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悲劇の英雄が死ぬまでの長い長い物語  作者: サン
第四章 隊長時代

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第三十二話 部下

カルドとシンは隊長と副隊長になったことで当然ながら部下を得ることとなった。

そして現在、その部下たちとの顔合わせをするところである。


総員、五十名。

全員が戦闘経験の浅い黒曜騎士団の騎士だ。

そしてカルドは彼らを見る前にこう思った。


(めっちゃ不信感持ってるだろうなぁ〜。)


なぜならばカルドもとても若い騎士だからだ。

見た目だけなら他のただの騎士と変わらないだろう。

とはいえそんな状態で部隊を率いるなんてできない。

なので第一印象だけでも何とかしようと思い。顔合わせに臨んだ。


「……何か予想と違うな。」


が、顔合わせをしてみるとどちらかというと歓迎の雰囲気が流れていた。

後に知るが前々回の大規模な戦闘で敵将を討ち取ったところを見ていた者がいたかららしい。

つまりただの心配しずぎだったわけだ。


なんなら尊敬の目で見られている。

シンも似たような状態なので困惑しているようだ。


その後も顔合わせはつつがなく終了したのだった。




顔合わせした次の日、ヘクタ軍は先日カルドたちが偵察した街へと行進していた。

今までは関所や砦くらいしか攻めていなかったので一切経験のない市街地戦だ。


そして先日にも見た街が見えてきた。

前回と違って昼なので街の様子がよく見える。

街の入り口などいたるところに簡易的なバリケードが築かれて防衛体勢を整えている。

土魔法で建てたと思われる壁もある。

高さは低いが突破するのは苦労するだろう。


その後、作戦の説明を受けた。

小隊長なので作戦内容はきっちり覚えなければならない。


どうやら自分の小隊、というよりも自分の小隊を含む大隊はこれから投石機で土の壁を壊すのでその壊れてできた穴から突入して街の外周部を制圧するらしい。


そして作戦説明を終え、決行日の明日に備えて各々が明日への準備を始めるのだった。


「大規模な戦闘はこれで2回目か。」

「どうしたカルド。というよりもう小隊長って呼んだほうがいいのかな?」

「からかうなよ。……いやなぁ。うちの上層部は何考えてんのかなって。」

「…………どういうこと?」

「今、ロッド王国って内戦状態らしいってのは聞いたろ?」


シンが無言で頷く。


「それで現在の内戦の戦況もそれぞれの勢力の様子も勢力範囲も分かってないんだろ?」

「そうだな。」

「なのによくこんなグイグイと攻め込む判断ができるんだろうな。」

「ああ……言われてみればなんで今まで気づかなかったのかが不思議なくらいだな。」

「だろ? しかも諜報部もな〜んかきな臭いんだよな。普通に考えて隣国の内戦のことを知らないなんてことがあるか? そりゃあ仮想敵国だから国境部の防衛は厳重だろうから潜入は難しいだろうけども……それで情報を得られない諜報部なんてあり得るか?」

「諜報部は……確か白薔薇騎士団の部署だったな。つまり白薔薇騎士団で何か起きている……?」

「まあただの小隊の隊長と副隊長が考えたところで何もわからんな。せめて黒曜騎士団のことなら少しは調べられるんだがなぁ……。」


その後も夜遅くまで二人は聞いた人がスパイか何かと勘違いしそうな会話をするのだった。

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