63:水族館のチケット
013
〔先日の魔女討伐からさほど時間が経っておりませんが……全校生徒の皆さんにお知らせいたします。会長が新たな魔女の縄張りを発見しました〕
生徒会の放送が流れた、夕方のこと。
〔今回は招待状を送る形とは少し異なります……今回の魔女は上位級の魔女であるため、メギロディアン学院の「全」生徒が参加しなければなりません〕
〔一週間後を目処に各自準備を整えてください。会長と偵察隊が調査した魔女の情報は書状に記載されています……健闘を祈ります〕
生徒会のメンバーでもあるルイスの重厚な声が、私たちみんなの頭の中に響き渡った。
「やれやれ……たった二週間しか経ってないのに……」
「でも呼ばれたら……行かないわけにはいかないよね……」
私は頷いた。
「上位級の魔女かあ……本当に全員参加なんだね」
リボンはひどく心配そうな様子で言った。
「この学院の生徒数は合計千二百人……全員揃って行くってこと?」
マーベルが私の顔を見た。
「上位級の魔女が発見された場合……生徒、生徒会、教授陣は、いかなる状況においても全員で魔女との戦いに参加しなければならない……」
生徒会室
「放送を終了しました……生徒と教授陣は全員、準備のために寮へ帰らせました」
「ありがとう……今回は生徒たちだけでなく……私たちや教授陣も参加する」
今回は生徒会のメンバーと一部の寮長がここで会議を開いていた。
「その通りだ……今回対峙する魔女は、過去のどの魔女よりも強力なはずだ。なぜならこれは上位級の魔女なのだから」
恵が言い終えると、ラケスが純粋魔法でテーブルの上に積まれた書類をみんなに配った。
「今回の魔女の縄張りは……メギロディアン大陸の南方、テレンジン大洋の中心にあります。南極にかなり近い場所です……」
「そして、これが魔女の縄張りの様子です……」
紙を開くと……目の前に広がったのは……
「水族館?……」
それは深海の底に建つ豪華ホテルのような建物だった……水族館のような水中通路が大洋の至るところに張り巡らされていて……いくつもの接続地点で中央通路と繋がっていた。そしてその中央通路は、世界最大のクルーズ船アイコン・オブ・ザ・シーズより三倍ほど大きなヨットに繋がっていた……
「でかすぎる……でも上位級の魔女の縄張りってそれくらいのものよね……」
「偵察隊が縄張りに入った際、魔女の手下はすべてハイエントでした……幸い私たちに味方してくれたのは、観測魔法を一切使わなかったおかげで攻撃を受けずに済んだことです……」
エミリーが書類を指で弾きながら言った。
「偵察隊の様子は……」
「今は船の上で休んでいます……ただ奇妙なことに、船の上には魔女の手下が一体もいないんです……」
「もしかしたら、うっかり魔法を使ってしまった人間を誘い込む罠かもしれないわね……」
「なら……支援部隊の全員と魔法使いの一部はこの船の上で戦闘部隊を援護・支援する……万が一のために」
ラケスは縄張り内で撮影された写真を見ながら言った。
「心配しなくていい……俺は結花と矢口の双子、そしてオルテガとマーガレットに船の調査をさせてある……隠れ場所もいくつか見つかった……」
「ありがとうシーモ……あとは他の皆も三日以内に作戦案を出してくれ……残りの生徒たちとの会議をその後に開く……」
エイカ寮・食堂
「詳細はさっき話した通りよ……」
寮長のマーベルが魔女と縄張りについての詳細をみんなに説明した。
「上位級の魔女か……私たちがあれと戦うのは二百年以上ぶりよ……」
マトイがひどく心配そうな顔で言った……
「もし死んでしまったら、それでおしまいよ……あなたのルーンを使わない限りはね、エリザベス」
マーベルがさりげなくエリザベスに圧をかけた。
「私のルーンを使うことは絶対にありません……何があっても絶対に嫌です……」
「そういうことなら……今回はこれまで以上に慎重に行動しないと……そうじゃないと、先輩たちや亡くなったあの男の子たちに会いに行くことになるわ……」
みんな一様に頷いた……私はエリザベスをちらっと見た……彼女はひどく悲しそうな表情をしていた……何があったのか聞きたかったが……本人がすぐに答えてくれるとは思えなかった。
「じゃあ……一週間後に向けて全員準備を整えて……練習して遅く帰る人は当日の当番に連絡すること……」
了解!力強い声が食堂中に響き渡った。
食事が終わると、私はマーベルを外に引っ張り出して、エリザベスのルーンについて話を聞いた。
「彼女の能力は、他者の魂を遺体や人形、あるいは別の肉体に移し替えることができるの……」
「じゃあなぜ彼女は……」
「それはね……彼女がリボンの人形と親友の魂を入れ替えてしまったから。そのせいでその子の肉体が急速に腐り始めてしまって……それからほどなくして、魔女に殺されてしまったのよ……」
「えっ……」
「この能力の欠点はね、魂を入れ替えた後の肉体をきちんと保存しておかなければならないこと。そうしないと、魂が宿っていない肉体はあっという間に腐ってしまう……でも彼女はそのことを知らなかった……それ以来、自分のルーンを一切使っていないの……」
そういうことだったのか……
「つらいね……」
「そうね……まあ……あなたにも対処しなきゃいけないことがあるんでしょ……」
「わかった……」
翌朝……学院は一週間の授業停止を正式に発表した。私たちはそれぞれの寮で訓練を始めた……
そして私は……マフィアが支配する風の寮の前に立っていた。
寮ヴェント……
戻ってきました!私のこと、恋しかったですか?正直なところ、丸二日間ずっと「魔女の領域」について考えていたんですが……ふとヨットの動画を目にして、そこからたくさんのアイデアが湧いてきたんです。




