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悲劇の英雄が死ぬまでのありふれた物語  作者: サン
第二章 新兵時代

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第十三話 狩り

集落から出発して3日後、ようやく洞窟に着いていた。

それは大きな竜の口のようだった。


「まるで口みたいだな……。」

「実際、地竜の口って言われているらしいよ。」

「へぇ〜〜。よく知ってんな。」

「作戦説明で言ってたよ……?」

「冗談だって。もちろん知ってたって。」

「本当……?」


今は昼なので夜行性のコウモリ型の魔物の動きが活発になるまでにはまだ時間の猶予がある。

なので休憩を挟みながら洞窟の入り口の封鎖工事を始めた。


さすがに新兵、というよりも見習い騎士が木工なんてできるわけがないので騎士団ではなく近くの砦に駐屯している衛兵団から工兵を借りてきている。


新兵たちは工兵にだけ任せるわけにはいかないので周囲の警戒と一部の力仕事をしていた。


ちょくちょく魔物が部隊へ遠くから見てきているが数が数だ。

さすがに躊躇っているようでしばらくしたら悔しそうに帰っていった。


そして夕方には洞窟は頑丈な柵で蓋をされていた。


「よし、今から魔物たちも活発になってくる時間帯だ。討伐作戦を開始するが気をつけて作業に取りかかれ。」


指揮官の声を聞くと新兵たちも気を引き締めて洞窟の魔物を倒す準備を始めた。

もちろん、カルドとシンもせっせと運んでいる。


「……なあなあ。」

「どうした?」

「ふと思ったけど洞窟の魔物を全て倒すんだろ? それにしては油とか少なくないか? そもそも油を流し込んで火をつけるだけでそんな簡単に倒せるのかねぇ。」

「この油特別性だからだね。とある魔物から取れる火をつけると爆発する油なんだ。 これで洞窟を崩れさて埋めてしまおうという魂胆らしい。」

「それは……大丈夫なのか?」

「人里に影響は出ないしこれくらいの地形変動じゃ何も起きないってさ。強い魔物が暴れたらもっと地形が変わるけど問題は無いってのが証拠。」

「ここってそんな魔物出るっけ……?」

「たまにSランクの化け物が出るらしいよ? 人里には降りてこないけどね。」

「ちなみにこのコウモリの魔物は?」

「雑魚。」


そしてついに日が完全に沈んだ。

洞窟の奥の方からコウモリの鳴き声がし始めた。

どうやらついに起きたらしい。


「来たぞーーー!!」


スキル「暗視」を持っている見張りが叫ぶ。

スキル「暗視」を持っていない人間にも洞窟の奥に赤い光が見える。

暗闇の中で目が光っているのだろう。

素早い動きで迫ってくるが柵に阻まれて外に出れない。

飛んでいないので対処も楽だ。

柵の隙間から槍などで突き殺していく。


「始まったな。」

「ってことは……。」


その時、はるか遠くから大量の赤い光が纏ってこちらへ飛んできているのが見えた。

このコウモリ型の魔物の巣はここだけではない。

ここが一番大きい巣というだけで他の場所にも住んでいるしピンチになれば集結してくる。

それがこのコウモリの厄介な生態だ。


「あらかじめ聞いていた通りだけど……多いな。」

「毒も鋭い爪も持ってないからそうそうやられないよ。」


このコウモリは数が多い。

逆に言えばそれだけだ。

鎖帷子すら切り裂けない程度の爪しか持っていないし、毒と無ければ連携もあまりできない。


そしてこちらは重装兵とまではいかないが盾や鎖帷子で武装した部隊だ。

やられる可能性などない。

これは狩りなのだ。

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