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クロエの不思議な魔法の記録  作者: Sakusaku


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27/59

27: 優秀な学生候補者を選抜するための会議 3

 003


「この二人は私が自信を持って推薦するわ」


 シーモーが笑った。


「まあ……シーモーさんが新入生に興味を持つなんて珍しいですね」


「興味はあるわよ。ただ戦闘経験のない子たちをそのまま前線に送り込むことに反対しただけよ……」


「でもなんでそんなにこの二人に興味があるの?自分の寮の生徒だからってだけじゃないでしょ」


「トーマスさん……私が本当に強い人間にしか興味がないことはご存知でしょう……」


「ははっ……そうだな」


「実はね……今年新入生が召喚されてきたとき、私たちにはすぐ出なければならない任務があったの。だから三人の新入生に探索隊の基本を教えながら連れて行ったのよ」


「最初の新入生は初心者としてはよくやってたわ。でも……」


「私たちが休んでいる間、あの双子が一本のライフルを交互に使いながら二人で一晩中警戒に当たっていたの」


 エミリーがシーモーに代わって言った。会議室内の全員がわずかに絶句した。


「つまり、交代で見張りもしなかったということ?」


「そう……次の番の人を起こさなかったから、みんなぐっすり眠れたわよ。


 本来は探索隊が休憩に入ると、一時間ごとに一人か二人で交代しながら見張りに立つのよ。でも双子の新入生は夜明けまで二人で見張り続けて、次の番だった人はお詫びと感謝の印としてご飯をおごると言っていたわ」


「見張りだけとはいえ、新入生が二人だけで銃も一丁しかないなんて、かなり危ないわよ」


「その通りよ、恵。あの二人は交代で見張りをするだけじゃなくて、最大七十六時間の断眠が可能で忍耐力も非常に高いの。しかも魔女の領域を観察して詳細に報告することまでできたのよ」


「あっ……でも魔法の腕前はかなり低いわよ。一週間経っても自分のルーンにどんな能力があるかまだわかっていないくらいだし」


「それは困ったわね、エミリーちゃん。その点はしっかり鍛えないといけないわね」


「知ってることをわざわざ言わなくていいじゃない、恵」


「ただ念押ししておきたかっただけよ。ライオット寮で魔法を教えられるのあなただけなんだから。言っておかないと忘れちゃうでしょ」


「何ですってえええええ!!!!!!子供扱いしてるわね!!!??子供扱いしてるわよねえええええ!!!!!!??」


 シーモーが軽くエミリーの頭を叩いて落ち着かせた。


「あの二人の問題は魔法だけよ。半年もあれば練習して使えるようになるわ」


「情報提供ありがとう。では次は魔女討伐に以前から参加してきた経験のある生徒について話しましょう」


「十枚か……新入生にもっと面白い子がいると思ってたのに。五十人の選考を突破しておいてこれだけとは」


 アーディタクがぼやきながら手持ちの書類をテーブルに投げた。


「それに……ゆかりちゃんが私の寮から選ばれなかったのはなぜだ」


「初期評価だからかもしれないですよ……あ、これは雪雄ゆきおくんが考えたんですよ」


 マリが自分の寮長を指差した。雪雄ゆきおは小さく頷いた。


「まあ……そういうことなら、うちの寮の生徒が選ばれなかったことを心配しなくてもいいか」


 それまで黙っていたルンラーマーが口を開いた。


「経験者の中で最初に前線に選ばれたのはこの生徒です」


「まったく……六百二十年の間、毎回私の妻を前線に送り込んでいますね、会長……」


 姫子ひめこが前線に推薦されるたびに、池田いけだが真っ先に意見を述べる。


「あの子のルーンは学院側をずっと有利にしてきたことはわかっているだろう……」


「はい……それはよく承知しております……だからこそ条件は今までと同じです。姫子ひめこが参加する魔女討伐には必ず私も同行させていただきます」


 池田いけだはずっと黙って座っていたエイガシ寮の方へ顔を向けた。


「それは当然のことですよ。夫が妻を助けるのは当たり前のことですから……」


 マ―ベルが答えた。


「では残りの方々は前回と同様です。これで十人になります」


「それだけか……ということは今回出会った魔女は中程度のレベルということだな」


「アーディタクの言う通りね……情報はまだ五十パーセント程度しかないけど、教授陣は今回の魔女は中レベルと評価しているわ。でもだからといって油断は絶対に禁物よ」


「そうね……では今回は切り札を投じてみてはどうかしら?」


「切り札……?」


「あれ……私たちに切り札なんてあったの?」


「あるわよ……あのイケメンの坊やよ」


 ウィリアムがルイスを指差した。


「えっ……私ですか」


「そう……お前のことよ……」


「ちょっと待ってください……私の力は自分自身を守るだけです。前線に出ても足手まといになるだけでしょう……」


「そうか……でもどうせ行かなきゃならない。お前は切り札なんだから」


「理由を聞いてもいいですか?」


「簡単な話よ。お前の力は私の曾孫娘の力と正反対なの。その二つの力が近くにあれば、間違いなく威力が増幅するはずよ」


「正反対……?」


「そう……だからこそお前が切り札なのよ」

最近体調が優れないので、前回の投稿は何も書けませんでした。でも、今後は定期的に更新するようにします。

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