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クロエの不思議な魔法の記録  作者: Sakusaku


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53/58

53: 過去、そこでは今でもあなたのことしか考えられない。

 〔シーモ……〕


 〔うん?……〕


 〔あのさ……かりはなしをしたいんだけど……〕


 〔は? かりはなし……なんだよそれ〕


 〔つまり……かりにだよ……これはあくまでかりはなしなんだけど……もしわたしむすめができて……もしわたしがその面倒めんどうられなくなったら……その面倒めんどうてくれない?〕


 〔……それ本当ほんとうかりはなしなのか?〕


 〔そうにまってるじゃない……〕


 〔……じゃあもしそうなったら、おまえむすめおとげて命乞いのちごいするくらいきびしくきたえてやるよ……おれつぎつよくなるまで仕込しこんでやる〕


 〔ふふ……やっぱりね〕


 〔それでなんでそんなはなしおれにするんだ……〕


 〔だからってるじゃない、ただのかりはなしだって……〕


 〔でもな……もし本当ほんとうにそうなったら……そのはおまえあずけることになるな〕


 それがシーモとキャサリンがわした最後さいご会話かいわだった……そのあと彼女かのじょ跡形あとかたもなく姿すがたした。


 かれはずっと、あの言葉ことばがただのかりはなしであってほしいといのつづけてきた……しかし彼女かのじょむすめ瞬間しゅんかん、それが現実げんじつだったとさとった。


 青年せいねんむねきざまれたいたみは、いまもなおえることはなかった。


 どれほどときっても、ることのできないいたみ。


 そのきびしい表情ひょうじょうしたで……かれこころすこしずつくずつづけていた。


 そしていま彼女かのじょむすめまえあらわれている……


 かれのようなおとこでさえ、感情かんじょうおさえきれずにいた。


 それでも、このはなしてやらなければならない……約束やくそくした以上いじょうたさなければならないのだから。


  003


きみのおかあさんとおれは、かつてライバルだった……おれ自身じしん魔法使まほうつかいとしては下位かいほうだったけどな……でも戦闘せんとう腕前うでまえ(かん)しては、ずっと互角ごかくだった」


はじめてったとき彼女かのじょ無口むくちで、あまりだれともはなさなかった……いつも『悪魔あくま』だとられていたからな……そんな彼女かのじょべたのが、おれだった……」


「それからというもの、彼女かのじょあかるくなって……だれとでもうまくやれるようになった……それに学院がくいんでもかなりの人気者にんきものだったよ」


おれたちは何度なんど一緒いっしょ任務にんむをこなした……でもときつにつれて……あいつは(わか)れの言葉ことばひとつものこさずに姿すがたした……」


おれはずっとあいつをさがつづけた……でも結局けっきょく一度いちどつけられなかった……」


「すべてが意味いみうしなはじめたころ……きみがここにて……おれまえすわった」


「いつかきみにキャサリンのことをはなしてやろうと、ずっとめていたんだ……」


「そしてそのいつかが、今日きょうというわけだ……」


 シーモはそうえると、あたたかいミルクをみながら、どこかさびしげな表情ひょうじょうせた。ちいさな子犬こいぬかれ口元くちもとについたミルクのあとると、シーモはふたた笑顔えがおせた。


「……おかあさんは……ここにいたあいだ……しあわせだったんでしょうか?」


「うん……様子ようすかぎりは、しあわせだったとおもうよ……」


「そうですか……」


 今度こんどわたしばんだった、おかあさんのことをはなばん


わたし八歳はっさいとき、おかあさんが魔法まほうおしえてくれました……でもそのころわたしはまだ普通ふつう人間にんげんだったから、ただおかあさんの魔法まほうているだけしかできなくて……」


想像そうぞうえるほどうつくしいその光景こうけいが……わたしにおかあさんみたいになりたいとおもわせたんです……おかあさんのような魔法使まほうつかいになりたいって……」


「でもおかあさんは姿すがたして……わたしはすぐにまわりから『悪魔あくま』とられるようになりました……まわりのひとたちはみんなわたしをいじめて、いつも見下みくだすような言葉ことばげかけてきました」


「ここにてから……おかあさんとつながっているようながするんです……たとえここにはもういなくても……いつかきっと、わたしたちはえるはずだって……」


おれでさえあいつをつけられなかったんだ……どうしておまえはキャサリンにえるって、そんなに確信かくしんできるんだ……」


かりません……ただ、なが時間じかんてば、いつか自然しぜんえるようながするだけです……」


「そうか……」



 生徒会室せいとかいしつ


「ではぼく野球やきゅう練習れんしゅうってきます、会長かいちょう……」


「うん……おつかさま


 ウィリアムが時間じかん余裕よゆうつことは滅多めったになかったが、たとえ時間じかんがあったとしても、つくえうえには山積やまづみの書類しょるいかまえていた。


 実際じっさい魔法まほうでこれらの書類仕事しょるいしごと片付かたづけることもできたが、かれはこういう仕事しごとこそこころめて丁寧ていねいにやるべきだとかんがえていた。生徒会長せいとかいちょうという立場たちばだからこそ、なのかもしれない。


いまいそがしい……はなしがあるなら、また今度こんどにしてくれ……」


 部屋へやにはだれもいないはずだったが、かれはそういながら、かぜにそよぐカーテンへちらりとをやった。


 その言葉ことばいた瞬間しゅんかん、カーテンのうしろから一人ひとり少女しょうじょあらわれた。


「ハロー、会長かいちょうさん……」


 彼女かのじょはピンクいろあざやかな浴衣ゆかた少女しょうじょで、白髪しろかみのボブカットに眼鏡めがねをかけていた。


 気安きやす口調くちょうはなすその様子ようすは、丁寧ていねい物腰ものごしとどこか奇妙きみょうにちぐはぐな印象いんしょうあたえた。


地図屋ちずやか……なんようだ」


 はなきつつも、かれ書類しょるいつづけていた。


いま、またあらたな魔女まじょ結界けっかいつけたんです……」


なんだって!……」


 かれ椅子いすからいきおいよくがった。つくえうえ書類しょるいはそのままほうされたままだった。


くわしくはなせ……」


いまかっているのは、今回こんかい結界けっかいうみなかにあるらしいということです……」


「……」


佐久さくはなんてってる?」


いま結界けっかいがあるとおもわれる場所ばしょ調査中ちょうさちゅうです……詳細しょうさいはまた今度こんど報告ほうこくしますね……」


「そうか……らせてくれてありがとう、佐久良さくら図書館員としょかんいんさん……」


「はい……またいましょうね……」


 そして彼女かのじょ姿すがたえた。


「はあ……」


つかれたな……」


「だが……あとすこしだ……われも、みなのために復讐ふくしゅうたせるときる」

最近、祖母が私に皮肉なことを言い続けているんです。今回は、祖母が作った料理を食べなくてもいい、お腹が空いたら自分で何か食べ物を探しに行けばいい、とまで言われました。正直、もう気が狂いそうです。読者の皆さんがいなかったら、ストレスで死んでいたかもしれません。

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