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クロエの不思議な魔法の記録  作者: Sakusaku


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39/58

39: Feels Right.

「ねえ、あなた……」


 やっと……


「やっと会えた……あなたに……紳士様」


「何かありましたか?シルバーウィングストンさん」


「いいえ……またいずれ」


「あ……うん……またいずれ……」


 正直に言うと、その瞬間世界が止まったような気がした……彼を見た途端に何もかもを忘れてしまった。


「まあ……」


 ピンク色の髪の少女の細い声が上がり、私たちの意識をぼんやりとした世界から引き戻した。


「召喚されてまだ数ヶ月しか経っていないのに、もう男の子に言い寄られてるなんて……私みたいな独身にはうらやましい限りね……」


「「「「「そうよね……」」」」」


「ちょっと待ちなさい……今に全員ひとりずつビンタしてあげるから……」


姫子ひめこ、とぼけなくていいわよ……あなたが一番最初に私たちを裏切ったんだから」


「はは……」


 もう、こいつら……はあ……


「そんなんじゃないんですけど……」


「そう……」


「ではみなさん……続いて、偵察部隊の情報をもとにこの魔女の特徴と能力について説明します」


 声がかっこよすぎる……顔も整っているし……目が少し鋭くて、まるで猛獣みたい……しかも髪を後ろに流しているし……


「もう無理もう無理もう無理、顔が見られないんですけど……」


 きゃあ!!!!!!こういうタイプの男の子が一番ヤバい……


「そんなんじゃないんですけど……(物まね)」


「きゃあ!かっこよすぎる……(物まね)」


「彼がこっちを見てくれて……ああ……ルイス様……ふふ(物まね)」


「帰ったら全員終わらせてあげるから!!!!」


 ラケスさんが軽く手を叩いた。


「そちら……少し声を落としていただけますか?」


「「「「「「ごめんなさい!!!!!!」」」」」」


「あなた、すごくモテてるじゃない。ルイスくん」


めぐみ先輩の言う通りだわ……」


 ---


「次に私たちが相対する魔女は……〈世界の魔女〉です」


 映像は鮮明ではなかったが、映し出された生き物の輪郭は人間に非常によく似ていた。


 背の高い女性の姿をしており、黒い長髪で、黒いドレスと黒い高帽子を身につけていた。


「魔女は通常、人間に変身した姿を持っています。偽装のために女性に変身することが多いです……ただし、本来の姿はそれほど怪物とかけ離れているわけでもありません……」


「ペルソナすぎる……」


「本当に……」


「能力についてはまだ完全には明らかになっていませんが、どこからでも植物を生み出して防御に使うことができます。それ以外は主に物理攻撃を使うようです……」


 あれ……ちょっと待って。


「あらゆる植物を生み出せる……なのになんで呪い系の魔法に弱いの?」


「生み出すということは、女神の祝福と同じことだから……もうわかった?」


「なるほど……」


「その物理攻撃はかなり強力です。コンクリートの柱を蹴り折ることも難なくできます」


 これは数十人の子どもが戦って勝てるような相手じゃない……


「もちろん、これがこの魔女のすべての能力だとは言い切れません。相手の力への備えを怠らず、訓練を続けてください」


「……………」


「続いて……各生徒の役割についてです……めぐみさん……お願いします」


 あー……もっと彼の声を聞いていたいな……


「……では。みなさんも把握しているとは思いますが……各生徒の役割を改めて確認します……」


「今回の攻撃側の中心となる生徒会メンバーは、私、中野恵なかのめぐみです」


 へえ……先輩のルーンが早く見たいな。


「支援側の中心となる生徒会メンバーは、ラケス・パッティソンさんです」


「今回の前衛には、新入生が三人と常連生徒を合わせて十人が入ります……」


 ---


 **午後三時……**


「はあ……腰が痛い……もう……」


「今日はどこかご飯でも食べに行く?……」


 何を食べようかと考えていたとき……今感じていた空腹感が突然消えた。なぜかというと。


「あら……女の子たちじゃない」


 池田いけだ先輩とルイスが私たちの方へ歩いてきた。


「こ……こんにちは!!!!!」


 顔を見た途端、どうすればいいかわからなくなってしまった……


「あの……このあと時間ある? いくつか話したいことがあって……」


「はい!!!あっ!……」


 さっき友達とご飯に行く約束をしていたのに、つい返事をしてしまった。


「ごめんなさい……その……私と姫子ひめこが……」


 そう言うと残りの女の子たちがすぐに嫌そうな顔をした。


「行きなよ……私たちはただからかっただけだから」


「あ……えっと……じゃあ寮で会いましょう」


 なぜかプレッシャーを感じた。


 ---


 **あるカフェにて**


 四人で店を探して入ったあと……突然姫子ひめこと先輩がどこかへ行ってしまい、二人きりになった……


「あの……あなた……ルイスさん……ですよね?」


「ええ……そうです……」


 正直に言うと……もう全身が緊張していた……


「「あの!!」」


 二人同時に顔を見合わせた……そしてお互いに思わず笑い出してしまった。周りの人たちにはバカップルだとこっそり言われていた。


「お腹の傷はもう大丈夫ですか?」


「うん……あのときエイドリアンが治してくれたから……でも傷跡は残ってるけどね」


「さすがですよね……エイドリアンって……正直、もう一度あなたに会えて本当によかったです……」


 これはもうほとんど心の中に抑えておけなくて、つい口から出てしまった言葉だった。


「私も同じですよ……というか……お礼を言いたかったんです」


「えっ!?……あの……本当にお礼を言うべきなのはこちらの方です……あなたが私たちを助けてくれて……魔女の手下からも守ってくれて……ありがとうございました」


 私たちは少し頭を下げた。


「ちょ……ちょっと待って……頭を下げなくていいですよ……」


「それに私も助けてもらいましたから……正直、あのときあなたはすごくかっこよかったですよ」


 そう言いながら彼はコーヒーカップを持ち上げて飲みながら私たちを見て、少し動きを止めた。


 私たちが少し顔を赤らめていたから驚いたのかもしれない。彼は少し照れたような様子で目線を横に外した。


 生まれてから男の子が照れるところを見たのはこれが初めてだった。


「あ……そう……ですか……あなたもかっこよかったですよ」


 お互いに褒め合っていたら……本当にバカップルみたいになってしまった。


「ここの生活はどう?」


「はい……この世界に来てから友達もたくさんできて……元いた世界ではやったことのないこともたくさんできましたし」


「そうだね……私はここに来てから念願の野球をできるようになったよ」


「野球が好きなんですか?」


「うん……大好きだよ……甲子園こうしえんに一度行ってみたいと目標にしていたのは本当なんだけど……家族が応援してくれなくて、歯を食いしばってやめるしかなかった……でも川沿いでよく野球をこっそりやってたんだよね。プロ選手レベルの実力じゃないけど、近所の子どもたちとは遊べるくらいはあったから……ここに来たら、ちゃんと本気で夢を追って練習しようと思ったんだ……」


 私たちは彼の話を真剣に聞いていた……なぜこんなに彼の話を聞きたくなるのかわからないけど、聞けば聞くほどもっと聞きたくなってしまう。


 話しながら彼は、私たちがついほほ笑んでしまっているのに気づいて言葉を止めた。


「ごめんね……野球の話になると止まらなくなってしまって……変に思うよね、突然こんな話を始めて」


「逆ですよ……」


「えっ?」


「私たちにとって、自分の夢を自信を持って語れる男の人って、最高にかっこいいんです。しかもルイスさんは野球に向き合い続けている……変なところなんて何もないですよ」


「はは……そうかな……」


 彼は少し落ち着かない様子で……それからスマホをこちらに差し出した。


「よかったら……連絡先を交換しない?」


「あ……いいですよ」


 きゃあああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!連絡先を聞いてくれた!!!!連絡先を聞いてくれた!!!!連絡先を聞いてくれた!!!!連絡先を聞いてくれた!!!!


 ついに!!!!!!わあああああああ!!!!!!!みんな!!!!!!連絡先をもらえたよーーーーーー!!!!!!!!


「はは……」


「何かありましたか?」


「いや……あなたのSNSのプロフィール画像なんだけど……その……ボーイズラブのマンガとか同人誌が好きなの?」


「違いますよ!!!!ただ……ただキャラがかっこいいと思っただけです!!!!」


「そう……でも、プロフィールがゴンとキルアが抱き合ってる絵なんだけど?」


「そこは……見なかったことにしてください」


 ---


 **夕方……エイカ寮前**


「そうなんだ……二種類の魔法を訓練できるようになったんだね……」


「でも基礎レベルだけですよ……他の人と比べたら本当に劣っていますから」


「そんな風に思わなくていいよ……私たちは魔女と一人で戦うわけじゃないんだから……」


「……そうですね……みんなが互いにいるんですから」


 するとそのとき、寮の周りに知らせを伝えるスピーカーが鳴り響き、耳が割れそうなほどだった。


 {クロエ!!!!!今日はあなたたちのグループの料理当番でしょ!!!!!男の子といつまでイチャイチャしてんの!!!!!}


「もう行かないといけない……じゃあ明日ね」


「同じく……あっ……ルイスさん」


 私たちが呼び止めると、彼が振り返った。私たちはずっと返したかったものを手に取り、彼のシャツの襟元に掛けて丁寧に結んだ。四ヶ月間ずっと練習してきたのは、まさにこの瞬間のためだった。


「これ……僕のネクタイじゃないか」


「これまでの気遣いへの感謝を込めて……またね、イケメンさん」

少女漫画のヒロインに共通する特徴の一つとして、イケメンに弱いところが挙げられます。クロエもそういう性格だと思います。しかも、かつて貴族の令嬢だったという設定が、彼女の可愛らしさをさらに引き立てています。あ、それから、読者数が1000人を超えました!!本当にありがとうございます!この作品を楽しんでいただけたら、ぜひ1500人達成にご協力ください!評価やブックマーク、コメントも大歓迎です!

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