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クロエの不思議な魔法の記録  作者: Sakusaku


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31/61

31: アーディタク・カンラ

 001


「一緒に生徒会に入れて嬉しいわ……」


 白髪の女性が、インド由来の名前を持つ炎のような赤髪のヤンキーっぽい青年に拍手を送った……ああ、でも彼は日本人だ。


 アーディタク・カンラはインドと日本のハーフだった。父親が日本人で、母親がインド人だ。


 彼の幼少期は、ある意味では誰もが経験することと同じだった。ただその「誰もが」というのは、召喚されてきた者たちのことだったが。


 両親はいつも喧嘩ばかりしていた。だから彼はずっと心の拠り所を探していた。ただ……彼の外見は昔からヤンキーそのものだった。周囲の人たちは自然と距離を置いて言い合った。


「あいつには関わらない方がいい……あんな見た目の奴と関わったら、痛い目を見るに決まってる」


 だから彼は新しい心の拠り所を見つけた……彼の最初の友達となったもの。


 それはスパイダーマンの映画会社が作った、ほこりをかぶった古いゲーム機だった。それでもまだ動いた。


 電子機器のゴミ置き場で拾ってきたもので、一緒に見つけた格闘ゲームのディスクも、捨てられる日を待つだけのゴミとほぼ変わりなかった。


 でも彼はそんなことを気にしなかった。ずっと両親の喧嘩の声と周囲の陰口しか聞こえてこなかったが、ゲームの音がその一切を掻き消してくれた。


 どちらにも名前があったが、彼は自分で名前をつけた。


 時が経つにつれて彼は節約を覚え、ゲームを買うようになった。それが日常の一部のように繰り返されていった。


 夢はなかった。他の人のように何かを成し遂げたいという気持ちもなかった。ただ自分一人でいたかった……生きる心のない友達と二人きりで。


 これでは家族に迷惑をかけるニートと同じではないかと言われたら、全面的には否定できない。


 アーディタクは小さなお店で荷物運びのアルバイトをしていた。力仕事でも文句一つ言わずこなした。同僚も彼に話しかけようとは思わなかった。彼も誰とも話さなかった。


 稼いだお金の一部を取り置いて、ゲームを買うために使った……


 年を追うごとに両親の喧嘩はひどくなっていった。でも彼は気にしなかった。やがて二人は離婚し、アーディタクは父親と暮らすことになった。長年積み重なったストレスが爆発した父親は、中学生の息子に暴力を振るうようになった。しかしアーディタクは反抗しなかった。殴られても、ただ耐えて、暴力の代わりに血まみれの格闘ゲームで感情を発散した。人を傷つける人間は頭がおかしいと思っていたから。


 彼はよく敵キャラに父親や自分を罵倒してくる人の名前をつけて、様々な方法で倒すことで気持ちを整理していた。


 そうして高校を卒業するまで耐え続けた。そして長年貯め込んだお金を使って都会へと旅立ち、日々老いていく父親を家に残したままにして振り返らなかった。ずっと自分の体と心を傷つけてきた人間を家族だとは思えなかったから。


 本当の家族は、あのゲーム機と二十枚のゲームソフト、それだけだった。


 都会の人間は冷たいとよく言われる……しかしアーディタクは彼らのことを密かに称賛していた。誰も自分の外見や態度を気にしない。


 誰も気にしない。形成するのが難しい絆こそが、彼が求めていたものだった。


 そして二年後、彼はここへ召喚された。それは彼を驚かせた。


「ねえ……火の魔法が使えるって聞いたんだけど……ちょっと見せてもらえる?」


「助けてくれてありがとう……本当に優しいね」


「なかなかやるじゃないか。うちのクラブに入ってみない?」


 みんなが彼に近づいてきた……その表情も態度も、嘘や冗談のものではなかった。


 わからない……


 ずっと存在を否定されてきた……なのになぜここでは正反対なのだろう。


 夢を見ているのだろうかとアーディタクは思った……そしてそれが、周囲の人たちに心を開いてみようと思わせるきっかけになった。


 最初はただ、同じ火の魔法が使えるグループと、ゲームの話をしてみただけだった……最終的には話が止まらなくなった。


 元々の話し方に戻り、元々の振る舞いに戻った。友達は恐れるどころか、面白いじゃんと言ってくれた。


 それは、部屋でゲームをしているときと同じような感覚だった。


 穏やかだった……何でもできるような気がした……


 そしてやがて、火の魔法使いが増えてきたとき、ウィリアムが正式に彼をアッキ寮の寮長に任命した。


 入ってくるみんなが彼を慕い、尊敬すべき先輩として慕った。


 溢れる幸福感が、死なずにいてくれた自分自身への感謝をもたらした。夢に描いていたユートピアにたどり着けたのだから。


 満足だ……そう、もう満足だ……


 父親はいつも言っていた。お前は役立たずだ、俺のために何もしない……


 でもここでは誰かの役に立とうと無理しなくていい。みんなが助け合い、困ったことがあれば話せば、助けてもらえて後でお返しができる。


 みんながお互いを信頼している……彼もまた、みんなを信頼していた。


 嫌なことは気にしなくていい。ただ流して、「で、それが何だっていうんだ?」と言えばいい。


 そして――


「生徒会ですか?」


「うん……」


 白髪の女性。フブ寮の第二代寮長で、エバリンの姉だった。


「なんで私を誘うんですか……」


「うーん……気に入ったって言ったら、怒る?」


 遊び心のある様子で、当時まだ少し恥ずかしがり屋だったエバリンとは違っていた。


「……怒りませんよ……でも……それだけですか?」


「うん!それだけよ……」


「……………」


「興味があったら連絡してね。これが私の連絡先……じゃあね……」


「突然女の人からメールアドレスをもらうとは……」


 でも……それでよかったんだ……


 死んだ方がこの生活よりましだと思っていた小学生の頃から……最終的には夢に描いていた生活を手に入れ、学院の重要な役割を任せられ、愛する人にも出会えた。


 幸せに満ちたその人生はずっと続いていった。そして――




「さあ……私の炎を制御してみて。この形のまま二時間維持できたら、次のステップに進めるわよ」


「了解です!!!!」


 アーディタクはリボンと一緒にベンチへと腰掛けた。


「先輩の噂を信じてしまって本当に申し訳なかったです……」


「ああ……気にしなくていいよ。噂はいつまでも噂でしかないし、真実を知らなければ誤解するのも当然だから……」


「……先輩って、そういうことをあまり気にされないんですね」


「当然さ……ある人に言われたんだよ。幸せに生きたいなら、嫌なことはただ流してしまえばいいって」


「……そうなんですね……」


「ほらほら、炎が小さくなってきてるよ……」


「すみません!!!!!」

アーディタクが本当に羨ましい。私もあんな人生を送りたい。

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