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クロエの不思議な魔法の記録  作者: Sakusaku


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60 : ニトラ寮 5

 010


 ペニー先輩の軍団が偽りのリボンに向かって走り込んでいった……


「私の勝ちだ……」


 ガチン!《357→356》


『Bungo Ketsu Puppet(結章:悪を討つ使命を授かった傀儡)』


 魔法を五回積み重ねたコンボ……どう転んでも勝てるはずだ。


 ドン……リボンの土人形が地面から現れ、先輩の軍団に一気に接近してきた……それこそが、ルンラーマさんの能力が明かされた瞬間だった。


「跳べ!!!!」


 先輩にインストールした能力はBody oxygen……体を空気より軽くする能力だ。


 土人形たちは互いに仲間へと突っ込んでいき……何体かが破壊された。


「……………予想通りね」


 私の予想通り、ルンラーマさんが操っている人物を入れ替えるには何らかの条件が必要なはずだった。


 姫子ひめこさんがルーンを使った瞬間、すぐにリボンとすり替えられた。だから私は、ルンラーマさんの作り出す偽の姿は能力を一回使ってはじめて別の偽の姿に入れ替われるのだと予測した。でも違った。偽の姿は与えられた目標を達成しない限り、入れ替われないのだ。


「……あなたの命令を無効にすれば、私の勝ちってわけね……」


「……その通りだ。私の能力は、一度に四人の偽の姿を作り出せる……その四人はそれぞれ能力を使ってはじめて残りの三人と入れ替われる……条件は今あなたが言った通り、偽の姿は目標を達成してはじめて他の人と入れ替われる。もう一つのこのルーンの能力は、本物そっくりの幻影を作り出せることだ……あまり使う機会はないけどね……」


「今私が使っている能力は単純なんです……傀儡の力を高めて、起承転結という小説の構成に沿って役割を書き込んでいく。全部の強化が終わったら、私の能力を一つ加えることができます……」


「なるほど……ペニーの体が軽くなったのも、あなたが入れたルーンのせいか……ならば勝つのは私のほうだな」


 残りのリボンの土人形が先輩の軍団に向かって押し寄せた……でもルンラーマさんはBody oxygenという能力が体を軽くするだけだと思っていた。でも実際は、この能力にはそれ以上のものがある。


「リボンの偽の姿を完全に消し去ってください……」


 私はすぐに命令を下した……先輩の軍団が一斉にリボンへと走り込んでいった。


「……………」


 土人形たちが再び先輩の軍団を消滅させようと走り込んできた……巨大な腕で先輩たちを叩こうとしたが、その攻撃は彼女たちの体をすり抜けてしまった。


「!! 体を空気にできるのか!!!」


「そうです……昨日の夜に一晩練習しただけなんですけどね……」


 先輩の軍団は空気に変えた体で偽りのリボンの内臓を引き抜いて外で破壊していった。見た目はかなりひどいものだったが……


「でも簡単すぎる気もしたので……一応試してみただけです……」


 彼はその光景を見て、ただ微笑んだ……


「……あなたは、思っていたよりずっとやるね……友達を殺さなければならないことで心が折れるかと思っていたよ」


「心が折れる? ただの偽物ですよ……偽物なら、たとえ友達の顔をしていても、迷わず消せます……」


「だって、本物の友達は本物だけなんです……偽物に代わりは務まらない……たとえ本物が死んでしまったとしても……」




「もう……いきなり外に出されちゃったんだけど……中で何が起きてたの……」


 リボンが聞いた。


「えっとね……ペニー先輩を操って、あなたの内臓を引き抜いて外で踏み潰させたの……」


「きもい!!!! このサイコパス近づかないでよ!!!」


 当然のごとく全力で嫌がっていたが、内臓を引き抜いた瞬間は心の中で最高潮に達していたことを知る由もないだろう。


「それで……ペニー先輩は大丈夫ですよね?」


 私がやったことをみんなに聞かせると、マーベルがすぐに先輩のことを心配し始めた。


「え?……どういうこと?」


「あれ……」


「Bungo puppetを使われた人は、生き延びれば操られていた間の記憶が全部消えるの……」


「生き延びれば……そうなんだ……」


「ほら、ほら……」


 ルンラーマさんが拍手して私を祝福してくれた。私は頭を下げてお礼を言った。


「操作系の魔法にしては、よくやった……」


「ありがとうございます……」


「でも、ご存知の通り……あなたのルーンコンボは、できる限り慎重に使わなければならない……模擬戦闘室の中ならまだいい……でも実際の戦場では、絶妙なタイミングを見計らわなければならないよ……」


「アドバイスありがとうございます……」


「うむ……では今日の訓練はこれで終わりだ……この後、みんなはどこへ行くんだい?」


「市場をもう少し回ってから帰ろうと思って……」


「そうか、気をつけてね」


 私たちはもう一度頭を下げてからタージマハルを後にした。


「はあ……戦ってるところ全然見えなかったよ……」


「えっ……模擬戦闘室の中、外から見えないの?」


「変な霧が中を覆ってて何も見えなかったのよ……」


 ……きっとAcryllicの能力の一つなんだろう……敵の目を欺けるのは一人に対してだけなのかもしれない。


「まあいいや……それよりも何か食べに行かない? お腹空いてきたし」


「じゃあラム肉の串焼きはどう?」


「いいね……」


 私たち四人は夕方まで市場を歩き回った。インド料理、特にストリートフードを食べたらお腹を壊すということをすっかり忘れていて、私は丸一日部屋でダウンして過ごす羽目になった……

現在『P5X』が初音ミクとコラボしているので、一日中「ゴーストルール」を聴いています。

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