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悲劇の英雄が死ぬまでのありふれた物語  作者: サン
第二章 新兵時代

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第十四話 蝙蝠

遠くからコウモリの魔物が大量に来ているのを見て新兵たちは陣形を整えた。

盾持ちは上空へ構えた。

そしてその隙間から槍や弓を構えた兵士は上空のコウモリを撃ち落とし始めた。


コウモリは盾に阻まれて成すすべが無いようだ。

そして上空で立ち往生しているところで矢が飛んでくる。

強引に突っ込めば盾で押し潰され、壁のような槍で突き殺される。

これらは過去の人間たちが編み出した戦術である。


カルドもこの光景を見て苦笑いしている。


「これは……もはや作業だな。」


一つ言うとカルドは弓があまり得意では無い。

持ってきているのはあくまで補助や威嚇射撃のためのものだ。

なので盾を構える係に徹している。

ちなみにシンはポンポン当てまくっている。


しばらくしてようやく襲撃が落ち着いてきた。

なので第二波が来る前に洞窟を片付ける。

指揮官の合図とともに火矢を数本撃ち込む。

これだけでは運が良くても数匹しか殺せない。

だが当然、敵を撃ち殺すための矢ではない。


すぐに火は油に燃え広がった。

洞窟の外にまで届くほどの熱風と爆音。

洞窟の奥で隠れ潜んでいた魔物もさすがに飛び出てくるが柵に遮られることで渋滞してお団子状態になる。


そうしてしばらくすると蝙蝠の声も聞こえなくなってきた。


「終わったのか……?」

「疲れた……。」


危険が少なかったとはいえ動き回って疲れたためあちこちでその場で座り込む人間が出てきた。

かく言うカルドやシンも例外では無い。


「緊張の糸が切れた気分だ……。」

「こっちは弓であまり動いてなかったから大丈夫だったけどカルドは大変そうだったね。」

「全くだよ。」


しばらくして疲れが抜けてきた者からその場の後片付けと撤収の準備に入った。

蝙蝠の血の臭いに釣られて魔物が来てはたまったものではないので死体処理が最優先だ。


もちろん怪我人の治療も最優先事項の一つだ。

カルドもシンも軽い怪我をしていた。

自分でも処置ができる程度なので包帯を巻いておく。

回復魔法使いは残念ながらいないしポーションは節約しないとなので包帯で我慢する。

大した怪我でもないので仕方がない。


その後は蝙蝠の死体を一箇所に纏めて火をつけて燃やす。

蝙蝠はかなりの数いるので時間がかかるが死体に卵を産み付けるような虫の魔物が大量発生しないようにするために手は抜けない。


洞窟の中の死体は既に燃えているからしなくても いいので想像よりはまだ死体は少なかった。


「これくらいで良いだろ。」

「死体はほとんど燃やしたしね。」

「ここから帰り道もあるのか……面倒だなぁ。」


カルドが愚痴を言っていると指揮官の声が聞こえてきた。

どうやら今から出発するとすぐに夜になるので今日はここで一晩明かすらしい。


「よし! 少し休める!」

「……だからって小躍りしなくても……。」


シンの呆れた顔を横目にカルドは自分たちのテントへ戻っていったのだった。

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