっただろうな。」

「まあね……。」


その時、街の中央のほうから火矢が空へ飛んでいった。


「合図だな。中央が陥落したんだ。」

「ひとまずは勝利だね。」

「とはいえここの勢力が消滅したわけではないからね……次の街でも戦闘になるだろうね。レンジャー兵もまったくいなかったし……。」


だがその日の夜、衝撃な情報が伝わった。


「……。」

「どうしたカルド。」

「よく分かんねえ。」

「は??」

「よく分かんねえ情報が上層部から伝えられた。」

「と、言うと?」

「え〜とかなり複雑なんだがな……簡単に纏めるとこうだ。どうやらだな、ロッド王国の内戦は帝国が来たから一時的に止まっていたらしい。それで帝国と国境が接している場所の勢力に援助がされたと。あのレンジャー兵もその一つらしい。が、せっかく一時的に内戦が止まっていたところを一つの勢力が他の勢力へ騙し討ちをしたらしい。」

「……その騙し討ちした奴、馬鹿なの?」

「それで休戦していたのに戦闘が再開。ここの勢力への援助も打ち切られたんだってさ。」

「ここの勢力が哀れに見える……。」

「まあ元々、帝国をできるだけ削ってから死んでくれくらいにしか思われていなかっただろうからどうしようもないだろ。」

「本当に哀れだな……捨て駒にされたのか……。」

「今のロッド王国は騙し騙されが日常になってるから……。」

「にしたって隣国に攻められているのにまだ内戦してんの?」

「多分、今のロッド王国の国力なら多少内戦で弱体化した後でも帝国に勝てると思われてんだろ多分きっと恐らく。」

「まあ実際、ロッド王国の国力はとんでもないもんねぇ……。」

「前の今は亡き国王は優秀だったんだからその王にそのまま任せてれば良かったものを……その王もなんで暗殺されたんだ? これだけ国力と戦力高めたんだから英雄として祀られてもおかしくないだろうに……。」

「それは……何かあったんだろ。まあ権力争いの結果だろうけど。」

「だろうな……混沌としてんなぁ……。」


ロッド王国は昔から権力争いの絶えない国だ。

そのせいで今回はヘクタ帝国にかなり攻め込まれているのだが古くからある大国に権力争いは付きものなので権力争いを無くすことなどできないのだ。

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