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悲劇の英雄が死ぬまでの長い長い物語  作者: サン
第三章 騎士時代

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第三十一話 昇進

包囲は突破したもののレンジャー兵がそれをそのまま逃がすわけが無い。

すぐに追いかけながら矢を放つが先頭から殿へ移ったカルドが全て防いでいく。

そしてしばらくするとレンジャー兵たちはカルドたち偵察部隊を見失っていた。


いくら森林での戦いに慣れており、スキル「暗視」を持っていても視界の悪い森では見失ってもおかしくは無い。

そして彼らは一度夜の森で全力で隠れながら逃げる敵を見失えばほぼ見つけられないことを知っていた。


その頃、カルドたちは走って逃げるのをやめて目立たないようにこそこそと逃げていた。

いつまた敵に見つかってもおかしくない恐怖を胸に抱きながら味方の陣地へと逃げ続けていた。


こちらはスキル「暗視」を持っているのが一人しかおらず、スキル「気配察知」などを持っている者は一人もいないためもしかしたら既にレンジャー兵に居場所がバレており、こっそりとつけられていても隠密行動の得意なレンジャー兵に気付けられない。


だがしばらく歩き続け、ついに太陽が地平線から見えてきたことを確認すると全員が安堵した。

接敵の可能性が高く、リスクの大きい昼間になってでもレンジャー兵が追撃してくるとは思えない。

もし追撃してきても昼間なら夜よりは断然戦える。


そしてさらにしばらくして味方の野営地が見えると今度こそ心の底から全員が安堵した。

そして今回の生還の立役者であるカルドに感謝するのだった。




野営地に帰るとすぐに指揮官へと報告した。

西に配備されていた戦力も一部だがこちらへ送られてきていることを。


上層部はこの情報を重く捉えた。

それは当然だ。

西の戦力が東にいるということは西から東にまで跨る領土を持つ者がいるかもしれないからだ。

そんな者がいればロッド王国はすぐに統一され、戦力を固めてヘクタ帝国との戦争に全力を尽くせるだろう。


そして重要な情報を持ち帰ったことを認められ、偵察部隊のメンバーは昇進した。

当然、逃走中に一番活躍したカルドは先日の戦闘での活躍も合わせて一気に昇進したのだった。

この機会にシンも昇進したらしい。


カルドは小隊長、シンはその小隊の副隊長になっていた。

もちろんまだ騎士になったばかりの者の小隊なのでメンバーも騎士になったばかりの人間だらけだが一兵卒からかなりの昇進となるのだった。




「偵察任務お疲れ様! 聞いたよ、カルド、小隊長だってね!」

「そういうシンは副隊長だろ? これからも当分は一緒っぽいな。まあお前がいるなら安心できるってもんか。」

「アハハハ! 嬉しいこと言ってくれるね!」

「……何かテンション高くないか? 顔も赤いし……。」

「いやあ〜だって昇進祝いなんだからお酒くらい飲んだって罰は当たらないでしょ?」

「ん? その酒……全部飲んだのか!? しかもけっこうアルコール濃度高いって聞いことのある物じゃないか!!」

「大丈夫大丈夫! カルドの分も残してる残してる!」

「そういう問題なのかなぁ……?」


そうは言いつつもカルドもその後、シンと共にお互いの昇進を祝うのだった。

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