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悲劇の英雄が死ぬまでの長い長い物語  作者: サン
第三章 騎士時代

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第二十七話 前進

あの戦闘から数日経ち、部隊はより敵地奥深くへと前進していた。


あれから敵部隊はほとんど現れない。

もちろん隠れながら偵察などはしてきているのだろうが行進を妨害しようとはしてこない。


騎士や兵士の間では前回の戦闘で敵の戦力がほとんどいなくなったからなのではと思われている。

だが一部の経験豊富な騎士の間では違和感に気づく者もいるのだった。


とはいえ敵部隊が妨害、及び防衛をしてこないので止まる理由は無く、次々と街や村、関所などを占拠していった。

占拠する際も防衛戦力はほとんどおらず、すぐに降伏するため部隊の損害はほとんど無かった。


そしてこの日もまた、とある関所に攻め込んでいた。


「弓隊、放てーーー!!」


珍しく守備隊がちゃんとした抵抗をしてきているため久しぶりの戦闘だ。

とはいえ小さな関所に大国の主力部隊を相手にできる戦力があるわけもなく既に関所の門は破壊され壁なども半壊していた。


「そろそろ終わるな。」


将軍がボソリと呟く。


「敵へ最後の降伏勧告をしとけ。敵将から情報を引き出したい。……まあ今までと同じようにだんまりだったり知らなかったりだろうがな……。」


そしてしばらくして敵は降伏した。

だがそこから事態が大きく動いた。


「何? 情報を吐いた!?」


なんと捕虜にした敵将があっさりと情報を吐いたのだ。

どうやら今まで帝国軍に誰も情報を渡していないことを知らなかったらしい。

そしてその情報はとんでもないことだった。




将軍が敵から聞いた情報をまとめた資料を読みながら溜息をついた。


「……これが本当ならとんでもないことだぞ……。だがまあ辻褄は合うから納得はできるがな……。」

「敵はこの短期間でここまで戦力を上げただなんて……。」

「しかもまさか内戦が起きているなんてな……聞いても信じられない……。」


そう、なんとロッド王国では現在、内戦が起こっていたのだ。


経緯を説明するとロッド王国は前回のヘクタ帝国や西方諸王国連合との戦争の後、新しい王が即位。

その新王の政治の結果、爆発的に国力が増大した。

だが国の規模がでかくなった結果、権力争いが横行、数々の貴族が反乱を起こして国の頂点に立とうとしたのだ。


ちなみに騒乱の中で新王は暗殺されている。


そんな中、事情を知らないヘクタ帝国が攻めてきたためヘクタ帝国の領土に面している貴族たちが抵抗したもののあっさりとやられ、他の貴族は内戦で忙しくて誰もヘクタ帝国を止められないということらしい。

それが現在に至るまでの経緯だ。


「…………チャンスだな。」

「そうだな……問題は……。」

「敵戦力が思っていた数倍はあるということだ。今は内戦中だから各個撃破できるが万が一、団結されたらひとたまりもない……。」

「しかも西方諸王国連合はロッド王国へ攻め込んでいません。我々のみでやり合うことになります。」

「まったく……こんな重要な情報を掴めない諜報部なんぞ解体してしまえばいいものを……。」

「まったくですね……こんな情報、そこらの人間からでも聞けますよ……。」

「この先にようやくロッド王国の街があるからそこまで行けば住人から聞けるから遅くてもそこで知れただろうが早めに知れて良かったな。それが不幸中の幸いだな。」


嬉しいことを無理矢理もう一つ考えるなら内戦は当分収まりそうにないということだ。

もし仮にヘクタ帝国を撃退するために休戦したとしてもヘクタ帝国を迎撃すれば内戦に戻るため追い討ちは無いということくらいだろう。


今日もまた将軍や指揮官、隊長たちは頭を悩ませ、騎士や兵士たちは次の戦闘に備えていたのだった。

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