第二十八話 偵察
現在、カルドは極少数の人数の騎士と共に森の中を歩いていた。
時は少し遡る。
昨日の夜。
一部の部隊にとある司令が下された。
それは偵察だ。
今までも当然ながら先行して偵察していた部隊はいたのだがずっと休ませずに危険な任務に行かせる訳にはいかない。
なので次はカルドたち見習いの騎士たちが行くことになったのだ。
順番なので文句は言ってられないし仕方ない。
それに経験は積んでおかなければ後に問題しか起こらないだろう。
ちなみに見習い騎士は全員訓練所で隠密用のスキルを最低限だが入手させられている。
あくまで最低限なのでスキル「隠密」の下位互換のスキルのレベル1しか持っていないが無いよりは断然マシだし、隠密の時の立ち回りを習っているのでそれだけでも民兵よりは良い。
ついでに言うと隠密行動だし何よりもただの偵察任務なので重装備では無い。
黒曜騎士団と白薔薇騎士団は新兵や魔法使い、弓兵などでない限り重装備なことが多いが今回、新兵だけに行かせるわけには行かないとうことで班長としてこの班を率いることになったらしいベテランの騎士も鎧では無く、鎖帷子程度だ。
隠密性はもちろん、いざという時に逃走しやすいようにしているのだ。
一人でも帰って情報を伝えるために。
後、少々厳しい話をすると死亡率が高いので高級な装備を着させてくれないのだ。
いくら大国でもお金が余っているわけではないのだ。
「ここから先は敵の勢力範囲だ。警戒を厳とせよ。」
班長の声を聞き、各々が気を引き締める。
ここから先はいつ敵部隊と出くわしてもおかしくはない。
そしてそうなった場合は情報を持ち帰らすまいと追手が差し向けられ、殺される可能性が高いのだ。
しばらくの間、まだ早朝の薄暗い森を彼らは歩き続けた。
(シンがいたら気が楽なんだがなぁ……まあ仕方ない。)
カルドが心の中でぼやく。
シンは他の班にいったのでこの場にはいないのだ。
シンと離れたのはかなり久しぶりなのでかなり寂しさが来ていた。
すると班長がスッと手を上げた。
止まる時の合図だ。
すぐに止まり、班長の視線の先を見ると遠くに光が見えた。
早朝で薄暗いが多少は見えるため、街だということがすぐに分かった。
位置的に間違いなくロッド王国の街の一つだろう。
班長はスキルを使用してかなり離れている街の様子を見ながらそれをすぐにメモに纏め始めた。
スキル「暗視」のおかげで暗い場所でもスラスラとメモを書き留めていく。
カルドや他の新兵たちは周囲の警戒だ。
今回の任務では敵戦力の数とその構成、そして配置の確認だ。
配置は前方の街だというのが判明したし、数は見ればなんとなく分かる。
だが構成はよく確認しないと分からない。
新兵からすると見ただけで敵の部隊の構成などの判別は困難だ。
だからこそ班長に任せるしかないことが少しだけもどかしかった。
しばらくの間、その場には吐息の音と服の布が擦れ合う音、そして紙に情報を書き込む音だけだった。




