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悲劇の英雄が死ぬまでのありふれた物語  作者: サン
第三章 騎士時代

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第二十話 騎士


「なぁ。」


シンがぼ〜っとした声で言う。


「どうした?」


これまたぼ〜っとした様子で空を見上げているカルドが答える。


「戦争……いつ始まるんだ?」


あの暗殺未遂事件から既に一ヶ月が経過していた。


「さぁ?」

「もう配備はとっくに終わってるよな。いつ始めても良いと思うんだけど。」

「それがな……本当かは定かじゃ無いんだけどそもそもの話、あの事件がロッド王国の指示だとは確定していないらしい。」

「どういうこと?」

「ロッド王国が関係していると思われているだけで証拠は無い。あくまで状況的に考えてっていうのと現場に残ってた数少ない物品がロッド王国製の物にとても良く似ているというだけだとか。ロッド王国も関与を認めていないしな。」

「ええ……?」

「まあそれでも普通なら皇帝というトップの人間が暗殺されかけたんだから攻撃しているんだけど……。」

「相手が……ってことか。」

「そうらしい。」

「まあロッド王国だもんね……。」


ロッド王国、それは総百年前にできてからというもの、中央大陸を支配する最強の国だった。

今でこそ、西端は西方諸王国連合、中央はヘクタ帝国、東は小さな国々が支配しているがロッド王国の全盛期はとんでもなかったらしい。

今でも充分強大な国であり、西方諸王国連合とヘクタ帝国を同時に、しかも二方面作戦で互角に戦っていたのだ。


結果的にはロッド王国の勝利だったためヘクタ帝国からするとまた負けては大事だ。

できれば勝てない勝負はしたくない。

だが許せもしない。


そしてロッド王国もロッド王国で複雑なことになっていた。


実は暗殺を指示したのはロッド王国の開戦派であり、保守派は戦争などしたくなかったのだ。

その理由として前回の戦争で勝利したものの犠牲者が多かったりその割に大して戦果を得られなかったからだ。


そして開戦派はヘクタ帝国の皇帝を暗殺することを考えた。

そうなればさすがの保守派も戦争に賛成せざるを得ないという予想をしたのだ。


だが暗殺は失敗。

しかも当初の予定では帝国が怒り狂って攻めてきたところを祖国の守護という大義名分の下、戦う手はずだったのに帝国は警戒するだけで攻めてこない。

おかげで戦争は起きず、強硬な手段を取った開戦派は保守派に責められることとなる。


こうしてお互いが攻めたくないし、攻める必要も無いのに戦争の準備だけは万全という状態になったのだ。


「…………そういえばここに来てからどれくらい経ったっけ。」

「ん? 確か半年。……あっ。そうか半年ってことは。」

「そう。新兵卒業。そろそろ騎士になれるんだ!」


シンは珍しく興奮しながらに言った。


「ようやくだ! ようやく騎士になれる! これで一生安泰! 給料も良いし、待遇も良い!」

「…………喜んでいるところ悪いけど時期的に俺たち、騎士になったら前線に送られるのでは?」

「あっ……。」


シンの顔が先程と一転して真っ青になる。


そしてしばらくして2人は騎士に任命された。

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