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哀しいどこにでもある物語  作者: サン
第七章 動乱時代

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第百四話 笑顔


挿絵(By みてみん)


「あの訓練兵のカーネか。確か……2年ぶりか?」

「はい! またお会いできて嬉しいです!」


訓練兵の頃を思い出したのか、すぐに真面目そうな表情を作り、敬礼もしたが、すぐに我慢できなくなったのか、笑顔を見せ始めた。


見てるだけでどこか心が和むようなとても明るい笑顔だ。

不思議と自分も少しずつ明るい気持ちになってくる。

先ほどまで若干とはいえ苛ついていたのが嘘のようだ。


「赤竜騎士団に所属すると言ってたからもう会うこともないとも思っていたがまさか会えるとな。にしても……出世したようだな。装備的に副官あたりか?」

「そのとおりです! けど、それを言うなら教官のほうが凄いじゃないですか。だって騎士団長ですよ!」


何せ師団の副官なら大勢いるが、騎士団長は帝国だけで言えば4人しかいないのだ。


「お互い、つもる話もあるだろうが……残念ながら忙しくてな。時間を後で取らせてくれ。」

「わかりました! 騎士団長当然です。……そういえば、教官じゃなくて騎士団長って呼ばないと駄目ですよね。」

「それはそうだな。……じゃあまた後で。」

「ではまた!」


そしてカルドは事務に戻っていったが、いつもよりも体調が不思議と良かった。

部下たちが口をあんぐりと開けて呆然としていたので、周りからわかるほどだったらしい。


「……騎士団長〜。何かあったんです?」

「第二連隊長。いつも言ってるがもう少し言動をどうにかしろ。」

「は〜い。」


この敬語の意味を欠片も知らなさそうな女は近衛師団に4人いる連隊長の内の1人である。

連隊長たちの中でも最年少の19歳で、帝都にいたあの弓使いはこいつである。


あの時は師団長だったのだが、連隊長に降格されたのには理由があり、あの時は上の人間がいなかったから実力だけで臨時として選ばれたのだ。

そのため、ちゃんと再編成された際に臨時の立場から下ろされたのだが、何分実力者なのでカルド直属の近衛師団にスカウトされたのだ。


ちなみに、ちゃんと慎ましくしてれば見た目は良いのでモテそうだが、性格があまりにも子供っぽすぎてそう言う感情を抱く者はいないらしい。

本人は子供っぽいという評価が心の底から不満だそうだが仕方ない。


ちなみに、スラム街生まれスラム街育ちの人間なので学はない。

そのため敬語もできないというわけだ。


補足だが、カルドが彼女を、というよりも部下たちを名前で呼ぶことはほとんどない。

少なくともここ2年近くの間では数えれる程度である。


「そんなこといいから、答えてくださいよ〜。」

「……俺が教官してた頃の教え子に会ったんだ。」

「へえ〜。良かったですねぇ! ちなみに優秀なんですか?」

「それは……騎士団からして別だから知らんな。教え子だった頃の話でいいなら間違いなく実力者だったが、今の状態はしらない。だが、師団の副官にまで出世してるから強くはなってるだろうな。」

「ええっ! 師団の副官ですかぁ!? 私より上じゃないですか〜。」


すると、何かを考えた後でなぜか目を丸くした後で子供がいたずらを思いついたような笑みを浮かべた。


「…………何企んでる?」

「なぁんにも企んでませんよぉ〜。」


そう言うとスキップしながら立ち去っていった。


「……何だったんだ?」


気になりはしたが、問い詰めようかと考える間もなく机に書類の山が追加されてしまったため、頭を抱えながら仕事を再開するのだった。


だが、あいつ、どうにも短絡的なところがあるのだから、大丈夫かなぁという考えがよぎり、カーネと話して和らげられた心がまた暗い空気になった気がする。


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